好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 リヒテル/ヴィスロツキ/ワルシャワフィル

2016-08-08 09:20:08 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
ラフマニノフ 
ピアノ協奏曲第2番 

ピアノ…リヒテル
指揮…ヴィスロツキ
演奏…ワルシャワフィル
好み度…4.5(5点満点)

冒頭からほの暗く力強い打鍵と、弦楽器の重くほの暗い響きが緊張感を漂わせながら印象的。
ピアノはことさらには情緒的ではないが、しっかりほの暗く情感を織り交ぜながら堂々と、ときに染み入る美しさを聴かせつつ、ここというときの力強さはさすがである。
やはり重く情感豊かな強打が印象的で、強打が映える分、そのコントラストとしての叙情部での深みを湛えた優しい音色もまた印象的。
オケの力量不足をいう声もあるようだが、特に感銘を受けるものでもないが特にもたつき感も感じないし、少し重めでほの暗い響きはこの曲に合っていてよいと思う。
ピアノとオケの距離感は、冒頭の主題でもフィナーレでもピアノががっちり前に出て聴こえるくらいにピアノが前だが、この演奏はピアノが主役の、これでよいように思う。
鉄板の名盤として名高いのが頷ける1枚である。

ブラームス 交響曲第1番 スクロヴァチェフスキ/ハレ管

2016-08-08 09:15:11 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…スクロヴァチェフスキ
演奏…ハレ管
好み度…4(5点満点)

テンポはとくに遅くはないけれど、どこか悠然とした雰囲気と、明るく開放的な響きの演奏と思う。
コントロールされたバランスのよいアンサンブルと明るさを漂わせたほどよい厚みが印象的。
フィナーレの凱歌は結構ゆっくりめで金管を抑えた優しい響きがちょっと珍しい。
重量感とか深みみたいなものは後のザールブリュッケンとの盤には及ばないと思う。
全体的に特に情感とか独特の雰囲気を作り出しているというよりは、厚みは感じさせつつ重くなく、どちらかといえばさらりとした感を受ける、優しさを感じるような明るく爽やかな印象のブラ1。

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ドノホー/バルシャイ/ボーンマス交響楽団

2016-08-08 09:11:02 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー 
ピアノ協奏曲第1番 

ピアノ…ドノホー
指揮…バルシャイ
演奏…ボーンマス交響楽団
好み度…3.5(5点満点)

録音も演奏も至ってオーソドックスながら丁寧、澄んだ音色の印象の、どちらかといえば優しい印象の佳演ではないだろうか。
特に変わったことをしているわけでも、どこが強烈に印象に残る、というわけでもないが、ピアノは弱音部では少しゆっくりめに1音1音を叙情的に美しく聴かせ、強奏部でも特に強い打鍵はないが、オケに負けない強さは持ちつつ澄んだ音色を聴かせている。
オケの厚みも心地よく、録音的には、他の盤と比べると少しオケが強めの印象。
第2楽章は他より静かに丁寧な印象、終楽章でのピアノは少し抑え気味か。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 フランク/スウェーデン放送響

2016-08-05 23:56:34 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」

指揮…フランク
演奏…スウェーデン放送響

好み度…5(5点満点)

何とも特異な悲愴である。指揮者にはこの曲によほどの思い入れがあるのだろう。まずは何といってもゆっくりである。
約55分。かなりゆっくりだけど、緊張感なく遅かったりするのではなく、歌も説得力ある表現もあって納得の遅さであり、第1楽章で21分超、終楽章で14分超あるが、先に進まないもどかしさみたいなものは感じない。そして基本的には美しい。十分な歌があって美しいし、その表現は濃い。
第1楽章展開部のクライマックス等も時間的にはかなり長いが、その密度の濃い表現に気がつくとどっぷり引き込まれている。
かなり新鮮だけど、今までにない絶望感が迫るような情感も感じられ、この曲はこれくらい濃く聴かせてくれていい、と思う。
第3楽章は威勢のよいマーチという明るさは敢えて伴わないようであるが、管弦のバランスも力感も程よく、リタルダンドも聴かせる等、退屈感もない。
終楽章、出だしの弦は清楚でどこかもの悲しげな響きである。中間の弦の調べも、ゆっくり、静かに、丁寧に、情を込めて染み入るような美しさである。
終盤は、大きく口を開けた暗く深い淵を覗かされているような、そんな怖さを連想させるくらいの表現である。
長いけど全然退屈しない、美しくも密度の濃い、普通じゃないけど説得力のある、やっぱりこの曲はしっかり情が込められて初めて生きる、と改めて感じさせる、名盤とは言われないかもしれないけれど、秀演と思う。

ブラームス 交響曲第1番 ベーム/ベルリンフィル

2016-08-05 23:48:48 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ベーム
演奏…ベルリンフィル
好み度…4(5点満点)

名盤の誉れ高い盤だが、個人的にはそれほどの感銘はない。
重厚感というよりはむしろ厳しく構築されつつの推進力を感じる。
大変「しっかり」した演奏で巌のような響きはベームらしい。
ミュンシュといいザンデルといいこのベームといい、世間はどうも深みとか渋みとか情感とかよりは、かっちりがっちりと推進力を湛えた演奏の評価が高いような気がする。
そういった流れでは響きの密度も含め優れた演奏と思うが、個人的には優れているかどうかの他に、響きや表現に特有の雰囲気や情感だったりが感じられるかが好みに結構影響するところがあって、一級の演奏とは思うが好みとしては特に感銘は受けないかな、といったところ。

ブラームス 交響曲第2番 ロヴィツキ/ワルシャワフィル

2016-08-05 23:44:42 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番 
指揮…ロヴィツキ
演奏…ワルシャワフィル
好み度…4.5(5点満点)

世に名盤と謳われるとか、そういう盤ではないかもしれないが、響きは颯爽とした厚い活力に満ち、情感と特有の雰囲気も併せ持った快演である。
録音は多少音割れスレスレみたいなところもあるが、かえって演奏の力感を伝えているような印象もあるし、1962年録音とあるのを見ると逆にそんなときにこんなにしっかりしたステレオ録音があったのかと驚くくらいで、聴くに何の支障もない。
弦も管ものびのびと、管弦合わせて内声も豊かに分厚く豪快なほどに活きのよい響きが印象的。温かく明るめの情感も自然と伴っている。
フィナーレも明るく豊かで豪快。
何とも豊かで活力漲る爽快豪快なブラ2で心地よい。