ドヴォルザーク 交響曲第８番 ノイマン／チェコフィル

ドヴォルザーク　
交響曲第８番　

指揮…ノイマン
演奏…チェコフィル
好み度…3.5（5点満点）

やや金管が強調された、音に張りが感じられる響き。
分離のよい響きの中で高めにはっきりした輪郭で聴こえる弦と鋭利な雰囲気の金管、切れ味の中にほんのり素朴さを漂わせるチェコフィル独特の響きは感じられるような印象はある。

ブラームス 交響曲第２番 ケンペ／バンベルク響

ブラームス　
交響曲第２番　

指揮…ケンペ
演奏…バンベルク響
好み度…5（5点満点）

何とも開放的で豊かな響きが心地よい。
第１楽章での弦による主題の提示部の温かく豊かな情感などなかなか聴かれるものでないように思うし、その後もゆったりめのテンポで、素朴で温かな息吹と開放的な活力に満ちた響きは、多めの残響も相まって豊かであり爽やか。
第２楽章はゆったりしたテンポで感情がむき出しになることはないが、なかなか敬虔な響きを聴かせ、第３楽章の楽しげで伸びやかな雰囲気もなかなか印象的。
終楽章も気負わず、明るく伸びやかで快活な弦を中心に開放感のある豊かな響きは爽快。
重厚感は感じないが、おおらかに明るく豊かで開放的な響きは魅力的であり、伸びやかな情感も感じられる、名演の１つだろうと思う。

チャイコフスキー 交響曲第６番「悲愴」 スラットキン／セントルイス響

チャイコフスキー　
交響曲第６番「悲愴」　

指揮…スラットキン
演奏…セントルイス響
好み度…3（5点満点）

それなりに美しく悪い演奏ではないが、全体的にちょっと力不足の感がある。
音の力だったり、オケの力量だったり。
テンポは両端楽章、特に終楽章はややゆっくり。
聴かせどころの旋律はゆっくり謳わせていて、オケの弦楽器がもうちょっと力があればまた印象はちがっていたかも、とも思う。

ベートーヴェン 交響曲第５番「運命」 ケーゲル／ドレスデンフィル

ベートーヴェン　
交響曲第５番「運命」　

指揮…ケーゲル
演奏…ドレスデンフィル
好み度…4（5点満点）

重量感があったり、あるいは激情を漲らせた運命ではない。
どこか敬虔な響きの中に力と真摯な姿勢とを込めたような、運命のように思う。
クリアで美しくやや軽く聴こえるような音質だが、低弦も美しく効いていて、所謂重厚とはちがうが、美しく凛として力強い運命のように思う。
終楽章も日本公演のように劇的な処理はさていないが美しくも十分力の込もった響き。
テンポも処理もオーソドックスだが、真摯なものが持つ美しさや力強さを感じる思いがする演奏である。
テンポも遅めに清らかな中にも重さと激情を込めたような日本公演を思うと同じコンビかと思うくらい趣を異にする印象もあるが、
これはこれで敬虔で弾き締まった中に推進力と凛とした力強さも備えた、数ある運命の中でもとてもよい盤だと思う。　

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第５番「皇帝」 バックハウス／イッセルシュテット／ウィーンフィル

ベートーヴェン　
ピアノ協奏曲第５番「皇帝」　

ピアノ…バックハウス
指揮…イッセルシュテット
演奏…ウィーンフィル
好み度…4（5点満点）

何とも溌剌とした活力と開放感とウィーン風の気品を感じる演奏。
ピアノは弾くことを楽しむかのような明るさと開放感が何とも印象的で、澄み、強く、温かみのある響き、
オケは線を揃えてしっかりベートーヴェン的な厚みをつくりつつ艶と活きのあるウイーン風の気品を色濃く感じさせる。
第２楽章もどこか清清しさを湛えて美しい。
バックハウスもイッセルシュテットも、そしてウィーンフィルも、古風な強さと気品とどこか良質な余裕の中に職人の気質をほのかに感じさせるような、名盤といわれるのも頷ける一枚である。　　

