好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 デプリート/東京都響

2021-06-26 16:00:22 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン 
交響曲第6番「田園」 

指揮…デプリート
演奏…東京都響
好み度…5(5点満点)

何とも弦の響きとおおらかな歌心が心地よい。
曲のよさを、素直に、できるだけ美しく表現するとこういう演奏になるのだろうか。
冒頭からおおらかで清らかで伸びやかに美しい。
嵐は美しくもしっかり激しく、その第4楽章から終楽章への移行は静かに晴れやかに美しく、終楽章冒頭のホルンと弦による主題の演奏などちょっと感動を覚えるくらいの、柔らかな明るさに包まれるような晴れやかな美しさである。終了間際の祈りの合奏も静かに美しい。
ほんとに美しい田園。
マークとの盤とか、フルネとの盤とか、この盤とか…東京都響って、実はすごいオケだなぁ、と思う。

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 ラトル/ウィーンフィル

2021-03-20 16:25:03 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン
交響曲第6番「田園」

指揮…ラトル 
演奏…ウィーンフィル
好み度…5(5点満点)

清清しく繊細。小編成的な響きで交響曲というにはあまりに静かな感さえあるが、美しい。
特に田園の温かみや明るさなどが感じられるのでもないが、静かに、しかし細やかな表現を見せながら、ガラス細工のような透明感ある響きが、繊細なアンサンブルが、美しい。
この曲をこの音色でやられたらそりゃ美しいよね、っていうか。
しかしこの清清しく精緻で一糸の乱れもない演奏がライブとはね、ウィーンフィルってやっぱりうまいし、ラトルって巨匠然とはしていないけど、やっぱりすごいんだな、とも思う。
特に終楽章の各楽器の美しさ、それらが繊細に重なるアンサンブルの美しさ、そこから生まれる賛歌に似た静かな明るさを帯びた美しさはちょっと他にない。特に終楽章でのそれは、静かなんだろうけど、押し寄せるように、ジンとした静かな感動を誘うような感さえある。

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 ヨッフム/ロンドン響

2020-10-04 15:24:58 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン 
交響曲第6番「田園」

指揮…ヨッフム 
演奏…ロンドン響 
好み度…5(点満点)

重みと透明感を両立したような響きがちょっと独特で美しく印象的。
ゆったりしたテンポもあいまって、おおらかで、透明感をもった厚みが美しく心地よい。

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 チェリビダッケ/ミュンヘンフィル

2019-11-02 16:11:16 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン 
交響曲第6番「田園」 

指揮…チェリビダッケ
演奏…ミュンヘンフィル
好み度…4(5点満点)

静かな田園である。生命力や陽光にあふれた田園というよりは静かな深みを湛えた色合いの水面を思わせるような田園。
ゆっくりと丁寧に少し冷気を感じさせるような完成度の高い美しさはチェリらしくもあり(音の出し入れは特に特有のものはなく結構普通)、よくできた美術品のようではある、が、個人的にはもうちょっと明るい無邪気な感情の現れた田園が好みかな。

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 クーベリック/パリ管

2018-06-09 15:25:41 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン 
交響曲第6番「田園」 

指揮…クーベリック
演奏…パリ管
好み度…4(5点満点)

とても清らかな厚みをもった美しい田園のように思う。何者にも動じないかのような堂々としたものも感じるようであり、ただ、その分か感情の起伏とか昂ぶりとかはあまり感じられず、終始、別世界を想わせるような優しさに包まれるかのような厚く清らかな響きのように思う。
終楽章の最後の高揚部でなぜか多分意識的に弦の響きを絞っているのが私には理解できず個人的には何とも残念ではあるが、何とも美しい田園である。


ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 アンセルメ/スイスロマンド管

2018-04-22 22:49:58 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン 
交響曲第6番「田園」 

指揮…アンセルメ
演奏…スイスロマンド管
好み度…5(5点満点)

重量感とかしっとり感とかはあまり伴わず、爽やかに明るい。
明るく活力ある伸びやかな弦の響きが、この曲には合って、第1楽章から低弦のしっかりした支えと木管のからみも爽やかに、透明感ある明るい雰囲気に躍動感も加えてなかなかに秀逸。
第2楽章でもそれほど音量を絞ることなく、透明感ある伸びやかな弦(高低とも)はここでも陽光豊かな風景を連想させるように心地よく、
第3楽章もおおらかに明るさいっぱいの響きであり、嵐は怒涛の大音響というわけではないが、しっかりした緊迫感を湛え、他楽章との兼ね合いではこれくらいが丁度いいのではないかとも思う。
続く終楽章は最初から結構速めのテンポで伸びやかに弦も木管もホルンも活き活きと、あふれんばかりの喜びが感じられるような活力に満ちている。
あまり有名じゃないが、これは名盤じゃないでしょうかね。

