好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 テンシュテット/フィラデルフィア管

2017-10-22 10:24:32 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 

指揮…テンシュテット
演奏…フィラデルフィア管
好み度…5(5点満点)

※以前投稿分、誤削除のため再投稿
テンシュテットがチャイコフスキーの交響曲を振った盤があるとは知らなかった。知らずに、思わず見かけて聴いてみたが、これがさすがテンシュテット、の名盤である。
鉄壁のアンサンブル、とか高い完成度、といった類の演奏ではないが、ココロに響いてくる演奏である。
第1楽章は、展開部の出だしこそちょっと音量不足の感はあるが、クライマックスにかけての感情の高まりは引き込まれるものがあるし、それに続く第2主題再現部も雄大で美しい。
第2楽章は結構しっかり謳い込まれ、それなりの雰囲気をつくって聴かせている。
第3楽章は終了と同時に思わずため息に似た歓声ととともに拍手が起こってしまうほどのたたみかけるような推進力が印象的(演奏を中断する拍手はちょっと残念でもあるが、結構盛大な拍手が起こってる)。
終楽章は、前半では、弦が美しい調べを奏する部分の情感を伴った深く美しい響き、後半では、最後にトランペットが昇り詰める部分での、抗えない運命への階段を意志とは関係なく昇らされるかのような、ゆっくり厚い展開なども印象的である。
アメリカでのライブ録音ということで音質はどうかと思ったが、極上ではないまでも、まず良好な部類で、聴衆もまぁ静かなほうかと。
所謂爆演ではないが、テンシュテットらしい虚飾と小細工を排した情感豊かな名盤である。
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ブラームス 交響曲第4番 クーベリック/バイエルン放送響

2017-10-22 09:55:10 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…クーベリック
演奏…バイエルン放送響
好み度…5(5点満点)

このコンビの響きはこの曲に合うんじゃないかと思いきや、やっぱりよく合っていた。
濃くなりすぎず、重苦しかったりくどくなったりせず、繊細だが非力ではなく、暗さとはちがう清らかな寂しさの漂うブラ4のように思う。管弦の重なりも絶妙で響きも美しい。
透明感のある弦の響き、美しい木管の響き、要所でとがらず存在感を見せる金管の重なり、全体としての自然で清清しく美しい響き、やっぱりバイエルン放送響は、あるいはこのコンビはいいなぁ、と感じさせつつ、この地味といえば地味な曲を充実感をもって聴かせている。
よくも悪くも重量感をあまり感じさせず、実直で、清らかに豊かに音を重ねた、このコンビのよさがよい形で出ている、名演でしょう。
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ブラームス 交響曲第1番 リットン/ロイヤルフィル

2017-10-22 09:50:30 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…リットン
演奏…ロイヤルフィル
好み度…4(5点満点)

重々しい重量感はないが、響きは透明感も感じさせる艶と厚みをもったしっかりした響きで、また、ずっとフルで鳴りっぱなしでなく、繊細に聴かせるところとフルで迫るところの自然な使い分けもうまく、第1楽章は冒頭の充実した響きに始まり、後半の高揚部での力感等際立ったものを感じるし、一転、第2楽章での弦の重なりは透明感と繊細さを伴うような美しさを聴かせたりしている。
第3楽章は少し控えめ、終楽章は最初のホルンと続く古フルートのソロの柔らかく優しい響きがまず印象的。その後もどちらかといえば強い力感は感じさせずに柔らかい印象、力感に欠ける印象もあるが、ときに強奏も交えつつゆったりとした柔らかい響きはこれはこれでありか、とも思わせ、フィナーレは結構ゆったり力強くやって不完全燃焼感はあまり感じない。
強い推進力や燃焼感を感じるタイプではないが、優しさと透明感ある厚い響きで、ときに美しく、ときに速度を落として艶のある厚みを聴かせ、ちょっと新鮮味を感じさせる特有の雰囲気を持った盤のように思う。
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チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」  オフチニコフ/モスクワ放送響

2017-10-22 09:47:28 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」  

指揮…オフチニコフ
演奏…モスクワ放送響
好み度…4(5点満点)

何ともロシアものっぽさ満載の録音のように感じる。響きは弦も管も艶たっぷりに、たっぷりの残響、切り裂くようなトランペットもまたしかり。
そんな響きで、聴かせどころではタメを効かせてわかりやすくロマン色濃く謳うものだから、チャイコにはそれがまた合ってたりする。
大きい音は大きく、美しきは美しく、込められた情感は直接的に、シンプルに堂々とそう割り切っているかのような演奏であり、何か、ある意味で素のチャイコフスキーという気にもさせる。
難しいことぬきに、第1楽章第2主題などおおらかで美しいし、展開部クライマックスは盛り上げるし、第2楽章は華美な雰囲気すら感じさせる。終楽章の主題もゆっくり奏され、悲愴感の表現として美しくわかりやすい。終楽章は絶望感というよりは悲しげではあるが美しい。
深みとか精神性とか高い技術とかより、おおらかに大きく艶たっぷりの音でこの曲の美しさ、「悲」だけでない感情の起伏、ロマン的な側面をストレートに聴かせてしまう(ちょっとその響きとともにエンターテインメント的すぎるきらいも感じないではないが)、そんな演奏のように思う。こういう演奏って、やっぱりロシアの人にしかできないような気もする。
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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ティボーデ/アシュケナージ/クリーヴランド管

2017-10-14 11:27:59 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ 
ピアノ協奏曲第3番 

ピアノ…ティボーデ
指揮…アシュケナージ
演奏…クリーヴランド管
好み度…4(5点満点)

