好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス 交響曲第1番 ヨッフム/フランス国立管

2015-12-27 21:02:19 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…ヨッフム
演奏…フランス国立管
好み度…4(5点満点)

いぶし銀の演奏とはこういう演奏をいうのだろうか。
といっても結構荒々しいいぶし銀である。
ハスキーな弦の響きからか、華麗とか潤いとかとは反対をいくような響きであり、重い刃物のような鋭さと重さと何か得体のしれない凄みを感じるような、そういう意味では結構凄い盤と思う。
金管の鋭く強い響きは随所で強いアクセントともなっていて印象的。
第2楽章の渋く深い美しさもこの盤ならではの響き。
テンポは比較的ゆっくり展開されるが、終楽章はフィナーレへの追い込みの迫力は結構激しく、凱歌もそれ以降も特に速度は落とさないがちょっと荒々しいまでに豪快。
流麗とは反対のほうを向いた、どちらかといえば聴くほどに引き込まれるタイプの、他の盤では替えのきかない強い個性を持った盤。

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ハース/インバル/モンテカルロ国立歌劇場管

2015-12-27 20:55:49 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ハース
指揮…インバル
演奏…モンテカルロ国立歌劇場管
好み度…4(5点満点)

明るく華麗な演奏であると思う。
どちらかといえばピアノが前に出た印象の録音で、出だしの和音など明るく勢いがあって心地よい。
その後も強めの打鍵も交えながら、かつ音がにごることなく、明るく、華麗にそれなりの力をもって展開していく。
特にテンポに緩急はなく、叙情性や感情の移入といったものはあまり感じないが、澄んだ、明るく華麗な音で、音には強さもはりもある。
オケも、弦、金管とも、重量感やほの暗さといったものは感じないがピアノ同様明るく華麗な響き。
ティンパニがあまり聞こえてこないこともそんな印象になっているのかもしれない。
第2楽章はしっとりというよりは陽光射す森林の散歩といった風情の明るい美しさ、終楽章は明るく快活は雰囲気が印象的。
録音も鮮明でよい。
特に強くココロに響くタイプの演奏ではないが、普通に美しく華麗なチャイP協1を聴きたいときにはよい盤だと思う。


チャイコフスキー 交響曲第5番 ヤンソンス/オスロフィル

2015-12-27 20:51:52 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…ヤンソンス
演奏…オスロフィル
好み度…3.5(5点満点)

重かったり、暗かったり、ということのない、まるで全編ワルツを聴いているような、そんなチャイ5である。
このシリーズの特徴である残響が多く高く伸びのある音質に、バランスよく、軽快な解釈がそう聴こえさせているのだろう。
さぁ聴くぞ、と気合を入れて聴くのでなければ、美しく心地よいチャイ5である。

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 テンシュテット/ロンドンフィル 他

2015-12-20 22:59:59 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン
交響曲第9番「合唱」

指揮…テンシュテット
演奏…ロンドンフィル&合唱団 他
(1991 ライブ)
好み度…5(5点満点)

まさに圧巻、テンシュテットとロンドンフィル一世一代の天下の大名演。
第九の演奏としてその燃焼度、完成度、スケールの大きさ、どの点においても古今東西最高の1枚ではないだろうか。
第1楽章冒頭から全編にわたって、弦の響き、管の燃焼度とも凄まじい。
テンシュテットの音作りも熱く、オケも気迫に満ちており、なおかつ勢いに任せて乱れることがない。
弦が、トランペットが、ホルンが、ティンパニが、存分に響き渡り、そのアンサンブルは豪放にして絶妙のブレンドであり、その響きは熱く大きく神聖ですらある。
ロンドンフィルには失礼だが、ロンドンフィルとは思えないほどの完成度をも伴っており、こんな演奏ベルリンフィルにもウィーンフィルにもコンセルトへボウにも、そしてテンシュテットとロンドンフィルにだって二度とできないかもしれないけれど、この組み合わせにしかできない演奏なのだと思う。
合唱は、かなり大がかりなものと思われるが、残響の多めのホールを包み込むような量感で最後まで圧倒的である。
専門的には上手いのかどうかはわからないけれど、圧倒的量感かつ清清しいエネルギーに満ち、その力感と情感は終盤まで一切衰えず、終盤へ向かう高揚感と堂々たるフィナーレはまさに感動的である。
演奏後の拍手も熱狂的であるが、むしろよくぞ最後まで拍手を我慢したものだと思うほどであり、やっぱり第九はすごい曲なんだと思い知ることができる演奏である。
今現在なぜこの演奏が正規盤になっていないのか、腹立たしいほどに理解に苦しむ。
第九というとバイロイトが決まり文句のように語られることが多いが、断然第九1の演奏だと思う。

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ブロンフマン/サロネン/フィルハーモニア管

2015-12-20 22:55:09 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第3番

ピアノ…ブロンフマン
指揮…サロネン
演奏…フィルハーモニア管
好み度…3.5(5点満点)

