ベートーヴェン
交響曲第9番「合唱」
指揮…ケーゲル
演奏…ライプツィヒ放送響&合唱団 他
好み度…4.5(5点満点)
なぜだろうか、特に高い完成度を感じるわけでも迫る厳しさや力強さがあるわけでもないのだけれど、凡庸にならずに、何か魅かれる雰囲気を漂わせた響きである。
力強くもあるが、自信に満ちたというよりは陰影を感じさせ、敬虔であるが、崇高というよりは人間的であり、華麗な響きを聴かせるわけではないが、特有の雰囲気を濃く感じさせている。
整いきっていないところもむしろ味わいに感じられるようなところもあり、弦は素朴な深みを感じさせる。
ライナーノートでは終楽章前半までは奇異とか特異とか、そんなことが書かれているが、そういう演奏ではない。素朴だが、人間的な苦悩も内包するかのような深みと美しさが感じられるケーゲルらしい響きである。
終楽章は、声楽が入ってから少し速度を落とし、合唱は圧倒感とかは感じないが、透明感と広がりを感じさせて美しく、ときにゆっくり、声量を落とすところは落として、美しいアンサンブルも印象的。歓喜の歌もゆっくり清清しく、全体的に歓喜を歌い上げるというよりは熱を排した清らかな祈りの歌のようでもあるが、後半はもうちょっと声量出しても、との感はある。
ちなみにこれより先の録音のドレスデンフィルとの盤との比較では、雰囲気ある響きという点ではこちら、クリアな完成度とか終楽章後半の力感も備えた聴き応えなどではドレスデン盤、といった印象。
独唱もそんなに前に出すぎていないのがいい。
大げさでなく、激しさというよりは人間味のある深みを漂わせた敬虔な祈り、の印象の、こんな第九があってもいい、と思わせる、一種の名演のように思う。
交響曲第9番「合唱」
指揮…ケーゲル
演奏…ライプツィヒ放送響&合唱団 他
好み度…4.5(5点満点)
なぜだろうか、特に高い完成度を感じるわけでも迫る厳しさや力強さがあるわけでもないのだけれど、凡庸にならずに、何か魅かれる雰囲気を漂わせた響きである。
力強くもあるが、自信に満ちたというよりは陰影を感じさせ、敬虔であるが、崇高というよりは人間的であり、華麗な響きを聴かせるわけではないが、特有の雰囲気を濃く感じさせている。
整いきっていないところもむしろ味わいに感じられるようなところもあり、弦は素朴な深みを感じさせる。
ライナーノートでは終楽章前半までは奇異とか特異とか、そんなことが書かれているが、そういう演奏ではない。素朴だが、人間的な苦悩も内包するかのような深みと美しさが感じられるケーゲルらしい響きである。
終楽章は、声楽が入ってから少し速度を落とし、合唱は圧倒感とかは感じないが、透明感と広がりを感じさせて美しく、ときにゆっくり、声量を落とすところは落として、美しいアンサンブルも印象的。歓喜の歌もゆっくり清清しく、全体的に歓喜を歌い上げるというよりは熱を排した清らかな祈りの歌のようでもあるが、後半はもうちょっと声量出しても、との感はある。
ちなみにこれより先の録音のドレスデンフィルとの盤との比較では、雰囲気ある響きという点ではこちら、クリアな完成度とか終楽章後半の力感も備えた聴き応えなどではドレスデン盤、といった印象。
独唱もそんなに前に出すぎていないのがいい。
大げさでなく、激しさというよりは人間味のある深みを漂わせた敬虔な祈り、の印象の、こんな第九があってもいい、と思わせる、一種の名演のように思う。