エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

共感的理解が試される! 発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の行動理解

2016-09-28 05:06:01 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す

 

 

 

 
「本当のこと」を言う勇気
  子どもの頃のセンス・オブ・ワンダーほど大事なものはございません   愛着障害について、「威圧的な指導は禁忌」とされていることが、アメリカ精神医学会で、愛......
 

 Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、脳科学、治療』の翻訳。発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども、大人。

 最終章の第7章。キムさんのお話は昨日でおしまい。今日は、p.293、10行目途中から。

 

 

 

 

 

 

 

言葉を変えて申し上げれば、「こころの理論」とは、人がお互いに相手のことを予測したり、相手のことを解釈ししたりしやすい心の傾きのことです。それは、お互いの見た目に現れていることもないことも両方です。しかし、ここで指摘しておきたいことは、自分が「あの人の経験はこうに“違いない“」と思っていることは予測にしか過ぎない、という、皆もある経験です。相手の見た目の状態に似た自分の経験は、相手の実際の意識を正確に写し取ったものではないかもしれませんでしょ。たとえば、あなたがかすかに笑ったことは、私に好意があるからだと思うかもしれませんし、あるいは、私をバカにしていると思うかもしれません。あなたが目を逸らせば、別のことを考えているんだろうと感じる場合もあれば、私のことなか嫌いなんだなぁ、と受け取る場合もありますでしょ。

 

 

 

 

 

 自閉症の子ども達が、人の心が分からない、ということを示すために、「こころの理論」が盛んに言われることがありましたし、今もありますね。でも、ここでラニウス教授らが示してくれているように、それは私どもの心の動きの一部を言っているにすぎず、「こころの理論」では説明のつかない事実の方が、遥かに多いでしょ。自分のことも予想が外れる場合が多いのに、お他人様に対する予想は、外れはもっと多いでしょ。

 発達トラウマ障害(DTD)の子どもたちのことは、さらにさらに、「こころの理論」では到底説明できませんし、通常の自分の心理や行動からは、とてもとても、説明できるものではありません

 必要なのは、どこまでも、ロジャースの言う「共感的理解」です。

 

 

 

 

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医療・福祉・教育に国がお金を掛けないようになる時、発達トラウマ障害(DTD)の子どもも、しわ寄せを受けます

2016-09-28 04:01:25 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 
自由だからこそ、新しいもを作り出せる。
  ルターは、ドイツ語でタイムリーな小冊子を出版しました。ラテン語でミサをし、ラテン語で本を出すのが「常識」でしたが、ルターは、その「常識」には囚われませんでした。 Y......
 

 

 発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども。ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog 「犬として育てられた少年」。p157 の、下から5行目から。

 

 

 

 

 

厳しい躾けが実際に、この子どもたちのための「セラピー」と見なされてたんですね。驚くべきことに、このラッペ夫妻の東テキサスの「児童保護局」のケースワーカーは、この夫婦を助けて、「この子ども達は、ラッペ夫妻のところで上手く世話されています」と言っていたことでした。ところが、ラッペ夫妻は、もう東テキサスにいなかったんでした。この夫婦は「こっそり」西テキサスに引っ越して、活発で危険な悪魔教団から逃げたかったんです。この悪魔教団は、子ども達を取り戻そう、そのためには何でもやる所だ、と2人は思い込んでいたのでした。西テキサスのケースワーカーは、この「セラピーをする」家庭が自分の地域に引っ越してきていたことは全く知らされていませんでしたし、件の悪魔教団のことも全く知りませんでした。この事件に合って、初めて、テキサス州の「児童保護局」の高官が、状況に気付かされたんです。

 

 

 

 

 

