好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番 ルービンシュタイン/バレンボイム/ロンドンフィル

2022-01-29 22:25:10 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン 
ピアノ協奏曲第4番 

ピアノ…ルービンシュタイン
指揮…バレンボイム
演奏…ロンドンフィル
好み度…4(5点満点)

組み合わせからしてそうなるだろうが、貴婦人のような気品とか美しさとか、でなく、この曲なのに、交響曲のような大きさと力強さを感じさせる演奏である。
でもルービンの実直で力強いピアノにはバレンボイムの大きさを誇示するような響きも結構合って、大きく骨太感さえ感じるような4番となってそれはそれで聴き応えのある演奏のように思う。
ただ、第2楽章までオケはちょっと響き過ぎではなかろうか、せっかくのルービンの情があふれるような響きを聴かせる雰囲気をつくれていないような気がする。
とはいえ、ルービンの実直で力強く色濃い情が感じれるピアノはルービンらしくていいし、まぁこれくらい思い切って響くこの曲もある意味爽快で悪くないようにも思う。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 ハフ/ウィッグルワース/ザルツブルクモーツアルテウム管

2022-01-29 22:22:07 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ハフ 
指揮…ウィッグルワース 
演奏…ザルツブルクモーツアルテウム管
好み度…5(5点満点)

綺麗。
ハフのピアノが美しい。
力強さの裏打ちのある美しさ。
残響も美しく捉えた録音のよさもおおいに関係しているとは思うが、叙情部では嫌味のないタメも効かせつつ叙情性を感じさせる美しい一音一音と旋律を聴かせて、強奏部では十分な強さを込めつつも透明感を保って、こういう演奏を聴いていると現代のピアニストでいちばんピアノを美しく聴かせる人ではなかろうか、とも思う。
オケは、モーツァルテウムという名前から古楽器風かと思ったがそうではなくしっかりフルオケの響き。
ただ、ときおり弦にそういう風な響きが聴かれるのと(結構効果的に聴かれる)、フルオケといっても重いタイプでなく厚いが透明感ある澄んだ響き。とはいえしっかりした力強さもちゃんとあって結構何度聴いてもいいな、と思えるタイプ。
ハフはアンドリュー・デイヴィス/BBCとも若い頃同じ曲を録っていて、比較では前者が若々しい覇気を感じるのに対し、こちらでは気品というか味わいというか風格というか、そんなものを伴った美しさを加えたように感じられる。
無機的でない透明感を持った、強く、厚く、情も伴って美しい、綺麗だなぁ、と思わず思えるような、特有の雰囲気を醸す一枚のように思う。

マーラー 交響曲第2番「復活」 ラトル/ベルリンフィル/ベルリン放送合唱団 他

2022-01-29 21:40:26 | マーラー 交響曲(第2番「復活」 第5番)
マーラー 
交響曲第2番「復活」

指揮…ラトル 
演奏…ベルリンフィル 
合唱…ベルリン放送合唱団 他
好み度…4.5(5点満点)

やっぱりうまいし、力の入った重量感もあって、堂々たる演奏といったところだろうか。
響きは入魂の、というよりは音響的に優れている、といったタイプかもしれないが、それでも細かなテンポの変化もあり、無機的な印象も受けない。
幽玄とか狂気とか、そういったものはなく、白日のもとの健全なマーラーといった趣だが、フィナーレの盛り上がりも大きく力強く美しい。
大きく力強いが、ドロドロしたものは感じさせずどこかサラリとした印象も感じさせるが、完成度というか技量というか、ここまで到達すればもはやそのことに感銘を受けるようなところがあり、そしてやっぱり堂々たる演奏と思う。

ブラームス ピアノ協奏曲第2番 モラヴェツ/ビエロフラーヴェク/チェコフィル

2022-01-23 09:58:11 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第2番

ピアノ…モラヴェツ 
指揮…ビエロフラーヴェク 
演奏…チェコフィル
好み度…4(5点満点)

全部ちゃんと聴いてないけど、ちょっと聴いた感じではちょっと明るすぎるというかわかりやすく情緒的過ぎるというか、重みに欠ける感があって、せっかく1時間弱使ってこの曲を聴こうと思ったら他の盤聴くかな、といった感。細かいことのようだけど、最初のホルンの微妙な揺れからもうちょっと合わないところがあって(基本的にこのオケの金管は好きですけどね)。
ピアノは結構堂々と美しいし、ピアノというよりオケの印象かもしれない。
悪い響きじゃないけど、その透明感ある響きがこの盤ではちょっと重み不足と感じられてこの曲を聴くにはちょっともの足りない印象になっているのかもしれない。
ただ、同じコンビの1番ではオケも他盤では聴けないようないい雰囲気をつくってとてもよかったし、何となくこの盤では私にちょっと合わなかったということではあろうと思うけど。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 ゼルキン/小沢/ボストン響

2022-01-23 09:56:13 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン 
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ピアノ…ゼルキン 
指揮…小沢 
演奏…ボストン響
好み度…4(5点満点)

印象としては柔らかくほのかに明るい。
上手いとか圧倒されるとか、だったり、官僚的で無機的な美しさだったり、というのでなく、人間味のあるおおらかな温かさだったり美しさだったり、そんな印象を受ける。
うまさを誇示しようとか、というところは感じられず癒されるくらいに自然でおおらかな雰囲気である。

