翻訳:猪熊葉子(5巻のみ)
(1~4巻の翻訳者は、林容吉)
これがメアリー・ノートン(1903年12月10日-1992年8月29日)の「小人シリーズ」全5巻の最後です。4巻で完結と思われていたのですが、ノートンは21年の歳月ののちに、80歳でこの5巻目を執筆しました。イギリスでの出版年は以下のごとし。
床下の小人たち The Borrowers(1952)
野に出た小人たち The Borrowers Afield(1955)
川をくだる小人たち The Borrowers Afloat(1959)
空をとぶ小人たち The Borrowers Aloft(1961)
小人たちの新しい家 The Borrowers Avenged(1982)
アリエッティ一家の最後の家がどうやら決まったようです。それは教会に隣接する牧師館でした。そこにある、もう誰も来ない古い図書館の中でした。その牧師館では「ピーグリーン」という小人の1人ぼっちの少年に出会います。家族はいましたが、人間から逃れる時に家族は全員死亡、彼だけが足に怪我をしたものの生き残りました。少し歩行困難ですが、彼は牧師館の庭にある鳥の巣箱に住んでいます。
スピラーは相変わらず1人ではありますが、いつも彼等を助けてくれるのでした。住処は誰も知りません。
かつて短い間共に暮らしたことのある、ヘンドリアリとルーピー夫妻とその子供のティミスにも再会しました。アリエッティとティミスは姉と弟のように仲良しだったのです。彼等は教会の足踏みオルガンの下に暮らしていました。
ばらばらになっていたわずかな小人たちがここに集合できたわけですね。教会と牧師館・・・・・・これは象徴的な場所だと思えます。神のいるところだからです。人間は小人を救えなかった?
相変わらず執拗に小人を捜しているプラター夫妻に、ティミスが捕まりそうになったとき、ティミスは教会の鐘を鳴らすことによって、救われたということも、そのような意味があるのでしょうか?
しかし、新しい小人の仲間となったピーグリーンは、「ここは安全な場所だろうか?」という疑問を投げかけてこの物語は終わりますが・・・・・・。