67camper's Blog

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日本ジャズの金字塔的一枚,"The Toshiko Trio"

2012-04-25 06:43:22 | jazz & vocal

The Toshiko Trio/Toshiko Akiyoshi
(storyville STLP912, jp reissue)

 ジャズ批評家,粟村氏に「根性の女」と言わしめた日本ジャズ界きっての大物ですよね。現在,82才というからうちの母親と同世代です。この時代の女性の我慢強さにについては,今更自分がどうこういう筋合いでもないのですが,時代背景にあった日本の完全なる男尊女卑思想のなか、現在の世界レベルで見ても「ジャズ界きっての女流アーチスト」というポジションを勝ち得たシンデレラストーリーは爽快というほかはないですね。NHKが朝の連ドラの題材にそのうちとりあげるんじゃないか?なんてついつい考えたりもします。満州出身、引き上げ,上京,バークリー、と続く話しは良く知られていますので最早説明の必要はありませんよね。56年,ボストンにいたトシコが録音した”The Toshiko Trio", まさに日本ジャズの金字塔的一枚です。

 メンバーはToshiko Akiyoshi(p), Paul Chambers(b), Ed Thigpen(ds)という、このちっちゃな日本の女性ピアニストに2人の名手を配したピアノトリオです。モンクの「荒城の月」のログでちょっと触れましたが,「蘇州の夜」のソロピアノが収録された一枚です。エキゾティックな雰囲気が残るこのプレイは,やはり語り次がれるべき名演だと思います。VERVE盤の自身のアナウンスで始まる"Between Me And Myself"のスタジオ録音をA-1に配しているのも興味深いですよね。当時のトシコが最も入れ込んだナンバーであったのかもしれません。A-3の”Nostalgia"も当時の彼女の心境の吐露を垣間みられ美しいです。B面の"Blues For Toshiko"の女パウエルと言われたプレイは彼女の真骨調だし,ベストプレイだろうと思います。冒頭のチェンバースのウォーキングだけで痺れてしまいます。

 所有盤は,勿論国内盤再発です。それまでは幻化していた盤ですよね。初々しいトシコの表情と煙草をくゆらせる姿のアンバランスさと漢字の名前が大きく入ったカバーが抜群にカッコ良いですね。