ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

西の魔女が死んだ

2010-08-11 22:37:43 | Movie
監督&脚本:長崎俊一
脚本:矢沢由美
撮影監督:渡部眞
音楽:トベタ バジュン

《キャスト》
おばあちゃん:サチ・パーカー (本名サチコ・パーカー)
まい:高橋真悠
ママ:りょう
パパ:大森南朋
郵便屋さん:高橋克実
ゲンジ:木村祐一

「西の魔女が死んだ・オフィシャルサイト」

原作の「西の魔女が死んだ・梨木香歩著」は4年前に読んでいましたが、映画はテレビでやっと観ることができました。

なにより素敵なことは、おばあちゃんの暮らしぶりです。アメリカの童話作家「ターシャ・テューダー」のように、広大な庭には花や果物、野菜が育ち、鶏も住んでいます。野いちごのジャム、ハーブのお茶、手作りのパンやクッキー。自ら育てた野菜のサラダやスープ・・・ああ夢のようだ。一緒に観ていた愛娘が驚いて「え。お母さんって、そういう生活がしたかったの???」と驚く。

そうよ。したかったわ。でも野菜を作れば失敗ばかり、食べた後の果物の種を植えてみたら、夏みかんの小さな木はアゲハチョウの幼虫に全部葉を食べられてしまって丸坊主・・・そのおかげでアゲハチョウはひらひらと元気に飛び立っていった。それでもいいけど。枇杷の種を植えたら樹はどんどん成長しましたが、いつまでたっても実がならない。リンゴの種から木は育ったけれど10センチほどの時に「うどん粉病」に罹る。トマト、じゃがいもはなんとか成功。茄子とピーマンは実がつかない。虫や蝶が受粉の役割を放棄したのかしら?きぬさやは見事に蔓をのばしていましたが、1晩でいもむしに全部葉っぱを食べられてしまった。

第一条件として、そのような大きな庭や畑のある家に住んだことはない。それでも雑草との戦いはある・・・・・・。もう、あきらめてそれ以後の住処は西洋長屋とあいなったのですよ。魔女修行に大失敗したのですよ。

さてさて無駄話はおしまい。


そんなおばあちゃんの家に、登校拒否の孫娘「まい」が一緒に暮らすことになる。パパは単身赴任、ママは仕事で忙しい、ばらばらな家族だった。おばあちゃんはイギリス人ですが、日本人のおじいちゃんと結婚しましたが、先立たれて、今は1人暮らしです。

おばあちゃんは実は「かくれ魔女」なのです。魔法は使わない。規則正しい生活、よく働き、きちんと食事をとり、人を信じ愛すること、どろどろとした人間関係を見事に美しいものに変えてゆく力があるのです。これで充分「魔女」でしょ?「まい」も魔女修行をします。「死」さえも恐れない人間になるために。それは「死」ののちに魔女は「魂の脱出」ができるからです。

「まい」がママとともにパパの赴任先に行き3人で元通りの暮らしに戻ることになりました。おばあちゃんは、また1人になりました。その時の「まい」のおばあちゃんとの別れ方は決してよいものではありませんでした。その2年後「おばあちゃん」はひとりぼっちで亡くなりました。誰も間に合いませんでした。

「まい」のかつての小さな温室のガラス窓には、こう書いてありました。

    ニシノマジョ カラ ヒガシノマジョ ヘ
   オバアチャン ノ タマシイ、ダッシュツ、ダイセイコウ


「まい」は死に間に合わなかったとしても、おばあちゃんとはずっと一緒に話せるのです。「アイ ノウ」・・・・・・。