好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ドヴォルザーク 交響曲第8番 ビエロフラーヴェク/チェコフィル

2016-10-29 23:48:10 | ドヴォルザーク 交響曲第8番
ドヴォルザーク 
交響曲第8番 

指揮…ビエロフラーヴェク
演奏…チェコフィル
好み度…5(5点満点)

1992年録音。力強さや活力に満ちた華やかさには少し欠けるかもしれないが、その分しっとりした繊細さのようなものを加えて、ややおとなしめながら豊かな内声も優しく美しい、秀演と思う。
清清しく美しい叙情性が響きに感じられるあたりが何も感じない演奏とちがうところか。高揚部も華やかさや力感にやや欠けるとはいえ、不足感はない。
強奏部よりむしろ叙情部のほうが印象的な、ドヴォ8の、しっとりした郷愁の側面を聴くような演奏であり、こんなドヴォ8もよい。

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 サイ/テミルカーノフ/サンクトペテルブルクフィル

2016-10-29 23:42:49 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー 
ピアノ協奏曲第1番 

ピアノ…サイ
指揮…テミルカーノフ
演奏…サンクトペテルブルクフィル
好み度…5(5点満点)

世間的に「名盤」と位置づけられているのかどうか私にはわからないが、私にとってこの盤はこの曲の名盤の1つ。
サイのピアノが適度な起伏を含ませながら、透明感があり、少し熱を帯びるように強く、美しい。
オケはややくすんだ抑えめな印象ながら、ある意味ピアノ協奏曲のバックとしてはほどよい距離感で、両者による序奏はなかなかに絶品。
その後の第1楽章も、サイのピアノは、さまざまなフレーズにほかの演奏とはと少しちがうアクセントを与えながら、それほどテンポは変えないが強さと新鮮さと美しさを聴くものに印象付けていく。
第2楽章は特に味付けはないが他の盤より少し弦を前に出して落ち着いた趣で奏され、終楽章は第2楽章を少し絞った制もあるのか、ピアノに心地よい輝きが感じられ、オケの響きも派手さはないが渋く程よく厚く、好サポートといえると思う。
録音もピアノの透明感をもしっかりとらえて優秀、残響もほどよい。
尊大でなく、肩肘はってなく、トリッキーなこともしていないが、典型の中に輝きと新鮮さを備えた名盤だと思う。

ブラームス 交響曲第1番 ザンデルリング/シュターツカペレ・ドレスデン

2016-10-29 23:36:55 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮ザンデルリング
演奏…シュターツカペレ・ドレスデン
好み度…4(5点満点)
 
鉄板扱いに名盤の誉れ高い盤ですね。
どっしり重厚に、のタイプかと思いきや、むしろ明るく明晰な音質でテンポもむしろ快活に、歯切れよいエネルギーを感じる、大変バランスのとれたある意味華やかな響きとさっぱりした推進力とか力感とかを感じる演奏のように思う。
ただ、どこか重みとか情感に欠けるような印象も受け、個人的には何となく好みに合わないかな、といったところ。
バランスといい線の揃え方といい高い水準を聴かせながら明るい燃焼感も併せもつ、優れた演奏とは思うが、個人的には世間で決定盤といわれているほどには感銘を受けない印象を受ける。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番 アックス/トーマス/サンフランシスコ響

2016-10-24 00:46:37 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第4番

ピアノ…アックス
指揮…トーマス 
演奏…サンフランシスコ響
好み度…4(5点満点)