ベートーヴェン 交響曲第７番 アンセルメ／スイスロマンド管

ベートーヴェン　
交響曲第７番　

指揮…アンセルメ
演奏…スイスロマンド管
好み度…4（5点満点）

手の込んだ内声の妙が響くわけでもなく（むしろ複雑な内声は避けている？）、
特に秀でた深みや重厚感などがあるというわけでもないのだが、
その響きは何か快活な、明るく軽快なエネルギー感のようなものに満ちているようで、魅かれるものがある。
この曲は響きとか推進力とかに何か魅かれるものがないとなかなか聴き進む気がしなくなっちゃうところがあるが、そういった点ではこの演奏はその明るいエネルギー感が魅力となって聴かせている
終楽章も聴かせるのが難しいところもあるように感じているが、ティンパニでのアクセントつけも印象的に、次第に熱を帯びさせながら退屈させずに聴かせているように思う。
得体の知れない明るさと活力で、なかなかの良演と思う。

ブラームス 交響曲第１番 アルブレヒト／チェコフィル

ブラームス　
交響曲第１番　

指揮…アルブレヒト
演奏…チェコフィル
好み度…4（5点満点）

少し速めのテンポでどちらかといえばきびきびとした運び。
重厚さやほの暗さは感じないが低音はしっかり効いていて軽い印象でもない。
第２楽章は抑揚をつけた謳いまわしと渋みの効いた弦を中心とした管弦の重なりは結構美しい。
第３楽章はテンポ早くちょっと忙しない印象。ここまで速く奏する意図もちょっと見えてこない。
終楽章は力強いホルンが印象的な導入は普通の速さだが、弦による主題の後はやや快足気味。ただ、オケはしっかりついていって響きが細くなったりアンサンブルが乱れることはない。終始速めの印象だが、フィナーレの凱歌だけはゆったり謳いあげている。
全体的に速めのテンポの中、チェコフィルの、重厚感とは違うが艶ときびきびとした力を感じさせる響きが光る。
感銘を受けるタイプの演奏ではないが、しっかりした響きのかっちりきびきびした、なかなかの良演といった印象。

ブラームス 交響曲第２番 ザンデルリンク／ベルリン響

ブラームス　
交響曲第２番　

指揮…ザンデルリンク
演奏…ベルリン響
好み度…3.5（5点満点）

このコンビのブラ全は概して残響豊かで清らかな響きではあるが、ゆっくりと、どこか暗い印象を受ける。
よい表現ではないが、眠りに誘われるような重い清らかさである。
２番においてもそれは変わらず、暗いまでに青い深い河の流れの底のように、ゆったりと、重く暗い清らかさを感じさせる。
ちょっと他の曲のようですらある。
響きに力がないわけではないが、活力や熱は感じられない。ただ、第一楽章の弦による主題は清らかで情感豊かにちょっと特筆ものの域に美しい。

チャイコフスキー 交響曲第４番 マズア／ライプツィヒゲヴァントハウス管

チャイコフスキー
交響曲第４番

指揮…マズア　
演奏…ライプツィヒゲヴァントハウス管
好み度…4（5点満点）

冒頭の金管のファンファーレなど、情感も力感もあってとてもよい感じ。
このオケの力任せでない艶のあるバランスのよい響きは美しい。
ちゃんとした厚みも力感もあって、金管も出るとこではしっかりよい響きで出て特に注文はない。テンポは終始大変オーソドックス。
うまくてよくまとまって、オケの響きもよいのだが、何か物足りない感もまた受けるのは何でだろうか。
何となく緊張感に欠けるからか、特有の雰囲気をつくれていないからか、情や熱が感じられないからか、単に私とマズアの相性の問題か（ニューヨークフィルとのブラ２でも「何をしたかったのだろう」という印象を受けたし）。
オケは美しくてうまいし、悪い演奏じゃ決してないと思うんだけど、やはり相性の問題かな。

ベートーヴェン 交響曲第５番「運命」 デイヴィス／ドレスデン・シュターツカペレ

ベートーヴェン　
交響曲第５番「運命」　

指揮…デイヴィス
演奏…ドレスデン・シュターツカペレ
好み度…4（5点満点）

しっとりと、上質に、厚い響きの中での和音も美しいが、激しさは封印されたがごとくに感じさせない。
響きは細くないししっとり上質な厚さを持っているが、弦の活きのよさや金管の力感などは感じられず、
全体でも河の流れで言えば激流や堂々たる河口でなくちょっと深みを厚く静かに流れるような、そんな印象を受ける。
ただ、終楽章金管の凱歌の後の、盾か屏風のように背後を支える弦の響きは印象的で好感。
デイヴィスの運命なら好み的にはＢＢＣ盤をとる。