好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 ドホナーニ/フィルハーモニア管

2022-02-27 11:12:14 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン 
交響曲第5番「運命」

指揮…ドホナーニ 
演奏…フィルハーモニア管
好み度…3.5(5点満点)

どうも冒頭から響きに覇気がない。
活力、輝き、美しさ、そういったものが、ない。
出だしも何となく力なく揃わない感じで入り、残響少なくちょっとこもった感じの録音のせいもあるのかなぁ、その後も覇気も力も美しさもないまま進行しちゃう感じ。
終楽章は響きに力が感じられるようになってやっとモヤモヤが晴れるようなところもあるが、全体としてはこの名前が並ぶ組み合わせとしては「どうした?」といった感じかなぁ。
ただ、この盤は併録の英雄が、同じ組み合わせでこうもちがうのか、と思うくらいよい響きで鳴っていて、盤として悪い盤ではない。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 グリモー/ネルソンス/バイエルン放送響

2022-02-27 11:09:52 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…グリモー 
指揮…ネルソンス 
演奏…バイエルン放送響
好み度…4.5(5点満点)

大きく、綺麗な1番、なのかな。
オケは、ネルソンスがバイエルンのよさを十分に引き出している、とも思えないが、むしろ伴奏に徹していると割り切ればピアノをよく引き立てて美しい響きをつくっているとはいえるように思う。
というか、録音の関係かネルソンスの気遣いか、この曲をこれくらいピアノメインに感じる盤も珍しいように思う。
その堂々主人公のピアノは、堂々大きく美しく、深みとか重いとかいうよりは、やっぱり綺麗という言葉があっているように感じられ、一心な情が込められたようなくもりのない重低音も大きく響き、聴き応え十分と思う。最後まで聴いて、あれ、ライブだったんだ、と思うくらい、これだけ力強く弾いても荒れることなく、そのピアノの、深みとか深刻さとかでなく、むしろ若々しい大きさ、力強さ、美しさに十分な聴き応えを感じる盤のように思う。
若い頃のザンデル盤とでは、オケの感銘はザンデル盤に軍配、グリモーのピアノはザンデル盤でのどこか未完成さも残しつつの一途な力強さと抒情に対し、この盤では力強さに大きさと大人の美しさと完成度を加え、好みだろうけど、総合的にはこちらが1枚上といったところか。

マーラー 交響曲第5番 クーベリック/バイエルン放送響

2022-02-27 11:06:36 | マーラー 交響曲(第2番「復活」 第5番)
マーラー 
交響曲第5番

指揮…クーベリック 
演奏…バイエルン放送響
好み度…4.5(5点満点)

1971年セッション。
今になっていろんな同曲盤が出た後では、そのまんま過ぎる演奏と言われてしまいそうだが、実直に、ひねりを排した、クーベリックのこの曲への共感を熱の冷めぬまま素のまま表現したような、この曲のそのまんまのよさが高い次元で表現され聴く者がそれを共感を持って感じられるような、やっぱり秀でた演奏と思う。
アダージェットも明るく大きく健康的な美しさを感じさせるようで、今、一般で連想される「アダージェット」のイメージとはちょっとちがうのかもしれないが、これもありだと思う。
厚いが濁りやくすみのない明るさと透明感を帯びた色彩を感じるような響きもこのオケならではかとも思うし爽快でもある。

ブラームス 交響曲第1番 尾高/大阪フィル

2022-02-20 14:09:27 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…尾高 
演奏…大阪フィル
好み度…4.5(5点満点)

こんなブラ1がこういうコンビで聴けるんだったとは。
大きく、堂々、フィナーレもゆったり輝くような(日本のオケ(指揮者が日本人でなくても)の演奏はゆっくりしたフィナーレが多い気がする。日本人がそういうのが好きで奏者が好みに合わせたりするとかあるのかな)。録音も上々。
大阪フィルの響きもアンサンブルも上々。重心低め、弦は結構厚く美しいしソロもなかなか。尾高のテンポ設定も音の出し入れも大きく厚く響かせるところは響かせて、少なくとも私の好みにはかなりマッチしててフィナーレなんかは追い込みあたりから感動的に近い感覚を覚えた。こういう感覚は札幌響と堤のチャイ5以来かな。失礼ながら、今までも多分店頭で見かけてはきたんだろうけど、あんまり関心を向けてこなかったけど、日本のオケもすごいんですねぇ。
いやぁ、高名な指揮者やオケのいろんなブラ1も聴いてきたけど、こういうコンビでこんな演奏が聴けるんだったとは。

チャイコフスキー 交響曲第5番 堤/札幌響

2022-02-20 14:07:21 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番

指揮…堤 
演奏…札幌響 
好み度…5(5点満点)

これはとんだ掘り出し物を拾った気がする。
いろんなチャイ5の盤あれど、心がサワつくような演奏はそうそうないが、これは心が動かされる。
大きくて力強く、気持ちの込もった歌があり、金管も弦も厚く力強く血の通った響きで鳴って強奏部もぐずぐずにならずかつ尖らない。
堤のつくる大きさがいいし、札幌響って、いい。
ライナーに「技術に頼り過ぎては毎回平均点はとれても満点が出ない。技術だけでは人を感動させられない」とあるが、札幌響はじめプロの人たちはもちろん高い技術をもった人たちで、その人たちがあるとき何かがはまるようにふと一丸となって熱く自分たちの満点を取りにいく空気になったときにこういう演奏が生まれるのではないかと思う。
終楽章終盤なんかは雄大といっていいくらいだし、この盤は、感動的といっていいように思う。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 グルダ/スワロフスキ/ウィーン国立歌劇場管