その響きにびっくりした。そこそこいろんなCDを聴いてきたが、その響きにちょっと感動した。
この曲はほぼ聴かない曲だが、この演奏あるいは録音はすごい。まさに美しい。
弦の響きは輝くような艶と躍動感あるいは力感に満ち、木管は柔らかく、潤いのある艶で、木管でしかつくれない空気をつくり、ピアノの自由で開放感ある、透明感と若々しい力を備えた響きも美しく、低弦がまた、厚みと推進力を与えて大変効果的で印象的。
そしてこれらが一体となってつくる響きが、聴いたことのないような臨場感というか、目の前で演奏が繰り広げられているような、よい意味での生々しさで響いてくる。ベートーヴェンの気品と力強さがこれくらい秀逸に記録された録音もあまりないのではないだろうか。
曲の好みを超えて、オケの、ピアノのその響きにまさしく魅了される盤。

上の投稿をした後、いくつかこの曲を聴いて、まぁ録音のよさにちょっと興奮してたかな、との感もある。録音は今聴いても臨場感ある秀でたものと思うし、演奏も整った活力もあるいい演奏であると思うが、ピアノはどこか青い果実のようで味わいが感じられないような印象も受け、オケもしっかり整ってシンフォニックであるがこの曲のもつ貴婦人のような気品は感じられないといった面も感じる。イメージとして、ヨーロッパの古い街並みとアメリカの新しい街のちがいのような(この盤はアメリカの街)、そんな印象を全体では受ける。(好み度5から4に変更)


ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 レイボヴィッツ/ロイヤルフィル

2016-10-24 00:42:31 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン
交響曲第5番「運命」

指揮…レイボヴィッツ 
演奏…ロイヤルフィル
好み度…4.5(5点満点)

響きは、厚いが、重厚というよりは少しどこか明るく軽妙な雰囲気を感じさせる響き。
とはいえ軽いわけではなく、若々しい活力のようなものや推進力を十分に感じさせてなかなか聴き応えのある運命のように思う。
第1楽章は少し速めのテンポで、ちょっと現代風な雰囲気を持ちつつ力強い推進力もまた印象的。
第2楽章は特に叙情を感じるものではないが第3楽章はなかなか豪快。終楽章も活力に満ちた響きは爽快。
感銘を受けるとか、一音一音の重厚な響きやアンサンブルを聴くとか、というタイプではないかもしれないが、全編を貫く厚く若々しい活力と推進力を爽快に聴ける盤のように思う。

ブラームス 交響曲第4番 エッシェンバッハ/シュレスヴィヒ・ホルスタイン祝祭管

2016-10-24 00:32:01 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス
交響曲第4番

指揮…エッシェンバッハ 
演奏…シュレスヴィヒ・ホルスタイン祝祭管 ブ
好み度…5(5点満点)

2005年のサントリーホールでのライブ。
響きには深みと清らかさも同居させて、情感と厚みをたっぷり感じさせながら、くどくならずに、いかめしくならずに、一貫してこの曲特有の美しさを保ちつつ、その情感は切なさを伴った情熱といえるようであり、きめ細かく、あるいは大きく動くテンポの動きやレンジの波も効果的で、ときに強く、ときに美しく重なり合うアンサンブルも秀逸のように思う。
第1楽章の情感にあふれ透明感ある力感を伴った響きとブラ4特有の雰囲気をよく出したアンサンブル、第2楽章の美しさ、終楽章の情感こもった、ときに圧倒されるような力感…、聞けば腕の立つ若手で構成されたオケというが、多感な情感と情熱、透明な美しさと力感漲る響きはオケのそんな構成ともイメージが合うような気がする。そんな響きにエッシェンバッハの情熱、若手といったって一級の水準のアンサンブルがあいまって、これは大名演でしょう。

ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 アバド/ベルリンフィル

2016-10-22 21:29:32 | ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より
ドヴォルザーク 
交響曲第9番「新世界より」 

指揮…アバド
演奏…ベルリンフィル
好み度…4.5(5点満点)

