好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 バルト/エッシェンバッハ/ロンドンフィル

2017-05-14 09:07:15 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ 
ピアノ協奏曲第3番 

ピアノ…バルト
指揮…エッシェンバッハ
演奏…ロンドンフィル
好み度…4.5(5点満点)

ややゆっくりめのテンポで、ピアノもオケも強さや緊張感よりは、録音による印象もあるようにも思うが、しっとりと落ち着いた印象を受けるくらいの雰囲気。
第1楽章前半は強い起伏はあまり見せないが、ゆっくりめのテンポの中、その叙情性は独特の雰囲気をつくって印象的であり、大カデンツァは低音の迫力も印象的に重量感と情感に満ちた聴き応えのあるものになっている。
第2楽章はゆっくりと静かに確かな重みを持つかのような響き。
終楽章はピアノもオケも堂々とした力強さを加え、また、叙情部もさらに叙情性を濃くしたかのようなであり、かなりゆっくり情感込めて奏されるフィナーレもこの演奏にはしっとりあっているように思う。
歯切れのよさや厳しさや華やかさ、引き締まった感には欠けるかもしれないが、この曲はこんなに叙情系の曲だったっけ、と思うくらいの、悪い意味でなく沈んだ感じのたっぷりの叙情性や重量感を感じる魅力を持った盤のように思う。

チャイコフスキー 交響曲第4番 バルビローリ/ハレ管

2017-05-14 09:05:04 | チャイコフスキー 交響曲第4番
チャイコフスキー 
交響曲第4番 

指揮…バルビローリ
演奏…ハレ管
好み度…3.5(5点満点)

少し速めのテンポで勢いよく押していく感のある4番。力はあって野性味のようなものは感じるが、縦の線にしてもアンサンブルにしても勢いに任せてやや雑というか、そんなところも感じる。
録音は良好とは言えないがそれほどひどいというまでもいかない、といったところか(バルビローリ協会盤)。
とはいえ終楽章の、重い打楽器をどかんどかんと打ってのなりふり構わないような鳴らしっぷりは1つの価値だと思う。
特に金管がキンキン耳障りなこともなく、金管も弦も打楽器も全部いっしょになって野性味あふれて豪快。叙情性とか洗練とかでなくこの曲の豪快な鳴らしっぷりを聴きたいときには結構いいんじゃないかな、との印象の盤。

ブラームス 交響曲第2番 マズア/ニューヨークフィル

2017-05-14 09:02:44 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番 

指揮…マズア
演奏…ニューヨークフィル
好み度…3(5点満点)

標準的だが、特に何をしているわけでも特有の雰囲気が感じられるでもなく、金管もフィナーレに至ってもどこか遠慮がちでさえあり、全体的に力感にも艶にも欠ける印象も受け、特にどうという盤ではないような印象でした。

ブラームス 交響曲第4番 ザンデルリンク/ベルリン響

2017-05-13 13:50:25 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…ザンデルリンク
演奏…ベルリン響
好み度…3.5(5点満点)

弦主体のゆっくりした、教会での録音らしい柔らかく残響豊かな響きの、ブラ4。こ
の全集の中でも特に評の高い盤のようだが、私には特に響くものはなかった。
かなりゆっくりと、清らかに柔らかく厚い響きが重くもの悲しさを誘うようではあるが、特に叙情性が出ているかといえばそのようにも感じず、特に深い響きがあるかといえばそうにも聴こえなかった。


ブラームス 交響曲第2番 アンチェル/チェコフィル

2017-05-13 13:45:44 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番 

指揮…アンチェル
演奏…チェコフィル
好み度…4.5(5点満点)

チェコフィルの、クリアで賑々しくない活気と艶とほんのりと郷愁に似た情を感じさせる響きはこの曲に合っていて、アンチェルがこれをしっかりまとめて、特に濃い情感を感じるとかというわけではないのだけれど、全編ほのかに情感を漂わせながら、これくらいしっかり上質にまとまると快感を伴うような心地よさを感じる。
よくブラームスの田園交響曲という表現を見かけるけれど、この演奏はすっきりしていながら無機的でなく、爽快な青空の下の少し情を漂わせた高原を感じるような演奏である。
特にクセや情感は出していないのだけれど、無機的にも凡庸にもならずに、響きを聴いただけで嫌味も邪気もない雰囲気に好感を感じるような演奏である。
録音も1967年と聞いて驚くくらいに上々。重厚感とかは感じないが、アンサンブルはクリアで美しく、終楽章など活気を伴ってフィナーレは結構熱さも帯びている。重くないタイプのブラ2の名盤の1つと思う。

ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界」 ケンペ/チューリッヒトーンハレ管

2017-05-13 13:40:19 | ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より
ドヴォルザーク 
交響曲第9番「新世界」 

指揮…ケンペ
演奏…チューリッヒトーンハレ管
好み度…4.5(5点満点)

