好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス 交響曲第4番 ズヴェーデン/オランダフィル

2023-12-24 19:21:59 | ブラームス 交響曲第4番

ブラームス
交響曲第4番

指揮…ズヴェーデン 
演奏…オランダフィル
好み度…4(5点満点)

響きは清らかさと力を同居させ、歌にはほのかに情があり、特に何を誇張しなくても素直に自然に美しい。
第2楽章最初の叙情部での木管なども柔らかく美しいし、協奏部での弦と弦、金管のおおらかな響きや管楽器同士の重なりなどもなかなかブラ4らしい響き。清らかであるが痩せることなく、清らかな厚い美しさを感じる演奏である。
素直で好感の持てる美しさで文句はないが、欲を言えば何らかのインパクトが何かあってもよかったかな、とも思う。
が、そういうのをなくして素直に嫌味なく美しいというのがこの演奏の個性ともいえるのかな。


ブラームス 交響曲第4番 シャイー/ゲヴァントハウス管

2021-02-21 11:19:55 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番

指揮…シャイー 
演奏…ゲヴァントハウス管 
好み度…4(5点満点)

第1・第2楽章の印象として、耽美とか幽玄と感傷といった美しさではないが、むしろそういったものに浸りきらずに機能的に艶のある美音をしっかり鳴らしながら豊かなアンサンブルをしっかり統率して響かせてなかなかに美しい。
録音も優秀で、ヴァイオリンも木管も低弦も艶のある響きでしっかり聴こえて、聴きだしたら途中でやめがたい美しさを感じさせる。
第3・第4楽章はテンポも速めに結構力強さを感じさせるものとなっている。ちょっと力強くなりすぎて何かしらの雰囲気が薄らいでしまったような感じもあるが、緊張感はあって各楽器の分離もよいので厚ぼったい印象は受けない。
前半2楽章の機能的な中に聴かれる艶と深みも効いたアンサンブルから受ける美しさは秀逸。 

ブラームス 交響曲第4番 レーグナー/ベルリン放送響

2018-11-24 11:14:43 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…レーグナー
演奏…ベルリン放送響
好み度…4.5(5点満点)

速いが、ブラ4の雰囲気を損なわない心地よい速さである。よい緊張感と力感を与え、新鮮であり、ときに情感厚く力強く響く低弦やティンパニの響きが深みと重み、力感と一層の緊張感を与えるようである。
第2楽章もやや速め。ただ、音楽の流れからはかえって適度かとも思われ、早くしたから第2楽章の美しさが減退するものでもない。
第3楽章は徒に重くなったり騒々しくなることなく、しかし力強く躍動感を以って結構豪快に鳴っている。
終楽章は第1楽章に比べるとやや平易な感も受けるものの、響きの緊張感と重みは持続され、全体的に、やや速めのテンポが功を奏してか、深みと重みを湛えた緊張感みなぎる聴き応えのある演奏と思う。
ブラ4というとゆっくりめに悲しさに似た情を湛えた美しい曲というイメージがないでもないが、これくらい緊張感を湛えつつ良質の重みと内に秘めたような情感をしっかり感じさせる演奏もいいな、と感じる。

ブラームス 交響曲第4番 ティーレマン/ドレスデンシュターツカペレ

2018-09-17 18:26:08 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…ティーレマン
演奏…ドレスデンシュターツカペレ
好み度…4(5点満点)

悲壮感とか枯れたような寂寞感とか、はない。必要以上に厚ぼったくなることもなく、透明感を持って上質な質感が美しい。
聴かせどころみたいなところはむしろ速めのテンポで情感を強めることもなく奏され、全体的に情感漂うというよりは、ブラ4にしてはちょっと爽快さすら漂うような艶を伴った美しさが印象的な演奏かと思う。
終楽章なんかも、あるいは結構何気なく終わってしまう演奏も多い中、のしかかるような情で迫ったりただ厚ぼったくなったりすることなく、少し速めのテンポで、美しさと張りと緊張感を湛えてさすがのものと思う。

ブラームス 交響曲第4番 チェリビダッケ/シュツットガルト放送響

2018-06-09 15:18:41 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…チェリビダッケ
演奏…シュツットガルト放送響
好み度…4(5点満点)

透き通るような出だしに始まり、その後も清楚なまでに美しい響き。
例えば激しい感情を内に秘めるとか、そういう雰囲気も感じさせない寂寞でもなく重くもなく、ひたすらに毒気のない美しさとでもいおうか。
響き全体は残響の印象も含め教会の中で聴くような、残響多めの、尖らずだいぶ高音に寄った響きの印象。
そんな響きとゆっくりのテンポも相まって、第2楽章はかなり美しい。
この盤での美しさは、ミュンヘンとの録音で感じるような情念をも感じさせるような美しさとは別物のように思う。
重みも情感もあまり感じさせない、ある意味ブラームスとは別世界と感じるくらいに透明な美しさのみが印象的なブラ4のように思う。

