好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブルックナー 交響曲第3番  マゼール/ミュンヘンフィル

2023-10-29 10:48:08 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー
交響曲第3番

指揮…マゼール
演奏…ミュンヘンフィル
好み度…5(5点満点)

これは、ちょっとびっくりするくらい、いい。
細かいテンポの動きがちょっと独特で、そんなところはマゼールらしいと言えばらしいのかもしれないが、ときとして奇をてらっているようにも聞こえかねないそんなところもこの演奏ではそうは聴こえず、特有の空気感をつくっているように思う。
そしてミュンヘンフィルの響きが、これはちょっと何度も手に取りたくなる美しさ。
両者相まって、宇宙的というか、大きく広く神秘的な美しさを感じさせる。
基本的にゆったり構えて表現豊かに、温かみとかよりは一切の濁りのない冷気をまとうようで、美しい音色で響き重なる金管もいいし、第2楽章はじめ弦の美しさもちょっとびっくりの特筆ものと思うし、全編通して強奏部でも管弦とも美しく響いてこの曲に敬虔で美しい大曲感を与えているように思う。
低弦をしっかり添えて美しく響かせるマゼールもいいんだろうし録音も抜群の域と思う。
一音一音の表現にも艶を感じるし、管と弦のバランスもいいし、いやはや何とも聴けば聴くほど、の感のある、上質で大きく美しい、これはこの曲の価値を再認識させる名盤のように思う。

 

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ブルックナー 交響曲第8番 アイヒホルン/リンツ・ブルックナー管 

2023-10-29 10:46:45 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー
交響曲第8番

指揮…アイヒホルン 
演奏…リンツ・ブルックナー管 
好み度…4(5点満点)

特別うまいオケというのではないのだろう。
少なくともウィーンフィルの美音やベルリンフィルの底光りを聴くような盤ではない。
でもまずい技量でも響きでも決してないように思うし、少なくともブルックナーをやる限り自信も自負もあって、この指揮者とやるときは微妙なタメなんかも含めて全体での共有も自然にできていて、アイヒホルンの泰然とした大きな流れと相まって、素朴で自然な大きさをもったブル8になっているように思う。

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ブルックナー 交響曲第8番 テンシュテット/NDR響

2023-10-22 19:26:13 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー
交響曲第8番

指揮…テンシュテット 
演奏…NDR響
好み度…5(5点満点)

テンシュテットのブル8には私が聴いたものにベルリンフィル、ロンドンフィル、NDRと3種あって(ロンドンフィルセッション盤は未聴)、どれも他の盤との比較では速めのテンポの印象(実際は速いだけではないのだが)で、躍動感と力感漲るエネルギーに満ちた演奏で、テンシュテットがマーラーだけでなくブルックナーでも感銘深い演奏をする指揮者であることを感じる演奏である。
どれも第3楽章後半のトランペット部分で強烈なピークを構成するのも印象的。3種の聞き比べをしたことはないし、どれも名演と言える域との印象ではあるが、あえて印象の違いを思い出せばベルリンフィルが録音の関係だろうがこの中ではやや音質が軽いイメージがあり、ロンドンフィルが一番熱を持ったエネルギーを感じ、NDRが一番変哲がないようで、しかし音に力任せでない重量感を感じるように思う。

 

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ブルックナー 交響曲第3番 ザンデルリング/ベルリン放送響 

2023-10-22 19:24:46 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー
交響曲第3番

演奏…ザンデルリング 
演奏…ベルリン放送響 
好み度…4.5(5点満点)

ザンデルリングが引退を発表した頃のライヴ録音とのこと。
名盤との誉れ高いゲヴァントハウス管との盤と比べると、まずはタイム的にすっとゆっくり(謳い文句にも「チェリより遅い」とあるくらい)になって、雰囲気的にも少し緊張感というか引き締まった感が薄れて緩んだようにも思えるが、慈しみにも似た表情付けは豊かになったように思える。
チェリより遅いと言うテンポも、特にゆっくりと感じるのは終楽章くらいで、その終楽章のテンポも曲の大きさを感じさせることはあっても気持ちに曲がついてこないようなじれったさを感じさせることはない。フィナーレもゆったり雄大。
好みはあるだろうけど、3番をこれくらい大きく聴かせる盤はちょっと思い当たらないような、大きな聴き応えのある演奏のように思う。

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ブルックナー 交響曲第8番 パーテルノストロ/ヴュルツテンベルクフィル

2023-10-15 10:46:47 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー
交響曲第8番

指揮…パーテルノストロ 
演奏…ヴュルツテンベルクフィル
好み度…4(5点満点)

もっとうまかったり、しっかりしてたり、といった演奏は他にそれこそ山とあると思う。
何の変哲もなくてつまらん、と言われればそうかもしれない。
でも、金管も含め耳に刺さることのない柔らかい響きで、ときに教会の後を引くような残響を感じながら、素朴と言えるくらいの演奏は、誰の演奏というよりブルックナーの音楽であり、技量的にも特別に上手いというわけではないがブルックナーも極上の技量を特にイメージしてなかったろうとも思うし、5番ほど宗教っぽい雰囲気は感じないこの曲だが、やっぱりブルックナーのイメージはこういうゆったりやわらかい響きと残響に包まれる雰囲気だったのかもしれないな、とも思う。

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ブルックナー 交響曲第5番 ゲルギエフ/ミュンヘンフィル 

