好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス 交響曲第1番 カヒッゼ/トビリシ響

2024-01-14 00:04:42 | ブラームス 交響曲第1番

ブラームス
交響曲第1番

指揮…カヒッゼ 
演奏…トビリシ響
好み度…4.5(5点満点)

一見、緊張感や締まりが感じられず、ぼやけたような重みはあるが迫力も感じられない、
そんな演奏のような印象を与えるようで、
だが、何だか捨て難い、
聴いているうちに、何だかこの曖昧模糊としているようで実は崩れていない、輪郭を少し曖昧にした中でゆたりのたりとうごめく重みを帯びた音たちがこれはこれでいい雰囲気をつくっているような気もしてきて、
ゆったりしたテンポで謳われる情や歌もむしろ他ではないような気もするし、
実は結構いい盤なのでは、と思えてきたり…
何か不思議な感じのする盤。
他の盤でよいと思ったようなものの再現とかうまさとかを期待するとがっかりするかもしれないが、そういう聴き方をしなければ実は結構味わい深い盤のように思える。


ブラームス 交響曲第1番 ボールト/BBC響

2023-11-19 13:08:53 | ブラームス 交響曲第1番

ブラームス
交響曲第1番

指揮…ボールト 
演奏…BBC響
好み度…4(5点満点)

ライブ盤。録音はまずまず、ロイヤルアルバートホールというホールの特質もあるかもしれないがやや残響は多め。
以前聴いたロンドンフィルとの演奏ががっちり隙のない演奏だった印象と比べると全体的にやや大味な印象を受けるが、かえって野性味だったり勢いを感じさせるところはある。ライブというところもあるかもしれないしBBCというオケの性質もあるかもしれない。
全体的に細かな配慮が効いた感じではないし、第2楽章なんかは深みも情緒も感じられないが、特に両端楽章での豪快な金管はじめ思い切り良く鳴るオケとフィナーレ凱歌の重量感ある力強さなんかはなかなか捨て難い。演奏後の聴衆もかなり盛り上がっている(イギリスあるいはこのホールでの演奏会ではこういう盛り上がり多いかな…)。
ちょっとがさつな感は受けるが重い勢いある雰囲気がなかなか他にありそうでない、それなりの魅力は感じさせる盤。


ブラームス 交響曲第1番 秋山/東京響

2023-05-27 15:35:44 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…秋山 
演奏…東京響
好み度…4.5(5点満点)

健全で、嫌味も誇張もなく、明るくおおらかな人のよさが滲み出ているような、そんなブラ1。
低音が特にうなると言うこともなく、残響多い録音も手伝ってか、重厚と言うよりは明るい大きさが印象に残る。
特にこのコンビの双方への、あるいは秋山のこの曲への愛着が感じられるような、素直で温かく、大きく爽快な演奏のように思う。
テンポは細かく動かすことなく、泰然と少しゆったりめの印象を感じさせながら進んで、フィナーレも明るく大きく堂々としたもの。 
聴いた後特にうならされるような、そういうタイプの演奏ではないが、ここはこうしてほしいな、というところも個人的には合ってるところも結構あって、大きく伸びやかで、好感の持てる盤である。

ブラームス 交響曲第1番 セーゲルスタム/ラインラント=プファルツ州立フィル

2023-02-26 14:34:11 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…セーゲルスタム 
演奏…ラインラント=プファルツ州立フィル 
好み度…5(5点満点)

厚く、力強く、奇をてらわず、正統で…、重厚と言うよりはやっぱり力強い。
第1楽章なんかもブラームス特有の寄りかかりあうような重量感や渋みとかというよりは、圧倒的ともいえるような活力でグイグイと押してくる印象。
第1楽章ではちょっと忙しない印象も受けなくはないが、終楽章ではその力強さがピッタリハマって十分な醍醐味となって、フィナーレの堂々たる凱歌と相まってとても心地よい。
上手さとか完成度とかを聴く盤ではないと思うし、好みだろうけど、隠れ名盤とはこういう盤のことを言うのではなかろうか。
後年のトゥルクフィルとの演奏のほうがうまいのだろうけど、私はこちらが好み。

ブラームス 交響曲第1番 メータ/ウィーンフィル

2022-12-11 07:50:28 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…メータ 
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

感動的とか、特別な何かを感じる盤ではないように思うが、ウィーンフィルが美しくよく鳴っていて、そこは魅力。
処理も運びもオーソドックス、ただ、低弦とかやや強め、ティンパニもうまいこと効いてるし、弦のメリハリも自然にだけど結構ついていて、フィナーレをもうちょっと雄大か力強くやってくれていたら結構お気に入りの盤になっていたと思う。フィナーレもごく普通のレベルには鳴っているけど個人には追い込みも含めてちょっとあっさりした印象。
全体的には重みと美しさを伴ったウィーンフィルの響きの美しい古き良き正統ブラームスといったところかと。
第1楽章の反復ありだけど、個人的には1番も2番もブラームスの交響曲は反復無しでいいように思う。

ブラームス 交響曲第1番 朝比奈/都響

2022-11-23 10:20:35 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…朝比奈
演奏…都響 
好み度…5(5点満点)

