好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 エッシェンバッハ/フィラデルフィア管

2022-05-22 18:28:58 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」

指揮…エッシェンバッハ 
演奏…フィラデルフィア管
好み度…4(5点満点)

面白味があるかと言われればないのかもしれないけど、いい音でちゃんとした悲愴を聴かせている、といったところだろうか。
ライブとのことだが高い完成度で録音もよく美しい。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ムーティー/フランス国立管

2022-01-09 13:59:48 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」

指揮…ムーティー 
演奏…フランス国立管 
好み度…4.5(5点満点)

美しい中に激しくはないが切ないような情の織り込まれた、これはなかなかの演奏。
ムーティーはもともとガツンとメリハリの効いた響きをつくるタイプではないので、この演奏でも力強さとか緊張感とかは感じないが(あえてガツンとした音は避けているような節もある)、オケの、特に弦のフランス風の艶のある響きがプラスに作用して、ロシア的とかでなく、もっと普遍的で薄っぺらでない美しさに満ちた演奏のように思う。
第1楽章の第2主題も美しいし、展開部のクライマックスも急ぐことなく盛り上げて濃い情を新鮮に嫌味なく感じさせる。第3楽章はもうちょっと勢いがあっても、とも思うが、終楽章およそ3分以降の弦の叙情部は支える低弦も柔らかくよく響いて美しいものと思う。
柔らかく、情も織り込まれた、重なる弦の美しさが印象的な盤である。(20220210部分修正)

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ヤンソンス/バイエルン放送響

2021-02-21 11:12:37 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 

指揮…ヤンソンス
演奏…バイエルン放送響ヤンソンス 
好み度…4.5(5点満点)

オスロ盤との比較で言うと、オスロ盤が悲愴感を感じさせない、瑞々しさを感じるほどに美しくよく響く演奏であったのと比べると、表現と響きに重みと深みが増している感がある。例えば第1楽章の第2主題はどちらが「美しい」かと言われればオスロ盤かもしれないが、全体を覆うようになった重みと、重みを伴った情感、ときおり聴かせる深みを帯びた美しさではこの盤が上といったところ。完成度はどちらも高い。
第1楽章展開部途中でのティンパニによるアクセット付けやテンポの緩急などは基本的にあまり変わっていない。第2楽章でヴァイオリンが踊り出すように出てくるところなんかも変わっていないが、第3楽章の2度めのマーチ風の前のシンバルはオスロ盤では推進力を加速させる小気味よいうまい処理があったがそれが所謂普通になっていてその点だけはちょっと残念。終楽章は重みと深みの増したバイエルン盤がいい。
この演奏ではバイエルンの響きは清らかさや明るさより深みを印象付ける響きで、ヤンソンスなので情がむき出し、ということはないが、重さと美しさと情のバランスのとれた聴き応えのある演奏のように思う。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 カヒッゼ/トビリシ響

2020-10-11 11:57:27 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー
交響曲第6番「悲愴」

指揮…カヒッゼ 
演奏…トビリシ響 
好み度…3.5(5点満点)

同じコンビの4番5番で感じられた太さや大きさ、ロシア的情緒が何故かこの曲ではどこかへ消えてしまって、第1楽章では展開部以降、どこか音量が控えめでちょっともどかしいところがあるし、第3楽章でもちょっとどう受けとめてよいのかわからずまとまらない感を受け、終楽章も何ともなく流れてしまう印象。
後期3交響曲の盤で、他2曲が結構よかっただけに盤全体の印象として、なかなか3曲とも好みに合うというのは難しいのかな、とも思いつつ、ちょっと残念な感はある。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ユロフスキ/ロンドンフィル

2020-05-09 17:10:09 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 
指揮…ユロフスキ
演奏…ロンドンフィル
好み度…5(5点満点)

ことさらに情を強調することはないが、録音も美しく、内声の響きなどセンスを感じる行き届いた配慮が感じられ、第1楽章では展開部での緊張感も迫力もあり、十分に緊張感を高めた後でゆっくり弦主体で悲しみ漂うクライマックスへ持っていくあたりは印象的であり、この人特有の、ここぞというところでの爆発力と情感の出し方といえようか。ロンドンフィルもまた個人技というよりオケ全体として美しくうまい。
第2楽章は概ね普通だが、平易にならない歌と、随所に聴かれる弦の美しさが印象的。
第3楽章も特に変わってはいないが完成度高く活気ある力感と小気味よさを備えて上質。
終楽章出だしのテンポは特に遅くないが、重なる弦の響きは美しい憂いを帯び、中間の叙情部も何とも美しい。その後も弦は緊張感と憂いを帯びた美しい響きを聴かせている。
このコンビの盤は、ブラ1で軽い(現代的な?)印象を受けたし、他の盤も含め響きは情感豊かとかとは違う印象もあり、悲愴には合わないだろと思ったが、どうしてこの人の悲愴を、しっかり雰囲気をつくって聴かせている。やっぱりちょっと普通の指揮者じゃないものを感じるし、ライブ録音とのことだが、オケも一糸乱れずバランスのよい美しい響きとアンサンブルは見事で、それを伝える美しい録音もこの盤では1つの価値と思う。冷静に細部にこだわりつつ、感情を煽るようなことはしていないようで、全体的に美しい情感をまとう、そんなどこか新鮮で特有の雰囲気をまとった上質の悲愴。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 マッケラス/フィルハーモニア管

2020-05-02 08:55:22 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー
交響曲第6番「悲愴」

指揮…マッケラス 
演奏…フィルハーモニア管
好み度…4.5(5点満点)