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 ケーゲル/ドレスデンフィル

2017-10-14 11:25:53 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン 
交響曲第6番「田園」(東京公演)

指揮…ケーゲル
演奏…ドレスデンフィル
好み度…4.5(5点満点)

録音は弦の音が少しかすれ気味に聴こえなくもないが、それでも敬虔さを漂わせたその響きは美しく、ときに強さも加えてこの演奏にしかない雰囲気を醸している。
第2楽章も独特の美しさを漂わせ、嵐は弦による響きを切り裂くように鋭い金管も印象的に強さと美しさが同居したような響き。
終楽章は基本的に少しゆっくり目だったそれまでから少しテンポを速め、少し熱を帯びる弦と、随所で強奏される金管が印象的。
明るさ快活さとは少しちがう、少々粗いところがないではないが、祈りに通じるような敬虔な響きに熱と力を加えたような、特有の雰囲気をもった演奏と思う。

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 テンシュテット/ロンドンフィル

2017-09-17 18:22:14 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン 
交響曲第6番「田園」 

指揮…テンシュテット
演奏…ロンドンフィル
好み度…4(5点満点)

1992年ライブ。
前半2楽章と後半3楽章での音の大きさの違いはちょっと聴きにくい印象も受ける(第3楽章から俄かに大きくなる)。録音の関係だろうか。
響きは全体として明るさとか清清しさとかはあまり感じられず、といって特別な深みなどがあるかといわれればそういう感までもいかないような気もする。
聴けば落ち着いた厚みもあって凡庸とも思わないが、深いというよりはちょっと重ったるく抜け切らない感を感じるのかもしれない。
嵐の楽章のティンパニは皮が破けるのではないかと思うほどに強烈、終楽章はフルートも絡んだちょっと独特の深みも感じる。
ただそれでもちょっと抜け切らない感ともうちょっと明るさがほしい感は残るかな。

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 マゼール/ベルリンフィル

2017-08-12 16:40:57 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン 
交響曲第6番「田園」 

指揮…マゼール
演奏…ベルリンフィル
好み度…4(5点満点)

この曲を「田園」のイメージとかに縛られるのでなく、シンフォニーとして聴き応えを感じられる、そんな演奏のように思う。マゼールだけど、ここにはほんのり温かみも感じられるような感もある。
第2楽章こそ特に感銘もないが、第1、3、4楽章では低弦にしっかり支えられた柔らかいが厚く清清しい弦の響きと豊かなアンサンブルが厚く明るい響きをつくって心地よく、結果として豊かな自然、喜び、嵐…といった情景も自然と感じられるものとなっている。第4楽章での嵐をこれくらいダイナミックに聴かせる演奏もあまりないように思うのだが。
終楽章は終始穏やかな柔らかな表情を見せ、楽章の中での細かな表情付けはそれほどされていないが、穏やかながらも響きは明るさと豊かさを失わず、楽章全体で力まず自然な感謝が表現されているようでもある。
マゼールといえば厳しさや冷静さ、ときに新鮮さを強調するあたりが連想されるようでもあるが、この演奏はそんな芸達者がちょっと見せた安らぎと優しい一面、そんな印象も受ける。
この曲がその標題的な側面を抜きにしても、交響曲として優れた曲であることを感じさせてくれる演奏のように思う。

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 クリップス/ロンドン響

2017-04-22 00:05:10 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン 
交響曲第6番「田園」 

指揮…クリップス
演奏…ロンドン響
好み度…5(5点満点)

録音は古い感を受けるが、特に両端楽章での厚い弦の響きはおおらかに伸びやかで力強く温もりがあって美しい。弦と弦、弦と他楽器のからみもそれぞれがほどよく主張しつつほどよい調和と思う。
第2楽章は明るさに満ちた情景、第3楽章での喜びの表現や、第4楽章の嵐の激しさの表現に特別の趣向はないが標準の域の厚さは備え、終楽章は喜びに満ちており清清しい。これほど喜びが豊かにストレートに表現された田園はそうはないのではないだろうか。静かで美しい感謝と祈りの楽章というよりは、感謝の宴のように、弦やホルンが開放的に、高らかに、伸びやかに、旋律を謳い和音を彩っていく。

(↓2018.4/22追記)
その後、高音質盤を聴いた。上
に書いた録音の古さは感じさせず、柔らかく厚みのあるまろやかな響きとなった。
思えば廉価盤はその古めかしいがさついたような音質がかえって勢いを感じさせていたようなところもあったようだが、高音質盤ではほんのり明るく包まれるような優しい厚みが心地よい。華やかさや派手さはないが、特に終楽章など素朴な厚い響きに明るい喜びが満ちているようで心地よい。オーソドックスにして田園かくあるべし、と思わせる名盤と思う。好み度4.5から5に変更。