音の圧が凄い。帯に「奇跡の音塊」とあるが、確かに「塊」といった表現が合うように思う。しかも重量感たっぷりの塊。
テンポはいたってゆっくり、重量感とスケール感に満ちた演奏である。第1楽章中間とか終楽章終盤の盛り上がりなど、何かがメキメキと盛り上がるような圧倒感を感じる。
全編熱く重く大きなブラームスである。ライヴならではのそのときの熱い空気感がそうさせたのかもしれない。個人的には終楽章始めのホルンの独奏が、ゆったり感がなく、しかも伸ばす音の最後を大きく吹く吹き方(スコアはそうらしいが)が、どうも馴染めず、その点だけ残念。

ブラームス 交響曲第1番 ブルゴス/ドレスデンフィル

2022-09-11 18:57:34 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…ブルゴス 
演奏…ドレスデンフィル 
好み度…4.5(5点満点)

何も引かず何も足さず上質、そんなフレーズがふと浮かぶ。
所謂面白みや強い個性を求める向きにはもの足りない演奏ということになるのだろうが、オーソドックスの真ん中を行きつつ安価なBGM風ではなく腰の据わった響きでしっかりしたアンサンブルに聴きたい音はスッと響いていて、フィナーレは自然に堂々と響かせ、第2楽章の弦なんかも結構美しい。
ごく自然にこの曲のよさに浸りたいときにとてもよい盤のように思う。
ブルゴスは、きっと強い我を感じさせる演奏はしないが曲の良さを自然な形で引き出すのが上手い指揮者なんだと思う。

ブラームス 交響曲第1番 フルネ/東京都響

2022-07-24 18:31:21 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…フルネ 
演奏…東京都響 
好み度…5(5点満点)

これはいいですねぇ。都響のブラームスらしい音色もいいし、フルネの力強さと重みをもった展開や音づくりもいい。
ブラームスらしい重みと渋みのある骨っぽい響きや、金管と弦のからみもブラームスならではの雰囲気があって何ともいい。
ゆっくり高らかにトランペットを中心に謳うフィナーレも個人的にはこれまたいい。
録音も上々。
テンポは所謂普通の速さ、終楽章だけ結構テンポを細かく変えてるが、緩急に嫌味やストレスは感じない。まったりというよりはもうちょっと強いものを感じるタイプかと。
高名な指揮者とオケのブラ1も結構聴いてきたけど、それらと比べても何の遜色も感じない、というか私にとってそれらの多くを凌ぐ最上のランクに入る盤。
日本のオケのブラ1でいえば尾高と大阪フィルもよかったが、あちらがどちらかといえば大きさ、こちらはブラームスならではの響きが印象として残る。そういえば都響はマークとのブラ1もいい盤だしなぁ。
余談だが引退公演のブラ2も入手したいけど、難しそうだなぁ…。

ブラームス 交響曲第1番 ブロムシュテット/ライプツィヒゲヴァントハウス管

2022-06-26 16:56:02 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…ブロムシュテット 
演奏…ライプツィヒゲヴァントハウス管
好み度…5(5点満点)

力強さとか推進力とか活力とか、そういうほうを向いたブラ1ではない。
厚くほの暗くのしかかるようなブラ1でもない。
ゆったりと、ごく自然に、自然な重みと深みと貫禄を湛えて美しい。
フィナーレこそ輝かしい雰囲気もあるが、どちらかといえば大人しい印象すら与えるかもしれず、元気なブラ1を聴きたいときはこの盤はないと思う。ゆっくり上質の音を聴きたいとき、かな。
かなり高齢になったブロムシュテットは今更力漲るブラ1は志向してないように思うし、ゆったりと、しかし弛緩とか安易とかとは無縁である。
ゲヴァントハウスの弦の音色はここでも美しいし金管も終楽章のホルンの独奏など実にいい。
ペンタトーンの録音も期待を裏切らない。
終楽章などもこれくらいゆったりやると聴いているほうがたるんでしまいそうだがそうならないのは音色と録音の美しさも寄与しているかもしれない。フィナーレはゆったりしっかり充足感に満ちたような趣を感じる。
ブロムシュテットはちゃんとしているがあまり特有の雰囲気はつくらない指揮者かと思っていたが、ブロムシュテットの到達した1つの境地を聴くようでもある。
力強さとか推進力とかは感じないのでこの曲の決定版とか言われるようなこともないのかもしれないが、名盤とは言われていくのではないだろうか。ベートーヴェンの全集はほんのちょっと聴いた限り軽い響きのタイプのようだが、こちらはしっかりフルオケの響き。

ブラームス 交響曲第1番 尾高/大阪フィル

2022-02-20 14:09:27 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…尾高 
演奏…大阪フィル
好み度…4.5(5点満点)

こんなブラ1がこういうコンビで聴けるんだったとは。
大きく、堂々、フィナーレもゆったり輝くような(日本のオケ(指揮者が日本人でなくても)の演奏はゆっくりしたフィナーレが多い気がする。日本人がそういうのが好きで奏者が好みに合わせたりするとかあるのかな)。録音も上々。
大阪フィルの響きもアンサンブルも上々。重心低め、弦は結構厚く美しいしソロもなかなか。尾高のテンポ設定も音の出し入れも大きく厚く響かせるところは響かせて、少なくとも私の好みにはかなりマッチしててフィナーレなんかは追い込みあたりから感動的に近い感覚を覚えた。こういう感覚は札幌響と堤のチャイ5以来かな。失礼ながら、今までも多分店頭で見かけてはきたんだろうけど、あんまり関心を向けてこなかったけど、日本のオケもすごいんですねぇ。
いやぁ、高名な指揮者やオケのいろんなブラ1も聴いてきたけど、こういうコンビでこんな演奏が聴けるんだったとは。