ロシア的とか、咆哮する金管とか、重い悲愴感とか、そういうのでなく、情念とかは排して透明感ある音の層を丁寧に重ねたような、シャープにしかし無機的とか淡白な印象にならずに澄んだ美しさを感じるような悲愴のように思う。
器楽的には随所で強烈に打たれるティンパニが印象的。しかしこれも全体の中で演奏にしっかり効果的にアクセントを加えて新鮮であれすこしも耳障りなものでない。
ライブでこの完成度と聴き慣れたこの曲を緩んだものを感じさせることなく新鮮味ももって聴かせるところなどもたいしたものと思う。
金管も打楽器も鳴らすところは思い切り鳴らしているせいか線の細さを感じることもなく、チャイコフスキー的かといわれればそうでないのかもしれないが、怜悧な強さと微熱を含んだ澄んだ美しさが同居するような、ちょっと新鮮味を感じさせて聴かせる悲愴である。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ザンデルリンク/ベルリン響

2018-08-14 13:10:50 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 

指揮…ザンデルリンク
演奏…ベルリン響
好み度…4(5点満点)

同じコンビのチャイコ後期3曲の録音の中では一番よい雰囲気を感じさせているように思う。
テンポも音の出し入れも特にこれといったことはしていないが、この曲の特有の雰囲気やよさといったものはそれなりに引き出されているように感じる。
尖らないちょっとくすんだくらいの落ち着いた響きで、特に弦の厚めの響きや終楽章最初の部分の木管の響きなんかはなかなか印象的でもある。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 マズア/ライプツィヒゲヴァントハウス管

2018-04-21 15:42:08 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 

指揮…マズア
演奏…ライプツィヒゲヴァントハウス管
好み度…3.5(5点満点)

4番同様、オケの響きはここでも艶があって美しい。うまいしアンサンブルもしっかりして楽器のバランスもよくとれて過不足なし、弦も管もティンパニも、響いてほしい楽器はしっかり響いている。演奏水準としては大変高いと思う。録音も美しい。けど、これまた4番同様、何か感銘を受けるかと言われれば「うーん」という感じ。鳴ってる割には淡白ということだろうか。
響きは厚いし美しいと思うけど、相性かなぁ。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 バシュメット/国立ノーヴァヤ・ロシア響

2017-11-26 09:03:08 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 

指揮…バシュメット
演奏…国立ノーヴァヤ・ロシア響
好み度…5(5点満点)

特別にうまいオケではないのかもしれないが、ただ、響きは少々粗削りながらそれなりの力と艶があって何かやる気が伝わってくるようなところもあってむしろ上々。
演奏のほうもかなり情も入れ込みつつ、どこか新鮮味を与えながら、聴くものを引き込み、納得させる。
冒頭からゆっくり沈むような、それでいて聴き手を引き込むようなところがあり、特に印象的なのは終楽章前半のゆっくりさだが、ただ遅いだけでなく静かな、絶望ではないが静かに切なく哀しげな、波のない水面のような独特の雰囲気をつくっているし、木管も弦も美しく、中盤のピークに向けてゆっくり高揚していく展開も美しく説得力がある。
第3楽章後半はティンパニが強く添えられてのちょっとワクワク感を誘うような力強さや、第1楽章では第2主題の情の込められた美しさや1音目もビッタシ揃えた展開部での激しい強さや濃い情感も上々に印象的だし、あちこちの謳いまわしや音の出し入れや強弱もちょっと個性的だったり、ここというところの弦の重なりは結構深みのある美しさを感じさせたり。第2楽章もワルツっぽい雰囲気も結構感じさせてなかなかいい感じ。
どこかちょっと独特な印象を感じさせる悲愴だが、奇抜というのではなく、新たな魅力を感じさせてくれる盤のように思う。これだけ演奏のあふれるこの時代のこの曲にあって、説得力をもって情感豊かに新鮮味を感じさせる、名演であり、この曲の名盤の1つと思う。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 テンシュテット/フィラデルフィア管

2017-10-22 10:24:32 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 

指揮…テンシュテット
演奏…フィラデルフィア管
好み度…5(5点満点)

※以前投稿分、誤削除のため再投稿
テンシュテットがチャイコフスキーの交響曲を振った盤があるとは知らなかった。知らずに、思わず見かけて聴いてみたが、これがさすがテンシュテット、の名盤である。
鉄壁のアンサンブル、とか高い完成度、といった類の演奏ではないが、ココロに響いてくる演奏である。
第1楽章は、展開部の出だしこそちょっと音量不足の感はあるが、クライマックスにかけての感情の高まりは引き込まれるものがあるし、それに続く第2主題再現部も雄大で美しい。
第2楽章は結構しっかり謳い込まれ、それなりの雰囲気をつくって聴かせている。
第3楽章は終了と同時に思わずため息に似た歓声ととともに拍手が起こってしまうほどのたたみかけるような推進力が印象的(演奏を中断する拍手はちょっと残念でもあるが、結構盛大な拍手が起こってる)。
終楽章は、前半では、弦が美しい調べを奏する部分の情感を伴った深く美しい響き、後半では、最後にトランペットが昇り詰める部分での、抗えない運命への階段を意志とは関係なく昇らされるかのような、ゆっくり厚い展開なども印象的である。
アメリカでのライブ録音ということで音質はどうかと思ったが、極上ではないまでも、まず良好な部類で、聴衆もまぁ静かなほうかと。
所謂爆演ではないが、テンシュテットらしい虚飾と小細工を排した情感豊かな名盤である。