好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

サン=サーンス 交響曲第3番「オルガン付き」 バールタ/ロータ/チェコ・ナショナル響 

2017-04-30 16:14:04 | サン=サーンス
サン=サーンス 
交響曲第3番「オルガン付き」 

オルガン…バールタ
指揮…ロータ
演奏…チェコ・ナショナル響
好み度…4.5(5点満点)

この曲のもつ華やかさとか絢爛さはあまり感じられないが、この曲のもつ美しい側面を聴く思いがする。
第1楽章1部は特に大きな高揚もみせずにあっけなくすぎるような印象もあるが、綺麗な録音もあってか、端正な緊張感も漂わせながらいろんな楽器の調和のとれた響きは、ときに忙しなくときに妖艶な木管が印象的なせいか、精霊たちの踊りといったような雰囲気も漂わせどことなく美しく、退屈するものではない。2部は、静か目ではあるが、弦の憂いを帯びたような伸びやかな響きも美しく、また、オルガンの音色が何とも美しい。オルガンの音色の美しさはこの演奏の美しいという印象に大きく影響していると思う。
第2楽章1部も賑やかさはぐっと抑え目。音を慎重に刻みながらのようなところもあるせいかもうちょっと活気というか華があっても、という気もするがこの演奏の中ではこれくらいが浮かないのかもしれない。2部の主題が顔を出すところの弦などかなり美しくもある。2部も華やかに管弦が響くようなことはないが、どこか管弦がそれぞれ独立して調和をもって響くようなオケに、ここでも雰囲気ある響きのオルガンが一緒になって、一定の力も保ちながら、ちょっと透明感のある厳かな雰囲気のある美しさを感じさせている。
何も感じさせずに美しい旋律が華麗に通り過ぎていくような演奏もあるが、ゆっくりめに、騒がずに、厳かな美しさを漂わせた、この曲は美しいんだなぁ、と感じさせる演奏のように思う。綺麗な録音と、美しいオルガンの音色(弦も美しい)の影響も大きいかな、とも思う。

ブラームス 交響曲第2番 ムーティー/フィラデルフィア管

2017-04-30 16:07:40 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番 

指揮…ムーティー
演奏…フィラデルフィア管
好み度…4.5(5点満点)

このコンビの厚みをもった柔らかな響きはこの曲には合うような気がする。
第1楽章はテンポもゆったりめに、快活さは感じないが、尖らず柔らかな重量感も感じさせて、上質に、包まれるような優しさと情感が特有の雰囲気をつくって印象的。
第2、第3楽章も特に何をしているわけではないが、優しさをもった美しい響き、と感じられる。
終楽章は柔らかいく厚い響きに力強さも加えて速くも遅くもなく、心地よく聴かせる。フィナーレは尖ったり力んだりすることなく結構自然な盛り上がりを感じさせる厚さと力強さ。
世間で言うムーティーの「うたごころ」がこの演奏では何となくわかるような気がする。
ゆったりと、おおらかかつ繊細に、厚く優しく情の豊かな、ただ無難というだけでなく上質で、「定盤」とか言われるのも頷ける感のある盤と思う。

ブラームス 交響曲第1番 ジュリーニ/ロサンゼルスフィル

2017-04-30 16:03:50 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ジュリーニ
演奏…ロサンゼルスフィル
好み度…4(5点満点)

響きはウィーン盤やバイエルン盤に比べると、重みや深みあるいは緊張感に欠けるきらいはあり、バイエルン盤が明るさと重みを兼ね備えていたのと比べると、明るいというよりは軽い印象をぬぐえないところはある。
ただ、どこか自由で伸びやかな雰囲気も感じられ、味気ないわけではない。
第1楽章終盤の楔の2音など打ち込むように強奏されるなど、随所にならではの処理も聴かれ、力感に不足はないが、もう少し重みというか凄みというか、何かがほしい感はある。
ゆっくりの第2楽章では伸びのある厚い弦が明るく叙情的に旋律をうたってなかなか心地よい響き。
第3楽章も明るく伸びやかでこの楽章らしくてまぁよいように思う。
終楽章も18:34だから結構ゆっくり。低弦もティンパニも含め結構響いているが、やっぱりちょっと重みや深みに欠ける印象からか、今一歩、活力ある力感やスケール感に至っていない感を受ける。フィナーレの凱歌はゆっくり輝かしくていいんだけど。
全体的に、特有のよさは感じつつ、重みや深みといった点で今一歩感を感じる、といった印象。

ブラームス 交響曲第2番 ユロフスキ/ロンドンフィル

2017-04-23 21:56:39 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番 

指揮…ユロフスキ
演奏…ロンドンフィル
好み度…4(5点満点)

併録のブラ1は個人的な好み的にはどうにもならない感じだったが、こちらは普通にブラ2を活気と美しさを感じさせつつ各パートは美しくクリアに分解された響きで好感が持てる。
第1楽章ではやや速めに活力を伴いながら機能的な美しさを感じさせ(途中のピチカートの美しさなんかもちょっと印象的)、
第2楽章も結構敬虔さも漂わせて美しい。ロンドンフィルってこういうオケだったかな、と思うくらいである。
終楽章は速めのテンポで爆発力も感じる力強さで颯爽と疾走し、フィナーレはさらに少し速さをあげて奏し切り、
全体的に速めのテンポで快活に力強く、重厚とか深みとかとは感じないが、無機的でもなく、機能的かつ活き活きとした強さと美しさを感じさせる新鮮味ある演奏となっている。
古城や深森を想わせるようなブラ2でなく、センスの効いた近代建築を想わせるような、ちょっと個性あるブラ2のように思う。

