好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

チャイコフスキー 交響曲第4番 ベーム/チェコフィル

2020-03-14 15:28:47 | チャイコフスキー 交響曲第4番
チャイコフスキー
交響曲第4番

指揮…ベーム
演奏…チェコフィル
好み度…5(5点満点)

ベームのライブと言えば熱いいというのは1つの定評のようだが、バイエルンとのブラ1なんかは暴走しちゃってたような気もするがこの演奏は弦も金管も咆哮しながら、暴走とはまったく違った力強さと活力をもって鳴っている。
テンポは感情的に動かすようなこともなくロシア的とか情緒的あるいはロマン的な機微とか、は感じないが、緊張感と熱さが結構半端じゃなく、その力強さは中身のないものでなくぎゅっと詰まった密度を感じる。
ベームとチャイコというのはどうにもピンとこない感はあって、ある意味予想通りロシア的なとか情緒的なものとかは感じれらないが、この曲の野性味あるストレートな力強さは存分に感じられ、これくらい熱く力強いチャイ4もそうそうないのではなかろうか。
細かいところでは好みとちがうところもないではないがそんなものは蹴散らすような熱く力強いエネルギーに満ちた、圧巻の1枚であり、お客さんもさぞ満足だろうと思ってたら拍手もやっぱり熱かった。
ぐいぐい引き込まれるような響きにテンポは早目かと思ってたら42:46だからそうでもない。終楽章の爆発力とその中での上質な響きとしっかりしたアンサンブルなんかはチェコフィル流石。
何のかんの書いたが、結局この熱く密度濃い管弦の咆哮は爽快。

ブラームス 交響曲第2番 ジークハルト/アーネムフィル

2020-03-14 15:23:17 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番

指揮…ジークハルト 
演奏…アーネムフィル 
好み度…5(5点満点)

重厚、とはちがうが、厚く美しいブラ2。
上っ面の華美とはちがう、しっかりした厚みに支えられた透明感のある美しさであり、さらにその美しさを以って第1楽章での弦の主題などではたっぷりの情が奏される。
第2楽章もややゆっくりめのテンポで、美しい弦に優しいホルンや木管が乗ってかなり美しく、終楽章もそれまでの美しい雰囲気を保ちつつ明るい活力を感じさせ、フィナーレへの追い込みも十分な力感も伴って、ピークでのトランペットがほんの少しテンポを速めるのはちょっと余計なような気もするが、ほんのちょっとだし許容範囲。しっかり〆、最後の一音は少し力を抑えて美しかったイメージを改めて印象づけるようでもある。
録音も至って美しく、重量感やほの暗さではなく、といって軽さは感じず上質の明るさと情感漂う美しさが秀逸の、なかなか出会えない類の盤のように思う。


ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 マーク/東京都響/尚美学園第九合唱団 他

2020-03-14 15:15:16 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン
交響曲第9番「合唱」

指揮…マーク
演奏…東京都響
合唱…尚美学園第九合唱団 他
好み度…5(5点満点)

これはいい。日本のオケ、合唱団、ソリストによる演奏だから…なんて思う方がいたとしても、だまされたと思って聴いてみるといいと思う。
例えばマタチッチとN響の73年とかより断然お薦めである。
オケは心地よい力感と自然な深みを帯びた重みも漂わせてよく鳴り、厚く元気な弦に木管や金管の絡み加減もスケール感も感じさせて心地よい。
弦は艶と覇気を感じさせるし管楽器もティンパニもいい感じで鳴って、どこかヨーロッパの名の通ったオケのCDといわれたって、いい響きだなぁ、なんて思いながら聴いたと思う。
第1楽章から、ライナーノートでは「軽妙な音楽」なんてあるが、そんな響きではなく堂に入った響きで、第3楽章もどうして美しい。ついでにいえばライナーノートでは第2楽章は「山道をスポーツカーで走るかのような爽快さ」第3楽章は「ワルツを聞いているような、踊れそうなほどの雅趣」とあるが、そんな軽そうなものではなく、第2楽章はここぞというときのティンパニもしっかり力強く、快活でむしろ緊張感も湛えた力強い音楽だし、第3楽章も深刻さはないが明るい雲上をゆくような優しく明るい美しさであり、ある意味ため息がでるくらいに美しい。
終楽章のソロも失礼ながら日本人ということでちょっと心配もあったが、うまいしちょっと控えめな録音が程よく、合唱は微妙な表現力とかは一流どころに及んでいないのかもしれないが、声量と活き活きと明るい覇気十分、広がりも感じさせて十分好ましい。終楽章中盤の少し早めのテンポはその合唱の明るい力強さとマッチして、また、元気な合唱に負けずに管弦楽もしっかりからんで、せわしくならずに、中だるみ感なく、スケール感を伴ったたたみかけるような熱さになっている。フィナーレなんかは結構感動的ですらある。
スケール感、力感、透明感、素朴な美しさ、熱さ、上っ面でない響き、そういったものを感じさせる、巷で名盤と呼ばれる盤たちと並べたって遜色ない、そんな盤のように思う。