アシュケナージの叙情性、マツーエフの強靭さ、といったような個性を求めるならばもう一歩、という感があるが、特に感情への訴求を求めなければ、ピアノの音もときに美しく、時に重く、平均点以上の聴き応えではあり、サロネン指揮フィルハーモニア管も豊かな音色で単なる伴奏以上の演奏を聴かせているように思う。
まぁただ、他の盤を差し置いて何度も手を伸ばすかと言われればそうでもないような気もする。
オーソドックスかつ質の高い演奏、という意味ではそれなりに位置づけされる盤であると思う。

ブラームス 交響曲第2番 小澤/サイトウ・キネン・オーケストラ

2015-12-19 23:08:26 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス
交響曲第2番

指揮…小澤
演奏…サイトウ・キネン・オーケストラ
好み度…4(5点満点)

小澤の音楽は力強さだったり情感に訴えたりというよりは美しさを追求しているようなところを感じるが、そのスタンスはこの曲ではよい方向に作用しているように感じる。
ほどよい厚みと明るさにほのかに豊潤な渋みも加えた美しい弦を基調に、木管の美しい重なりや渋く咆哮する金管、これらが明るくも腰の据わったブレンドで、小澤らしい、しっかりした洗練された音で、心地よい明るさにほのかに叙情性も加わった美しいブラ2だと思う。
欲を言えば終楽章にもう少し力感があれば、といったところか。

ブラームス 交響曲第1番 ラインスドルフ/ボストン響

2015-12-19 23:05:04 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…ラインスドルフ
演奏…ボストン響
好み度…4(5点満点)

録音のせいだろうか。
ルービンシュタインとのチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番といい、このブラ1といい、ラインスドルフとボストン響のこの弦の迫力はどうだろう。
この頃のボストン響とはこういう楽団だったのだろうか。
この圧力にも似た迫力の響きでラインスドルフの指揮も速めのテンポでがっちりメリハリつけて押し通すものだからその分厚い推進力は結構半端ない。
響きの重心低く、弦の分厚さを強く感じさせ、テンポを落としてホルンや弦をめいっぱい謳わすということはあまりせずに分厚い燃焼感と推進力を押し通す(終楽章は全体のテンポは特に速いというわけではない)。
情感にはやや欠ける感もあるが、特に両端楽章での推進力と分厚い迫力には爽快に圧倒される感がある。中間2楽章はテンポも響きも普通といえば普通。
情感とか旋律の謳い方とか、そういうところの好みはもはや関係ないくらいの、特に弦の、目いっぱいに振れた分厚さと活力ある力感に圧倒される感のある1枚。

チャイコフスキー 交響曲第5番 アシュケナージ/フィルハーモニア管

2015-12-19 22:53:23 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…アシュケナージ
演奏…フィルハーモニア管
好み度…3.5(5点満点)

オーソドックスに、美しく、低い弦も含めほどよく謳わせながらよくまとめられている演奏だと思う。
「ここではこの弦に響いてもらいたいな」と思っているところでちゃんと響いてくれる、という心地よさなんかも感じる。
ただ、この曲はそれだけではちょっと退屈するところがあって、もっと重さ、強さ、あるいは熱さ、またはその演奏にしかない音の響かせ方、とか、何かもう一味ほしいところであり、上質な演奏で良盤だとは思うが、他と比べて特に魅力を感じるというわけでもない、といったところ。

ブラームス 交響曲第1番 シャイー/ロイヤルコンセルトヘボウ管

2015-12-13 22:47:02 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…シャイー 
演奏…ロイヤルコンセルトヘボウ管
好み度…4(5点満点)

基本的には大変まっとうだし、しっかりまとまったうまい演奏だと思う。
洗練されているしこのコンビならこれくらいやるだろうという域には達していると思う。
けれどそれ以上でもない、といったところか。
ファーストチョイスにはもってこいかもしれない。
けど、深みとか重厚感とか情感とか、何か特有の訴求力みたいなものを求めようとするとそれは特に感じない、といったところか。心が動かされるものがないとでもいおうか。
ほどよい厚みにしっかりしたアンサンブル、聴けばよくできた良演だと思う。
けれど、特に強さを感じるわけでも特有の雰囲気を感じるわけでも情感を感じるわけでもなく、どこか手が伸びない、私の中ではそんな感じの盤。

グリーグ ピアノ協奏曲 ヤブロンスキー/マーク/フィルハーモニア管

2015-12-13 22:44:12 | その他
グリーグ
ピアノ協奏曲

ピアノ…ヤブロンスキー
指揮…マーク 
演奏…フィルハーモニア管
好み度…4(5点満点)

ルプー盤のようなシャープさや緊張感はない代わりに北欧的叙情性を感じさせる、また気高き美しさのかわりに北欧の深く雄大な森林を連想させるような優しい美しさを感じさせる。
マークのオケも同様。シャープさより優しく包むような厚みのある音である。
優しさ一辺倒でなく、ピアノもオケも強さと厚さも聴かせている。
ピアノは旋律の謳い方などもいたって真面目で一音一音の表現力というものもとりたてて目だったものもないような印象だが、
全体的にオケとともに、薄っぺらでない真摯な情感を漂わせているように感じられる。
うっすらと薄日が射す北欧風景を連想するような、厚く、柔らかく、飾らず、優しい、派手さや華やかさはないが良演と思う。