2011年1月9日-1
有機体主義〔有機体論〕と還元主義〔還元論〕
Hull (1974)の第5章は、「Organicism and Reductionism 有機体主義〔有機体論〕と還元主義〔還元論〕」と題されている。
Hull (1974: 125)は、Julian Huxley (1971: 138)を引用していて、それによると、Huxleyが機械的説明 mechanistic explanationを要求する、或る実験を述べていると、J.S. Haldane(J.B.S. Haldaneの親爺)は、
「けど、あんた、そりゃ、一個の非有機体でっせ」
と、言ったそうな(「あんた」は臨場感がでるかもしれないので、あたしが今此処に加えました)。
「それがどうした?」とか「非有機体だからこそ、いいやん。」と言いたいところ。というのは、果たして、非有機体は、機械的説明なるもの(その他なんであれ)で、われわれは分かったつもりになれるのか、が鮮明になる(かもしれない)からである。
機械論の落とし穴は、白上謙一(197*: ***)が述べたように、機械そのものの説明をしない、ことである。
機械についてはわかったつもりであるとすれば、それはなぜだろう? 機械の何について、わかっているとするのか?
たとえば、或る一個の機械がそこにあり、その振る舞いの機構 mechanismがわかっているとしよう。すると、その機械の作動は、その機構によって説明されるであろう。そして、その説明の仕方は、機構的〔メカニズム的〕説明 mechanismic explanation(mechanistic 機械的、ではないことに注意)ということになるだろう。
では、機構(メカニズム)とは何か。おそらく結局は、この世界に存在するとされる様々な力または作用(つまりは、力または力と呼ばれているものの分類!)またはエネルギーのうちで、どんな力が働いているのか、そしてエネルギーの種類の変換や方向と量の変化を同定するということになろう。
線図〔略図〕diagramによる例を検討してみる。
非閑話休題。
たとえば、
「すべては、メッセージである」
と 述べることは、言明としては間違っているかもしれないが、そういうふうに捉えるという態度の表明なのかもしれない。では、メッセージは日本語では何だろうか。伝言とか、声明とか、宣伝文句とか、お告げ・ 託宣とか、教訓とか、ねらいとか、ある。第三者が介在する場合は、託言か。これも分類、あるいは世界の分節の仕方とその結果得られる分類項目に対応する語をどう割り振るかの問題。
[H]
Hull, D.L. 1974. Philosophy of Biological Science. ix+148pp. Prentice-Hall. [B20000731=$65.99+5.95, out of print]
ハル,D.L.1974.(木原弘二訳,1985)生物科学の哲学.v+232pp.培風館.[y2400] [Philosophy of Biological Science. Prentice-Hall, Inc.]
===
次回以降の論題:
・生気論 vitalismの真髄とは、何だったのか?
・
有機体主義〔有機体論〕と還元主義〔還元論〕
Hull (1974)の第5章は、「Organicism and Reductionism 有機体主義〔有機体論〕と還元主義〔還元論〕」と題されている。
Hull (1974: 125)は、Julian Huxley (1971: 138)を引用していて、それによると、Huxleyが機械的説明 mechanistic explanationを要求する、或る実験を述べていると、J.S. Haldane(J.B.S. Haldaneの親爺)は、
「けど、あんた、そりゃ、一個の非有機体でっせ」
と、言ったそうな(「あんた」は臨場感がでるかもしれないので、あたしが今此処に加えました)。
「それがどうした?」とか「非有機体だからこそ、いいやん。」と言いたいところ。というのは、果たして、非有機体は、機械的説明なるもの(その他なんであれ)で、われわれは分かったつもりになれるのか、が鮮明になる(かもしれない)からである。
機械論の落とし穴は、白上謙一(197*: ***)が述べたように、機械そのものの説明をしない、ことである。
機械についてはわかったつもりであるとすれば、それはなぜだろう? 機械の何について、わかっているとするのか?
たとえば、或る一個の機械がそこにあり、その振る舞いの機構 mechanismがわかっているとしよう。すると、その機械の作動は、その機構によって説明されるであろう。そして、その説明の仕方は、機構的〔メカニズム的〕説明 mechanismic explanation(mechanistic 機械的、ではないことに注意)ということになるだろう。
では、機構(メカニズム)とは何か。おそらく結局は、この世界に存在するとされる様々な力または作用(つまりは、力または力と呼ばれているものの分類!)またはエネルギーのうちで、どんな力が働いているのか、そしてエネルギーの種類の変換や方向と量の変化を同定するということになろう。
線図〔略図〕diagramによる例を検討してみる。
非閑話休題。
たとえば、
「すべては、メッセージである」
と 述べることは、言明としては間違っているかもしれないが、そういうふうに捉えるという態度の表明なのかもしれない。では、メッセージは日本語では何だろうか。伝言とか、声明とか、宣伝文句とか、お告げ・ 託宣とか、教訓とか、ねらいとか、ある。第三者が介在する場合は、託言か。これも分類、あるいは世界の分節の仕方とその結果得られる分類項目に対応する語をどう割り振るかの問題。
[H]
Hull, D.L. 1974. Philosophy of Biological Science. ix+148pp. Prentice-Hall. [B20000731=$65.99+5.95, out of print]
ハル,D.L.1974.(木原弘二訳,1985)生物科学の哲学.v+232pp.培風館.[y2400] [Philosophy of Biological Science. Prentice-Hall, Inc.]
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次回以降の論題:
・生気論 vitalismの真髄とは、何だったのか?
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