ラフ3でそうであったように、このコンビの演奏は感情表現は控えめな印象も受け、そのスタイルはこの曲ではスケール感と情感にやや不足の感も受ける。
ただ、ピアノはその確かな打鍵に飾り気のない情感を秘め、オケもときに深みを湛えた弦など美しい。
第1楽章では叙情部は素朴な美しさを感じさせ、中間のピアノとオケによる主題の強奏部分へ向けて緊張感を高めていく様や、そこをヤマとした楽章全体の構成も心地よく、その強奏部はなかなかに力強い。第2楽章は実直な美しさ、
第3楽章は力感や起伏を増し、スケール感などは特に感じないが、ピアノとオケの確かな技量に、力感と情感がにじむような好演と思う。
華を感じるタイプではないし、スケール感やしっとりした情感はあまり感じず、強い感銘を受ける、といったタイプではないように感じるが、確かな実力のある両者がしっかりまとめあげた質の高い好演と思う。

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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 ケーゲル/ドレスデンフィル

2017-10-14 11:25:53 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン 
交響曲第6番「田園」(東京公演)

指揮…ケーゲル
演奏…ドレスデンフィル
好み度…4.5(5点満点)

録音は弦の音が少しかすれ気味に聴こえなくもないが、それでも敬虔さを漂わせたその響きは美しく、ときに強さも加えてこの演奏にしかない雰囲気を醸している。
第2楽章も独特の美しさを漂わせ、嵐は弦による響きを切り裂くように鋭い金管も印象的に強さと美しさが同居したような響き。
終楽章は基本的に少しゆっくり目だったそれまでから少しテンポを速め、少し熱を帯びる弦と、随所で強奏される金管が印象的。
明るさ快活さとは少しちがう、少々粗いところがないではないが、祈りに通じるような敬虔な響きに熱と力を加えたような、特有の雰囲気をもった演奏と思う。
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ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 ベーム/ウィーンフィル(東京ライブ)

2017-10-14 11:22:32 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン 
交響曲第5番「運命」(東京ライブ)

指揮…ベーム
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

第1楽章は、聴きはじめは落ち着いて重みの効いたよい響きのようで、聴き進むうちに何となく緊迫感に欠けるような感も否めない。
その後の楽章は、尻上がりに気が入っていくようなところはあり、終楽章などはゆっくりめにとられたテンポの中、結構重みのある響きを聴かせている。
個人的には、正攻法で、やはりそれなりの響きは感じられるが、特に何かを感じるというわけでもない、といった印象。
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ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 フリッチャイ/ベルリンフィル/聖ヘトヴィヒ大聖堂聖歌隊 他

2017-10-09 08:38:33 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…フリッチャイ
演奏…ベルリンフィル
合唱…聖ヘトヴィヒ大聖堂聖歌隊 他
好み度…4.5(5点満点)

出だしの強奏から緊張感に満ちた敬虔漂う響きが力強くも美しい。
テンポは自然に動かされ、一音一音に情が込められているかのようであり、一種切実感のような緊張感と美しさと力強さに満ちている。
低弦、高弦、木管、金管が随所に力強く残響も美しく現れ、あるいは力強く下支えをし、活力ある中に敬虔な響きをつくっているようにも感じる。
他の演奏よりは少ししっかりめに奏される第3楽章は、晴れやかに天上をゆくかのように美しい。
合唱はキビキビアクセントをつけた謳い方で、女声の声が強めに出て重さやスケール感というよりはしっかりした活力とともに機能的に明るく爽やかに歌い上げ、これは全体的にやや速めのテンポをとったこの楽章全体の印象ともいえるように思う。歓喜の歌はキビキビと速めに少しあっけないようでもあるが、少し後の、静けさの中から立ち上がる静かな合唱はハッとさせられるような音であり大変印象深い。フィナーレは堂々というタイプでなく明るく熱く熱狂を感じさせるような〆。
艶と張りが印象的な響きの中にときに敬虔さを帯びる激しさや力感を感じさせつつ、活力と、終楽章は明るさに満ちた、しかし深みと張り詰めた空気感を持った、名盤と呼ばれるに相応しい盤である。
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ブラームス 交響曲第4番 ドホナーニ/フィルハーモニア管

2017-10-09 08:36:21 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…ドホナーニ
演奏…フィルハーモニア管
好み度…4(5点満点)

冒頭からテンポはむしろ少し早めで、響きも特に潤いがあるとかいうわけではないのだが、どこかドライな寂寞間のようなものが漂う。
木管と弦の重なりや弦の少し枯れたような、切ないような透明感をもった響きはなかなかに美しく、独特の雰囲気を感じさせる。
第2楽章も聴き手に何かを強要することはないが、清らかな弦と木管を中心に自然な厚みのアンサンブルが美しい。
第3楽章はそれなりに賑やかにやって、終楽章は終盤少し力感も加えた響きの中〆ている。
濃い情感も、フィルハーモニア管の少し華やかな厚い響きも、ドホナーニの機能美も、あまり感じないが、淡々としているようで清らかな透明感を湛えた響きは、どこか侘びとか枯れとかいった言葉が浮かぶような渋い情感を湛えているように感じられる。
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チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 小澤/サイトウキネンオーケストラ

2017-10-09 08:32:18 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 

指揮…小澤
演奏…サイトウキネンオーケストラ
好み度…3.5(5点満点)

情感の込められた、という感覚がないところは小澤らしいといえばらしいが、それなりの美しさと神経の行き届いたところを感じさせる演奏だとは思う。
終楽章の冒頭から中盤にかけてはじめ、弦の響き等なかなか美しいが全体的にはややもの足りなさを感じるかもしれない。
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