Childhood Is Forever/Steve Kuhn
(BYG 529136)
Steve Kuhnの名前が挙がって「彼のスタイルは~」とピアノスタイルについてクリアカットに説明できる人はよっぽど聴き込んでおられるコアなジャズファンですよね。こういう斬新なパウエルスクールと一線を画したスタイルは自分のような浅学なリスナーにとっては近寄り難く,ひょっとしたらプレイヤーの方のほうが適切な解説をされているのかもです。KuhnのピアノについてはトランぺッターのArt Farmerの諸作で耳にしていた筈なのですが,印象としてはリリカルなファーマーのフリューゲルにピッタリのピアノっていう認識でした。トリオになると個性がでるのかエバンス的だったり,セシル・テイラーを思わせるところもあり掴みにくい感じです。
ロリンズやコルトレーンで有名な『夜は千の眼を持つ』という曲がありますが,以前にこの曲を演奏しているアルバムをチェックしていた時にであったのが本日アップのキューントリオのBYG盤でした。BYG盤と言うとヨーロッパですよね,フランス盤オリジナルに出会い初めてそのトリオの演奏を聴き、前述のように印象ががらりと変わったのです。またモノクロ写真でしか見た事がなかったカバーにも驚きました。鮮やかなオレンジバックでキューンの上半身が目の粗い写真で捉えられているのです。この安っぽさがたまりません。メンバーは盟友のもう一人のSteve, スティーブ・スワロー(b)とAldo Romano(ds)のトリオです。Kuhnの他のアルバムはオリジナル曲がほとんど?ですよね。このアルバムでは『夜は千の眼を持つ』やジョビンの『All That's Left』等のスタンダード曲が取り上げられているのですが,テーマで辛うじてこの曲だったのかとわかるスタイルの演奏ですね。聞き流しにはやや疲れる感じかもです。
所有盤はフランス、BYGの原盤です。69年録音のKuhnの代表作なのでしょうけど・・・。