ブラームス 交響曲第4番 ヤルヴィ/ロンドン響

2017-04-23 21:53:01 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…ヤルヴィ
演奏…ロンドン響
好み度…3.5(5点満点)

重厚さや渋みを感じるタイプではないが、厚いアンサンブルと教会での高音域が美しい残響で、1つの雰囲気をつくっている。
同じ全集の1番では教会での録音は裏目に出た面も?という気もしたが、この曲ではこれはこれで1つの雰囲気かな、というように思える。
少しのほの暗さを湛えて冒頭の主題もなかなかに美しいし、1楽章ラストなどでもホルンも効果的になかなか盛り上げ、終楽章後半もかなり力強く〆ている。
響きは厚く上質ではあるが、第2楽章はじめ深みや情感、良質の重みといったものにやや欠ける印象はある。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 アニハーノフ/レニングラード国立歌劇場管

2017-04-23 21:49:49 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 

指揮…アニハーノフ
演奏…レニングラード国立歌劇場管
好み度…4(5点満点)

ホールの特性か録音の特性か、残響が非常に多い録音だが、これが深みは感じないが厚く美しい雰囲気に作用している。
展開もおおらかで、第1楽章の第2主題などはゆったりと自然なタメも聴かせて美しさが印象的でもある。展開部も大きく残響美しい響きで、このおおらかで自然な響きがロシアの指揮者・オケにとっての悲愴なのかもしれない、とも思わせる。
第3楽章もキレ等は感じないが、ごく自然で力まないそれでいて終盤は結構厚く大きな響き。
終楽章も力みかえることはないが、ごく自然な美しさを漂わせている。
特別うまいわけでも情感あふれるといったわけでもないが、自然でおおらかで大きな響き・展開と、美しい残響が印象的な、これはこれで悲愴らしい盤と思う。

ブラームス 交響曲第1番 ドホナーニ/フィルハーモニア管

2017-04-22 00:14:06 | ブラームス 交響曲第1番
ドブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ドホナーニ
演奏…フィルハーモニア管
好み度…3(5点満点)

ライブのようだが特に厚さや覇気を感じるわけでもなく、全体的に響きとしてそれなりに鳴ってはいるが深みあるいは精彩を欠く印象。
序奏はよい響きで期待を持たせるが、その後は今一つ抜け切らないまま過ぎていくような…。
標準的な域ではあって悪い演奏とも思わないが、特に何が残るという印象もありませんでした。

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ルービンシュタイン/ラインスドルフ/ボストン響

2017-04-22 00:09:22 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー 
ピアノ協奏曲第1番 

ピアノ…ルービンシュタイン
指揮…ラインスドルフ
演奏…ボストン響
好み度…3.5(5点満点)

録音は冒頭から音が割れ気味ではあるが、ボストン響の古風で力強い弦による序奏は爽快。
続くピアノによる主題は他では聴かれないくらいに結構軽めに弾かれていて、ちょっと意表を突かれる。
その後も虚飾のないシンプルで美しいピアノではあるが、感情表現としては濃いものを感じずむしろその虚飾なさは淡白に感じるくらいであり、分厚く力強いオケの響きとちぐはぐな感も受ける。
第2楽章では自然体で美しいルービンのよさが聴かれるように思う。
第3楽章も、このやや目まぐるしく賑やかな楽章の中でルービンのよさが出ているようにもあまり思えない。
バレンボイム/ロンドンフィルとの皇帝では他の演奏に比しても分厚いオケに引けをとらない力強さも見せているのに、この盤の両端楽章では、どこか曲との、あるいはオケとのミスマッチを感じてしまう。
名盤とされることも多い盤であり、そんな風に感じるのも、この曲に求めるもののイメージが自分の中である程度固まっちゃっているからかもしれません。

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 クリップス/ロンドン響

2017-04-22 00:05:10 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン 
交響曲第6番「田園」 

指揮…クリップス
演奏…ロンドン響
好み度…5(5点満点)

録音は古い感を受けるが、特に両端楽章での厚い弦の響きはおおらかに伸びやかで力強く温もりがあって美しい。弦と弦、弦と他楽器のからみもそれぞれがほどよく主張しつつほどよい調和と思う。
第2楽章は明るさに満ちた情景、第3楽章での喜びの表現や、第4楽章の嵐の激しさの表現に特別の趣向はないが標準の域の厚さは備え、終楽章は喜びに満ちており清清しい。これほど喜びが豊かにストレートに表現された田園はそうはないのではないだろうか。静かで美しい感謝と祈りの楽章というよりは、感謝の宴のように、弦やホルンが開放的に、高らかに、伸びやかに、旋律を謳い和音を彩っていく。

(↓2018.4/22追記)
その後、高音質盤を聴いた。上
に書いた録音の古さは感じさせず、柔らかく厚みのあるまろやかな響きとなった。
思えば廉価盤はその古めかしいがさついたような音質がかえって勢いを感じさせていたようなところもあったようだが、高音質盤ではほんのり明るく包まれるような優しい厚みが心地よい。華やかさや派手さはないが、特に終楽章など素朴な厚い響きに明るい喜びが満ちているようで心地よい。オーソドックスにして田園かくあるべし、と思わせる名盤と思う。好み度4.5から5に変更。