2023-10-15 10:44:42 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー
交響曲第5番

指揮…ゲルギエフ 
演奏…ミュンヘンフィル 
好み度…4(5点満点)

ブルックナーの5番には聖フローリアンの豊かな残響がよく合う。アイヒホルンしかり、バローしかり。
この盤でもたっぷりの余韻ある残響が荘厳な雰囲気を引き出しているように思う。もちろんミュンヘンフィルのうまさもあると思う。
活気とかは感じさせないが、ゆったりテンポをとって、低弦をしっかり効かせて、ゲルギエフもここでは我を出さずにまっとうに運んでいるので、豊かな残響とあいまって結構荘厳なブル5を聴くことができる。
ゲルギエフがどうというより、聖フローリアンに響くミュンヘンフィルを聴く、といった感もあるし落ち着き過ぎているといえばそうかもしれないが、どっしりとした重みのあるブル5である。

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ブルックナー 交響曲第3番 シャイー/ベルリン放送響 

2023-10-08 10:20:52 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー
交響曲第3番

指揮…シャイー
演奏…ベルリン放送響 
好み度…5(5点満点)

特に大きさとか祈りの色とかを感じることはないが、機能的に美しく、明るい色彩を帯びて伸びやかに、そんなブル3のように思う。
響きは活力に満ち、金管は思い切り良く颯爽と鳴り響き、弦は艶やかにうたって、クセとか強烈な何かということはないが、心地よく安心して綺麗にブルックナーを聴ける、いろんなブルックナーを聴いた後にはこういうブルックナーに戻ってきたくなるような、そんな盤のように思う。フィナーレも爽快そのもの、この後、コンセルトヘボウの首席になる若きシャイーの、溌剌とした活力と明るさがこの曲にうまく噛み合った、聴いた後に気持ちが少し晴れやかになるような、そんな1枚のように思う。

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ブルックナー 交響曲第5番 ボルトン/モーツァルテウム管

2023-10-08 10:18:32 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー
交響曲第5番

指揮…ボルトン 
演奏…モーツァルテウム管
好み度…4.5(5点満点)

ブルックナーの、8番は多分コンサートホールが、スーパーオケのパワーと力量が、合うのだと思う。
でも5番は、そういうのももちろんいいが、パワー押しでなくても、清楚だったり敬虔だったり、温かみだったり、そんな側面で聴ける曲なんではないかと思う。
私の好みの盤を思っても、8番は他の交響曲で名を聞く指揮者やオケが連なるが、5番はむしろこの曲でしか聞かない指揮者やオケにむしろ感銘深いものが多い。
この盤の組み合わせも、多分8番向きではない。でも5番では、コンサートホールで聴く大交響曲的響きでなくて、こういう教会で静かに頭を垂れて聴くような、重みも情も迫ることはないが、清らかな美しい響きはありなんだと思う。
指揮者のボルトンはバロック畑の指揮者とのことだし、オケも古典中心のオケなのでしょう。なので、圧倒されるような力強さとかはあまり感じない。むしろ随所で美しく繊細な印象で、思えば繊細な箇所の弦が本当に繊細に聴こえるブル5ってあんまりないように思うし、弦の清らかな響きとか繊細な掛け合いとか…悪くない。終楽章で感じられる明るい敬虔な雰囲気もちょっと新鮮なようにも思う。
こんな書き方をしてきたが、ちゃんとフルオケの響きで別に非力と言うわけでもないし、低弦とかティンパニの響きとか金管の重ね方などは結構新鮮さと大きさを感じさせている。
聳える大伽藍のような5番をお望みならば聴くことない盤だと思うが、5番はこういう雰囲気もいいと思う。

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ブルックナー 交響曲第3番 クーベリック/バイエルン放送響 

2023-10-01 00:39:05 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー
交響曲第3番

指揮…クーベリック 
演奏…バイエルン放送響 
好み度…5(5点満点)

クーベリックとバイエルンの清清しい響きは、8番とかよりもこの曲に合っているんだと思う。
厚く爽やかな活力ある響きで、瑞々しくかつ正統にこの曲を聴かせているように思う。
弦の厚く爽やかな重なりとかフィナーレの颯爽とした響きとかが印象的ではあり、どこか爽やかな敬虔といったような雰囲気も漂って、名盤として名が挙がることもあるようだが、頷ける。
全編活気と清清しさとおおらかな大きさに満ちた名盤でしょう。
ちょっと珍しい譜を使っているようだが、別に違和感はない。

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ブルックナー 交響曲第8番 バルビローリ/ハレ管

2023-10-01 00:33:34 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー 
交響曲第8番

指揮…バルビローリ
演奏…ハレ管 
好み度…4(5点満点)

オケの技量はスーパーオケにはひけをとるだろう、大味と言えばそういったところもあるかもしれない。
しかし、やっぱり緊張感の中にも実直な力強さと熱と情と大きさを感じる、いい演奏だと思う。
賛否は分かれる演奏かもしれないが、私はバルビの演奏を聴くに高い完成度とか洗練とかは期待していないので、ときに整い切っていないようなところが聴こえようと、一音一音にギュッと血の通った力と熱を凝縮したようなこの演奏は、やっぱりいい演奏だと思う。
高い完成度とか巨大さとか深遠な美しさとか、でなく、身近で素朴な、真摯に汗をかいて奏しているような、そんな実直な力感と温かみを感じる演奏のように思われ、そんなブルックナーはありだと思う。

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