All Or Nothing At All/Billie Holiday
(Verve V6-8329)
ジャズボーカルの歴史を紐とくと絶対避けて通れないのがビリー・ホリデイですよね。でも、有名な録音は大概音が悪くってあまり好んでターンテーブルに載せる気にはならないのが正直な所です。陰鬱な雰囲気が気分をめいらせる、そんな感覚もあってどうも敬遠がちになりやすい。今日は、何を思ったか?ちょっと悔しい思いをした事もありビリーが聴きたくなった。全部か何もなしか、こんなタイトルが妙に身にしみて引っ張りだしてきました。
カバーのイラストはDSMだから恐らく原盤はクレフかノーグラン、10インチでもでているのかな?自分の盤はVerve, MGMの再発盤で, 更に悪名高き疑似ステ盤ですが、好調なビリーのボーカルと珠玉の共演陣が素晴らしくグイグイと彼女の世界に引っ張り込まれてしまいます。サイドメンはHarry Edison(tp), Ben Webster(ts), Barney Kessel(g), Jimmy Rowles(p), Joe Mondragon, Red Mitchell(b), Alvin Stroller(ds)という名手ばかりで各人にも充分なソロスペースが与えられています。。特にエジソンのミュート、ベンのサブトーンを生かしたサウンド造りはいかにもVERVEという感じでニンマリする事間違いなしです。スタンダードばかりの選曲も嬉しい限り。A-1の"Do Nothin' Till You Hear From Me"の無伴奏ででるビリーの声を聴くとゾクゾクしてしまいますね。A面には"Cheek to Cheek", "Ill Wind", "Speak Low", "But Not For Me", B面にはタイトル曲を筆頭に"We'll Be Together again", Sophisticated Lady", "April In Paris"などが取り上げられています。こんなビリーならたまに聴きたくなりますよね。