ブラームス 交響曲第4番 アンセルメ/スイスロマンド管

2018-03-21 10:16:14 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…アンセルメ
演奏…スイスロマンド管
好み度…4.5(5点満点)

アンセルメとスイスロマンドのブラ4といわれてもあまりピンとこなかったが、これはなかなか秀逸。
しっとり感や陰のある響きではない。むしろどこかカラッとした感のある、でもこの曲の力感と特有の美しさが、どちらかといえば骨太によく響かされた、そんな演奏のように思う。
第1章は冒頭から特に情感漂う、というわけではないが、弦と弦、弦と木管等のかけあいもしっかり奏され、この楽章のもつ美しさや力感はしっかり感じられて、後半知らぬうちに緊張感と高揚感を高めていくあたりむしろちょっと他になかなかない類ではなかろうか。
第2楽章も幽玄というよりは清清しい骨太感すら感じ、弦の力強い美しさが印象的。
第3楽章は空騒ぎすることなく、しかししっかり厚くときに颯爽感を感じさせて力強く、終楽章は力強さとともに独特の雰囲気と緊張感漲る響きで充実。
厚く、それぞれの楽器が力強く、ときにずしりと重く、混濁することなく響きながら、高い緊張感をもって骨太にこの曲ならではの美しさを感じさせる、名盤と思う。

ブラームス 交響曲第4番 ラトル/ベルリンフィル

2018-01-21 12:18:35 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…ラトル
演奏…ベルリンフィル
好み度…4(5点満点)

弦主体の響きは分厚く、その謳いっぷりはしっとりした情感を濃く感じさせる。よくも悪くもかなりしっとりした厚さであり濃さであるように思う。
第2楽章の弦が美しく重なり合うところ等ではすごい音を聴かせていたり、その圧倒感と完成度を併せ持つ厚い響きはなかなか真似できるものではないものと思う。
ただ、その厚い響きは、特に第3・第4楽章あたりでは、その迫力はすごいと思いつつ、ちょっと重くべったりとした厚さと感じられるというか、聴き続けるとちょっと平板に感じられる感というか、そんな感も受ける。まぁ、このあたりは好みなのかな。

ブラームス 交響曲第4番 テンシュテット/ボストン響

2017-11-18 17:43:15 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…テンシュテット
演奏…ボストン響
好み度…4.5(5点満点)

実直でちょっと武骨にも似た強さの中に哀愁感に似た雰囲気が漂う響きが印象的な演奏。
ボストン響の古風で温かく力強さも併せ持つ弦に木管やホルン等の金管がしっかりからんでブラ4的な雰囲気も感じられるし、高揚部での厚みもしっかりしていて、叙情部の厚い情感と高揚部の力強さのメリハリもあって、この曲のよさがほどよい重みを伴ってしっかりまとめられているように思う。テンポとしては、第3楽章が快活なテンポで進められる他はオーソドックスなテンポ。
計算してかしないでか、実直で厚く古風な力感の中に漂う情感のバランスがほどよく心地よい、名演といってよい演奏のように思う。

ブラームス 交響曲第4番 ベーム/ウィーンフィル

2017-11-04 10:42:09 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス
交響曲第4番

指揮…ベーム
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

優しさとか情感とか、というよりは石の壁を思わせるような、高い完成度の中の厳格さと格調高さが印象的な盤のように思う。弦の強さと艶、木管の潤い、金管の重量感(曲中結構力強く響いている)など、ウィーンフィルの美音も感じられる。聴きようによっては高い緊張感と厳格な響きははよくも悪くも情緒を超えて息詰まるようでもあり、堅苦しいといえば堅苦しいかもしれない。とはいえやはり堂々たる演奏には違いない。

ブラームス 交響曲第4番 クーベリック/バイエルン放送響

2017-10-22 09:55:10 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…クーベリック
演奏…バイエルン放送響
好み度…5(5点満点)

このコンビの響きはこの曲に合うんじゃないかと思いきや、やっぱりよく合っていた。
濃くなりすぎず、重苦しかったりくどくなったりせず、繊細だが非力ではなく、暗さとはちがう清らかな寂しさの漂うブラ4のように思う。管弦の重なりも絶妙で響きも美しい。
透明感のある弦の響き、美しい木管の響き、要所でとがらず存在感を見せる金管の重なり、全体としての自然で清清しく美しい響き、やっぱりバイエルン放送響は、あるいはこのコンビはいいなぁ、と感じさせつつ、この地味といえば地味な曲を充実感をもって聴かせている。
よくも悪くも重量感をあまり感じさせず、実直で、清らかに豊かに音を重ねた、このコンビのよさがよい形で出ている、名演でしょう。