残響も美しくほんのり明るく伸びやかな響きでありながら、軽やかにならずむしろしっとりした濃い情感が漂い、ともすれば華やかなポピュラーソングのように響くこの曲を、しっかりとしっとりと染み入る響きで聴かせている。
例えばフリッチャイのような厳とした圧倒感でなく、チェリのような大曲感でもなく、包まれるような優しさを感じさせる厚みのようであり、その優しさが望郷の念を強く、しかし自然に感じさせているようである。
各楽器の利かせ方も情感あるいは奥行きを与えて上手いし、ティンパニなどの打ち込みも硬くないが要所でしっかり力感を聴かせている。フィナーレはちょっと好みとは違うけど独特の雰囲気ある力感もあるし、こういう演奏ならこの曲も聴いてもいいな、と思わせるような演奏である。
ちょっと地味かもしれないが、特有の雰囲気をもったなかなか得がたい盤のように思う。

チャイコフスキー 交響曲第5番 ソキエフ/トゥールーズ・キャピトール管

2017-05-07 11:39:28 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…ソキエフ
演奏…トゥールーズ・キャピトール管
好み度…4.5(5点満点)

内声豊かに、快活に、華やかに謳ったチャイ5である。
気の利いた細かな起伏やテンポの動きも嫌味なくつけられ、スタイリッシュでもありながら線の細さは感じない。
どこか明るい雰囲気はフランスのオケであることが関係するのだろうか。
土臭いような情感や力感あるいは重厚感などは感じられず、快活に、スタイリッシュにまとめられて颯爽と若々しい新鮮なチャイ5であり、フィナーレがもう少し力感があればなぁ、という気もしないではないが、凡庸でない快演である。
洗練されつつ細くない、どこか新感覚なチャイ5といえるのかもしれない。

20210220  久しぶりに聴いて、やっぱりこれは颯爽と、気障でなくカッコよい。センスの良さに満ちたようなカッコよさ。最初の高揚部なんかもこれ以上カッコいい盤ってあるのかな?なんて思う(最近聴いた中では佐渡のもよかったか…)。フィナーレもかつては力強い響きを求めてたんだろうけど、今聴くと弱いわけではないし爽やかな力は感じられてこれはこれで悪くない。好み度4から4.5に変更。

ブラームス 交響曲第2番 デイヴィス/バイエルン放送響

2017-05-07 11:35:34 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番 

指揮…デイヴィス
演奏…バイエルン放送響
好み度…3.5(5点満点)

ブラームスの中ではこのコンビに合っている曲と思われ、丁寧で透明感のある美しい仕上がりになっていると思う。
上質の絨毯を連想するような、柔らかく上質な演奏と思う。
デイヴィスはここでも強い主張はしない。ひらすらに丁寧に上質の音を届けてくる。力強さや情に訴えかけてくるような表現はあまり感じないが、軽かったり線が細かったりというわけではなく、バイエルン放送響ならではの、透明感ある響きの中に密度の濃い一級のアンサンブルを感じる演奏、といった感。
終楽章にはもうちょっと活力があれば、という気もするが、フィナーレは結構強く締めている。明るさというよりは透明感のある落ち着きを感じさせる雰囲気で、後は好みと思われるが、強さとか情とかよりも少し静かに上質な美しいブラームスを聴きたいときにはよい盤だと思う。

ブラームス 交響曲第4番 スクロヴァチェフスキ/ハレ管

2017-05-07 11:29:54 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…スクロヴァチェフスキ
演奏…ハレ管
好み度…3.5(5点満点)

録音のせいか、全体に生気というか意思というか、スクロヴァらしい雰囲気が感じられない盤のように思う。
同じハレ管とのブラームスでも1番はザールブリュッケン盤とはまた違った魅力を感じさせていたけど、思えばこのころはまだスクロヴァ的なものが強く出ていないころなのかもしれない。
きちんと厚みのある音をつくっているし、悪い演奏ではないと思うが、少なくともスクロヴァに期待していた何かは感じられないかな、という印象。

ブラームス 交響曲第1番 ティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデン

2017-05-06 11:55:31 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ティーレマン
演奏…シュターツカペレ・ドレスデン
好み度…5(5点満点)

ブラボーである。熱狂的なブラボーでなく、しみじみとした充実感と感銘を以って、拍手を送りたくなるようなブラボー。
華やかさや推進力や機能美に勝る演奏は他にもあると思うが、くすまない落ち着きを感じさせる上質で深みも感じる響きで、ブラームスらしいゆったりさと艶を持った重さを感じさせる。テンポはきめ細かく動かしているが、違和感はなく、第1楽章の高揚部とかフィナーレへの追い込みとか、迫るところはさすが名門の厚みで迫るし、終楽章のホルンの独奏や例の主題の、静かに湧き上がるような処理も美しく、フィナーレの凱歌もゆっくりと輝かしくも美しい。
ティーレマンの表現も統制も見事と思うし、オケの柔らかく重厚でくすまない、格調の高さも感じさせる響きもさすがと思う。
録音もよく、そのせいもあるだろうが、ミュンヘン盤で感じた、全体的にちょっと抜け切らない感をこの盤で感じることはない。テンポなど結構独特にやっているが全体の印象としてなぜか「正統」を感じるような、一級の名盤と思う。