アバドはほんとに風格と厚みのあるまっとうな音をしっかりつくる指揮者だと思う。
難を言うとすればそれがあまりにまっとうすぎることだろうか。
冒頭は静かだが、雰囲気漂う印象的な出だし。まっとうだが厚みと風格のある響きで次第に最初の高揚部へ導かれていく様はさすがの感がある。
終楽章の金管による主題のファンファーレは少し速度を落として堂々と力もあってかっこいい。
どちらかといえば金管の目立つ演奏が多いような気がするこの曲にあって、低弦の支えも含めて大変バランスのよいアンサンブルの中で弦が厚く豊かに響くこの演奏はアバドらしい正統性と豊かさと風格を感じる演奏だと思う。

ブラームス 交響曲第1番 ズヴェーデン/オランダフィル

2016-10-22 21:26:47 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ズヴェーデン
演奏…オランダフィル
好み度…4.5(5点満点)

こんなところにこんなブラームスが?と思うくらい、なかなかよい。
第1楽章は、ことさらに重厚とか、凄みとか、といったタイプではないが、弦も金管もよく鳴って、どちらかといえば透明な艶を伴いつつ、しっかりした厚みとアンサンブルを持った響きを聴かせている。
第2楽章は主旋律は保ちつつも様々な弦が美しく織り合い、なかなか美しい。
第3楽章も重さは感じさせず爽やかな感を残して通り過ぎる。
終楽章もほの暗さを伴うような重量感は感じないが、透明な艶のある響きは程よい厚みも感じさせつつしっかり響き、熱くはないが冷たくなく、前半のホルンやフルートのソロはゆっくりと、タメも効果的におおらかに美しい雰囲気をつくり、弦による主題も情感を感じさせ、フィナーレは追い込みも厚く、凱歌はゆっくりと、しかし威圧的でなく賛歌のように響き渡る。
凄みや、高い弦や金管による切迫感のようなものは感じないが、どこか透明感のある艶のある厚みと、過熱しない厚みの中に感じられる繊細さと柔らかい情感、そしてフィナーレのゆっくり輝くような響きが印象的な、ちょっと新鮮な特有の雰囲気をもった、フィナーレをゆっくりやってくれる演奏が好きな私にとって秀演である。

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ブロンフマン/サロネン/フィルハーモニア管

2016-10-22 21:22:58 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
ラフマニノフ 
ピアノ協奏曲第2番 

ピアノ…ブロンフマン
指揮…サロネン
演奏…フィルハーモニア管
好み度…3.5(5点満点)

冒頭から、オケもピアノも落ち着きと重さも湛えて叙情味も感じさせ、また、両者のバランスもよく、ピアノはしっかりと澄んだ音を打ち、オケは弦を中心にしっかり厚く哀愁も帯びてなかなかに美しい。
ただ、特にピアノのほうは、良演ではあろうと思われるが、あまり感情の起伏が表現されている印象はなく、もう少し力強さあるいは激しさ含め何か訴求力がほしいようにも思われる。

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 アンセルメ/スイスロマンド管

2016-10-16 12:29:18 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン 
交響曲第5番「運命」 

指揮…アンセルメ
演奏…スイスロマンド管
好み度…3.5(5点満点)

全体的に重厚感はなく、どちらかといえば明るく軽量級の響きだが、なかなかキビキビと快活なところを聴かせている。
第1楽章ではホルンや低弦の支えも効いていて、軽めとはいえここぞというところでのびやかに鳴り渡る高弦は開放的で快活な感を受ける。中盤少し音量を落としたり終盤の運命の動機の前でぐっとテンポを落としたり、変化をつけているが、これは好みかな。個人的には特に功を奏しているとも思えないが嫌味でもない、まぁ、それはそれでちょっとおもしろいか、といったところ。
第2楽章は軽めの明るい弦がどこか明るい田園的な雰囲気を醸している。
終楽章も重厚とか豊かとかというよりは快活。音作りは比較的シンプルだが結構躍動感も感じさせる(終盤は結構軽い)。
肩の力を抜いて快活に聴ける運命にように思うが、繰り返し手に取るか、といわれたらそういう魅力は特に感じないかな。