Taylor's Tenors/Art Taylor
(New Jazz 8219)
ハードバップ期,3大レーベルと言われるBlue Note, Prestige, Riversideにもっとも登用されたドラマーが今日の主役アート・テイラーかもしれませんね。自己主張するようなプレイヤーじゃないですが,いわゆる名盤請負人にふさわしい活躍は皆さんご存知のとおりです。ドラマーのリーダーアルバムは得てして自己主張が強過ぎて面白くないものが多いですが、テイラーのリーダー盤ではBNのAT's Delightとならんで知られているのが本日アップのTaylor's Tenorsです。
タイトル通りテナーサックスがフィーチャーされたアルバムでモンクのバンドで活躍していたチャーリー・ラウズとベイシーバンドの雄,フランク・フォスターがバトル的にプレイするハードバップ盤です。ピアノにWalter Davisを擁し,ベースはSam Jonesが務めます。モンク作品を登用したのは,ラウズの参加を見込んでのものでしょうか。A-1の"Rhythm-a-ning"とB-1の"Straight No Chaser"の長尺の演奏がこのアルバムの目玉です。音色的にはやや太くて硬いトーンのフォスターが左チャンネル、柔軟でやや細いトーンのラウズが右チャンネルです。ピアノのデイビスはちょっと聴いてるとソニクラを思わせるフレーズが出たりしてなかなかの快演です。
所有盤はビクター音産が1500円で発売した廉価盤ですが,音の分離は良好で左のフォスターと右のラウズの分離は良好でバトルらしいステレオ録音が楽しめます。グリーンのモノトーンのカバーも渋いですよねぇ。愛すべきハードバップ盤です。