2022-02-20 13:57:35 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン 
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ピアノ…グルダ 
指揮…スワロフスキ 
演奏…ウィーン国立歌劇場管
好み度…4(5点満点)

オケは結構熱を持って元気がよく、ピアノも力のこもった音を聴かせるが、後のウィーン盤と比べるとオケの洗練味、ピアノの緩急自在の洒脱なセンス、録音(なのでピアノの美音という点でも)、どれもウィーン盤に軍配。終楽章中盤からのピアノは大きく自由闊達に力強く好感。

マーラー 交響曲第5番 バーンスタイン/ウィーンフィル

2022-02-12 14:54:39 | マーラー 交響曲(第2番「復活」 第5番)
マーラー 
交響曲第5番

指揮…バーンスタイン 
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

この曲の名盤を語るに欠かせないというか欠いてはいけないといった位置づけのような盤ですね。
表情付けたっぷりの響きで、起伏も大きく、歌うところはたっぷり歌い切って、情感がぎゅっと詰まったような、密度の濃い、完成度も高い演奏のように思う。
ただ、どうも私はバーンスタインには演出過剰のメガネをかけて聴いてしまうところがあり、効果的な演出は感じても感銘を感じないというか、一度目はまだしも何回も聴こうとは思えないのでありました。いえ、一度目に聴いた時はたしかにこれはなんだかんだいったってやっぱり一流の盤だと思ったし、ただの個人的相性ですね。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 アシュケナージ/ハイティンク/コンセルトヘボウ管

2022-02-12 14:52:07 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…アシュケナージ 
指揮…ハイティンク 
演奏…コンセルトヘボウ管
好み度…4(5点満点)

ハイティンク振るオケの響きは少し陰を帯びながら厚く柔らかく、アシュケナージのピアノはしっとりとどこか甘い情感を帯びた音色であり、両者相まった印象としてウィーンフィルとの2番同様どこかラフマニノフの甘さを連想させるが、1番のほうがしっとりした情を持っているからだろうか、甘い情を帯びた厚いスケール感を感じさせる美しい演奏として聴き応えある演奏のように思う。
これはブラームスというよりラフマニノフだな、と感じつつ、アシュケナージのピアノは情感をまといつつダイナミックなスケール感もあるし、オケも厚く、第1楽章の甘い夢を帯びるような大きさや第2楽章の陰と甘みがない交ぜになったような大きな響きだったり、第3楽章のちょっと他では聴かれない力強いスケール感ある響きなどを聴いていると、むしろ若きブラームスの書いたこの曲はこういうものなのかもしれない、と思ったりもする。

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 マズア/ゲヴァントハウス管

2022-02-12 14:47:18 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン 
交響曲第5番「運命」

指揮…マズア 
演奏…ゲヴァントハウス管
好み度…4.5(5点満点)

結構古風な香が漂って結構いい。
迫力とか激しさとか運命に打ち克つ気迫とか緊張感とか、はあんまり感じないし、特に新鮮なものがあるわけでもないが、あんまりあれこれやっているような演奏より素直にいい。
マズアという人はいかめしそうな風貌とは相反してこういうむしろ柔らかい演奏をやる人なのかな。
今までどちらかといえば名前が通っている割にはむしろ期待を裏切られ続けてきた感もあるが、ブラームスのピアノ協奏曲第1番とこの運命はいいかな。単にゲヴァントハウスの響きがいいだけかな?
少なくともマズアとゲヴァントハウスの相性は悪くないのだろうし、同じコンビのチャイコなんかも響きはよかったけど感銘がなかった、といった感想だったけど、この盤では古風な香がちょっと乗ってる分だけ心地よい。

チャイコフスキー 交響曲第5番 小澤/ベルリンフィル

2022-02-05 12:52:57 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番

指揮…小澤 
演奏…ベルリンフィル
好み度…4(5点満点)

小澤と言うよりベルリンフィルのチャイ5、が第一印象。
なので、分厚く、それでいて楽器間のバランス、アンサンブル、ソロの技量(第2楽章のホルンなんかもやっぱうまい)、活力、いろんなものがちゃんと整った演奏になっていると思う。
では小澤でなくてもよかったのかといえばやっぱりそうではなくて、多分小澤と言う指揮者は、表現するべきものとして自分の色とか想いとかより曲を美しく、があるから、結果として感銘とか色をあまり感じさせないが、この演奏でもチャイ5のよさ、ベルリンフィルのよさ、を引き出しているのはやっぱり小澤のように思うし、この盤では美しさにベルリンフィルの分厚さが足されて好盤になっているように思う。
ただ、響きは分厚く、フィナーレなんかもかなり大きく鳴ってるけどやっぱり不思議と熱は感じないあたりは小澤らしい。
感銘や感動を与えるといった類の演奏ではないかもしれないが、この曲のいろんなよさが聴かれると思うし、オーソドックスの中に良質の厚さと、結構特有の雰囲気も感じられて、よい盤と思う。