ブラームス 交響曲第1番 バーンスタイン/ニューヨークフィル

2022-01-23 09:53:18 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…バーンスタイン 
演奏…ニューヨークフィル
好み度…4.5(5点満点)

溢れる熱気と力強い生命力のような輝きに満ちたような、そんな演奏のように思う。
同じブラ1でもウィーンフィル盤とはテンポもまるっきり違って(ゆったりのウィーン盤、推進力のニューヨーク盤)、ウィーンフィルとの盤のほうが所謂巨匠風ではあるし一音一音への気配りや完成度も断然高い。
しかし個人的にはこの盤のような熱さと力強さに溢れ躍動感ある少しも古風でない演奏にバーンスタインならではがあるような気がする。
ちょっと一本調子というか、深みに欠けるきらいもなくはないが、これから何度か聴くとしたらウィーン盤でなくこちらだろうと思う。

サン=サーンス 交響曲第3番「オルガン付き」 黒沼/大友/東京響

2022-01-15 17:27:30 | サン=サーンス
サン=サーンス 
交響曲第3番「オルガン付き」

オルガン…黒沼 
指揮…大友 
演奏…東京響 
好み度…4.5(点満点)

新型コロナの影響で無観客で演奏されライブ生配信され10万人を超える視聴があったとかで話題になった演奏の盤。
新しい試みという意味もあり、奏者もいつもとは違った気合も入っていたのではなかろうか。そんな熱い集中力が感じられる演奏のように思う。
全編やや速めのテンポの中、乱れぬアンサンブルと明るめの艶のある響きで鳴らし切って、演奏水準も高いものを感じるし、非常によい録音と相まって、終楽章などオルガンとオケの重なるその音響は圧倒的ですらあり、この曲の醍醐味を堪能する思いがする。
深みを感じるようなタイプではないが、理屈抜きの絢爛な響きが魅力の盤(ちなみにこの演奏は東京都交響楽団でなく東京交響楽団)。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 バレンボイム/ドゥダメル/シュターツカペレベルリン

2022-01-15 17:23:21 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…バレンボイム 
指揮…ドゥダメル 
演奏…シュターツカペレベルリン 
好み度…4(5点満点)
 
情熱的な熱さを感じさせる組み合わせ。
オケは序奏からゆったり厚く重みのある力強さ。ピアノも冒頭から思い入れたっぷりの間合い。
ピアノはちょっと恣意的過ぎるような気もしないではないし多分完璧には弾いてなさそうだけど、まぁ、その分バレンボイムならではの情の込もった、弱音の音色の美しさや強音の力強さとかあって、この人はこれでいいんだろうと思う。バレンボイムはやっぱりピアニストだな、とも思う。
まさに自分の世界を遠慮なくつくるバレンボイム(結構自在に弾くバレンボイムにあわせるオケは大変だったんじゃないかとも思うが)とときにピアノに遠慮か?と思わせるところがないではないが基本的に重く大きな堂々たる響きのドゥダメル&オケ。
録音は奏者がいいのかホールがいいのか録音がいいのか、ピアノの音なんかも美しく綺麗に録れている。
テンポはゆったり。スターの興行で期待通りにスターが振舞うお祭り的な雰囲気を感じないでもないが、大きく濃い(情、美、力…いろんな点で)演奏であるのは確かだと思うし、こんな演奏もいいと思う。

マーラー 交響曲第5番 テンシュテット/ロンドンフィル

2022-01-15 17:14:16 | マーラー 交響曲(第2番「復活」 第5番)
マーラー
交響曲第5番

指揮…テンシュテット 
演奏…ロンドンフィル
好み度…5(5点満点)

1978年 セッション。
テンシュテットの同曲では後の1988年の同じオケとのライブや1980年のNDRとの盤などのほうが名盤としてよく挙がるが、このセッション盤も十分名盤の名に値するものと思う。
後のライブ盤のような大きさは感じないが、ぎゅっと凝縮されたような堅固な密度と躍動感を帯びた力感が感じられ、ライブ盤がテンシュテットらしさが前面に出た名盤であるならこちらはより普遍的な(それでもテンシュテットらしい)名盤と感じる。
NDRとロンドンフィルの力量の差云々も聞かれるが、私には不足感ない響きであり、実直でエネルギーと情の込もった好感の持てる響きである。
アダージェットは、特に弱く弾いたりせず結構しっかり弾きつつ、濃い郷愁というか甘美なものへの憧れというか、セピア色の風景のような、そういった情を彷彿とさせる。11分55秒とあるが、全く間延びを感じず、自然に浸れる思いがする。フィナーレはたっぷり力強い。
先にライブ盤ほどの大きさは…と書いたが、それでも他盤に比べれば十分に雄大であり、実直なエネルギーと情に満ちた、比較に出した2盤にひけをとらない名盤でしょう。

ブラームス ピアノ協奏曲第2番 伊藤/フルネ/東京都響

2022-01-09 14:08:43 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第2番

ピアノ…伊藤 
指揮…フルネ 
演奏…東京都響 
好み度…4.5(5点満点)

華奢な華美はない。オケもピアノも器用な雰囲気ではないが、不器用なくらいの一音一音踏みしめるような重みの効いた空気感がブラームスらしい。
ピアノもオケも重いけど濁りはなく、ピアノの嫌味のないタメも雰囲気を作っているし、オケの低弦も含めいろんな音が重くがっちり噛み合った充実した響きは印象的。そんな両者が違和感なく融合して、大きさとか派手さは感じないけど、がっちり充実したブラームスである。