ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

月曜物語 アルフォンス・ドーデー

2010-08-16 01:25:50 | Book
アルフォンス・ドーデー(1840~1897)は、普仏戦争(1870年7月19日~1871年5月10日)の時代を生きた作家です。
これは、フランスのドイツからの侵略時代を描いた短編(第1部・幻想と物語26編&第2部・空想と追憶15編)41編が収録されています。


「最後の授業」

これはアルザスの小学校が舞台となっています。ドイツが間もなく攻囲するであろう最後の授業なのです。つまりフランス語の授業はこれが最後です。このたった7ページの短編ですが、ここには侵略というものの実態がよくわかります。侵略は必ず母国語と宗教を取り上げるのですから。


「ベルリン攻囲」

第一帝政時代の胸甲騎兵であったジューヴ老大佐の住まいは、フランス軍の凱旋を見るがためにシャンゼリゼー通りのバルコンつきのアパートだった。

しかし「敗報」が届くと、大佐は倒れ、そのまま寝たきりになってしまう。回復の見込みのない大佐に次は「勝報」が届くと、たちまち元気になりましたが、これは誤報でした。しかし家族はそれを隠し通したのです。

ドイツの戦場に行っている息子から便りがこなければ、娘は嘘の手紙を大佐に読んで聞かせたのでした。上記はその手紙への大佐の返事です。これはとても大切なことがたくさん含まれています。

『フランス人であることを決して忘れるな・・・・・・哀れな人たちに寛大であれ。あまりひどい侵略をしてはならない。・・・・・・そして所有権を尊敬すること、婦人に対して礼儀を守ること。(中略)講和の条件としては戦費の賠償のみ、他に何も望むな・・・・・・土地をとってなんの得るろころがあろう?・・・・・・ドイツをもってフランスは作れない・・・・・・』


以上、こころに残った2編を書いておきます。体調が思わしくなく、15日までに全部読みきることができませんでした。残念ですが、またいつか書くこともあるでしょう。なによりもこの本を薦めて下さった方に深く感謝いたします。

  (1997年・第57刷・岩波書店刊)