ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

縞模様のパジャマの少年

2009-10-13 23:27:51 | Movie

制作国:イギリス&アメリカ
撮影場所:ハンガリーのブタペスト


監督:マーク・ハーマン
   (1954年 イギリスのイーストヨークシャーのブリドリントン生まれ)
原作:ジョン・ボイン
   (1971年 アイルランドのダブリン生まれ)
音楽:ジェームズ・ホーナー
   (1953年 アメリカのカリフォルニア州・ロサンゼルス生まれ)


出演:
ブルーノ:エイサ・バターフィールド
シュムエル:ジャック・スキャンロン



 この映画に興味を持ったのは、新聞に掲載された映画案内でした。ネット上のオフィシャル・サイトはあるものの、上映館が少なくて、上映期間も短いことに気付いて、焦ってしまい、一度も行ったことのない「シネマックス千葉」に観に行ってきました。でも澁谷や新宿に出るよりも往復の時間は短いのでした。映画館の上映時間の案内のなかに「PG-12」と書かれています。なんでしょう?と調べてみましたら、どうやら「parental guidance =12歳以下は、親が同伴した方がいい映画」と言う意味のようでした。上映時間も最後が16時30分となっていました。


 時代背景は第二次大戦下のドイツ。ナチス将校の父の昇進に伴いベルリンを離れ、父母、姉とともに人里離れた大きな屋敷(つまり、ユダヤ人強制収容所の所長の官舎です。)へ越してきた8歳の「ブルーノ」は、友達もいない、寂しい日々でした。家族以外は、頻繁に出入りしている軍人たち、お手伝いさんの女性、小間使いの「縞模様のパジャマ」を着た老人(もとはドクター。)でした。

 「ユダヤ人強制収容所」を周囲の大人たちは「農場」だと子供たちに教えていました。寝室の窓から見える森の奥にある「農場と言われている場所」には行ってはいけないと教えられた「ブルーノ」でしたが、淋しさと「冒険小説」好きの性格から、ついにそこへ行ったのでした。
 鉄条網で囲まれたそこには、人々が昼間でも縞模様のパジャマを着ていることを不思議に思いました。鉄条網の向こうにはパジャマ姿の同い年の少年「シュムエル」がいたのでした。好奇心に満ちた8歳の少年にとって、ユダヤ人は未知の存在であり、ようやく見つけた友だちが置かれている絶望的な状況など知る由もないのでした。

 「ブルーノ」と姉は学校へ行けず、家庭教師が自宅に来て、教えることは「ドイツの立派な歴史と、ユダヤ人のおろかさ」だけで、姉はそれに感化されて、大事に持ってきた、たくさんの人形を地下室に捨てて、ナチズムに向かいますが、「ブルーノ」は「冒険小説」が読めない不満ばかりでした。
 
 こっそりとパンやお菓子、遊び道具を持って、「ブルーノ」は何度もそこへ行きました。ある日「シュムエル」が「パパがいなくなった。」と泣いていました。一緒に「パパ」を探してあげるには「ブルーノ」が鉄条網の中に入るしかありません。鉄条網の下の土は意外に柔らかいことに気付いた「ブルーノ」は、シャベルを用意すると、また「シュムエル」は中にはいるための「縞模様のパジャマ」を用意すると約束して翌日を待つことにします。その翌日とは、母親が軍人の夫の仕事が「ユダヤ人大量虐殺」だったことに気付いて、子供とともにベルリンへ帰ることに決めた日でもありました。「ブルーノ」の不在に気付いた父母と姉は必死に「農園と言われている場所」に駆けつけますが、もはやすべてはおわり。

 「ブルーノ」と「シュムエル」は共に鉄条網のなかの「縞模様のパジャマ」を着た2人の子供となって、パパを探しに行きます。はじめに訪れた小屋にはたくさんの大人の男がいました。その日「ガス室」に送られる男たちです。そして2人の子供も・・・・・・。もう言いますまい。映画はそこで終わります。あの2人の少年だけが救われる奇跡はないのでした。

 戦争と虐殺とを本気で憎みなさい!!!


《付記》

 映画を観たのは4Fでしたので、観客全員がエレベーターに乗って降りました。そこは密室と化して、まるで「ガス室」に閉じ込められたような感覚に襲われたのは、多分わたくしだけではないでしょう。静かな密室ではみんな無口になって、空気までが焦げた匂いがするようでした。

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