 ミネソタ州、ケンブリッジの州立施設(地元の人たちは、「ホスピタル、病院」と呼んでました=昔は、2,000人規模の、大きな精神病院でした、当時は100人くらい)には、心理学でPhDを取ったという高学歴の人がいましたけれども、アメリカ式養父母になるような人は、比較的貧しく、学歴も高卒程度だったと思います。知的障害児も、アメリカ式養父母が育てられ、病院暮らしを卒業して、コミュニティ 地域社会、に暮らし出していましたからね。25年前の話です。ちょうど、この本の7歳のボビーが、死ぬほど殴られていた時期です。「レーガン(と父親の方のブッシュ)は、医療費を抑制するために、州立の病院を縮小している」と批判されていましたしね。

 日本だったら、児童養護施設に入るような、虐待を受けた子ども達も、安上がりのアメリカ式養父母に預けられました。「安かろう、悪かろう」の典型では、済まされないことでしょ。医療や福祉や教育などヒューマンサービスを、経済合理性で考えてはならない、ということです。

 

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インターメッツォ: エリクソンの叡智 : 赤ちゃんの信頼と大人の誠実さ

2016-09-28 03:01:07 | 間奏曲

 

 

 
「自分で決める」とガマンの間
   「自分の感じ」。初めて聞くようで、それでいて、日常的に使っている感じもする言葉でしょ。これは日頃あまり意識してない方が普通ですから、ご安心を。「自分の感じ」とは、......
 


 「『エリクソンの小部屋』なのに、最近は、発達トラウマ障害(DTD)のことばかり…」とご不満の読者の皆様と、私自身のために、久しぶりにエリクソンの叡智に満ちた言葉を。Chilhood and Socirty p.269から。

 

 

 

 

 

 ウェブスター辞書が、ライフサイクルの大筋がぐるっと巡っていることを仕上げるのに役立ちます。trust「信頼」(最初の自我の価値)は、この辞書には「、他の人のintegrity「誠実さ」(最後の自我の価値)を、どこまでも当てにすること」と定義されています。ウェブスター辞書は、赤ちゃんよりも仕事を想定していたのではないかと思います。しかし、首尾一貫しましたね。大人のintegrityと子どものtrustの関係をさらに言い換えれば、「元気な子ども達が生きていることを怖がらないのは、年寄りたちが、死んでいくことを怖がらない位に、逆境も人生の糧にしている場合だ」ということになりますね。

 

 

 

 

 

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ビフォー&アフター : 発達トラウマ障害(DTD)のマリリンのケース

2016-09-28 01:11:17 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
「本当のこと」を言う勇気
  子どもの頃のセンス・オブ・ワンダーほど大事なものはございません   愛着障害について、「威圧的な指導は禁忌」とされていることが、アメリカ精神医学会で、愛......
 

 

 発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども。ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.133の、2番目のパラグラフ、10行目途中から。

 

 

 

 

 

マリリンが自分の身体の感覚を自分でコントロール出来る感じを手に入れるようになってくるにつれて、昔と今の違いについて話してくれるようになり出しました。いまは、もしも、夜、誰かの足が自分に触れたとしても、マリリンは、「マイケルの足が当たったんだわ」と解かります。マイケルは素敵なテニスの仲間ですし、自分がアパートに招き入れたんですからね。その足は、もう誰かほかの人の足ではありませんでしたし、足がぶつかっても、性的虐待される訳じゃありません。今は、自分は34歳の1人の女性ですし、もうかわいそうな女の子じゃない、と分かるようになっています。身体がそう感じるんです。

 

 

 

 男が触って来たら、それは性的虐待される、と自動的に、強迫的に、マリリンは感じていたんです。理屈じゃない。身体がそう反応してしまったんです。マインドフルネスのお陰で、マリリンも、自分の気持ちをおだやかにして、過去を見つめ直し、自分を見つめ直すことができました。すると、自動的に過去に引き戻されていたフラッシュバックは鳴りを潜めて、今の自分を感じられ、満足して、今の自分を生きられるようになりました

 あなたも是非、マインドフルネスをやってみてくださいね。

 

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