よくもまあ飽きもせずに暑い日がつづくものです。
去年は七月二日に31・2度を記録して以降、七月二十三日に27・9度と30度を切るまで、三週間もの間、最高気温は途切れることなく30度以上を記録しましたが、今年はそれを凌駕するかもしれません。
今年初めて30度を超したのは六月二十五日。いったん30度を割りましたが、七月八日に30度台に復帰。それから昨日まで二週間以上30度以上をキープしています。
今日も34・7度。昨日(37・1度)と較べれば多少はマシか、とも思いますが、35度前後という暑さだと、2度3度低くなったぐらいでは、昨日より涼しい、という感覚はありません。
我が庵から慶林寺へ向かう途中にある鹿島神社です。
かなり高木の染井吉野(ソメイヨシノ)と、ちょっとした杜があって、暑い日は涼しげですが、この日はさんざめく蝉時雨で、涼しさを感じさせてはくれませんでした。
子どものころは油蝉(アブラゼミ)なら、網を使わなくても、素手で捕まえることができたものです。いまは捜そうとすれば手間取り、やっと見つけたと思っても、捕まえようとしたら、逃げられてしまいますが……。
今日も日課の慶林寺に参拝。
門前に置いてある水盆では睡蓮が咲き始めていました。
この睡蓮の花を見て、次に葉を見て、その次に、すぐ横にある蓮の水盆を見るのも、このところの日課の一つです。
散歩途上にある臭木(クサギ)です。
いまごろは花の季節なのに、花がない、と思って近づいてみたら、花を咲かせるどころか、枯死寸前の有様でした。暑いのもさることながら、彼らにとって敵わないのは雨がないことです。
我が地方の雨のデータを調べてみると、気象庁の船橋観測所で今月九日の朝七時から九時にかけて、9ミリの雨が降ったことになっていますが、これはあくまでも船橋観測所の記録です。
松戸には観測所がないので、絶対に、とはいえませんが、九日の朝、私は七時過ぎに敷き布団と枕とタオルケットを物干し竿にかけています。
部屋から見える南の空(松戸から見れば船橋の方角)に黒い雲があるのを見た記憶がありますが、パラパラという雨の音に愕いて、慌てて布団を取り込んだ、という記憶はまったくないので、船橋では降ったのだろうが、松戸では降っていないと断言できます。すなわち、松戸ではまったく降雨がない! 多少の雨に恵まれた船橋でも九日の9ミリ、十二日の0・5ミリを除くと、今日二十四日まで降雨はありません。
こちらは私が棲む高台の斜面に咲くクサギの花です。
原生林などということはないでしょうが、斜面の高さは20メートルほどもあり、人が立ち入っているのを見たことがない林なので、この日照りつづきでも、水分は充分なようです。
余談ながら、だれも見ていないときに立ち入っているのは、ソファやタワーパソコンなど、中には洗濯機や冷蔵庫という大物までを不法投棄する輩だけです。
さらに余談ながら、不法投棄に手をこまねいている自治体がいっぱいあるのだから、不法投棄が起きそうなところには監視カメラを設置して、どんどんしょっぴいてやればいいと思うのですが、滞納されると自分たちが困る税金や健康保険料の取り立てには厳しいくせに、住民が困ることには鈍感なようです。
手持ちの植物図鑑によると、クサギという名の由来は葉に悪臭がある、ということです。
確かに密生している場所に差しかかると、鼻にツンとくるような臭いがありますが、クセのある臭いではあっても、それを悪臭といってしまうのはこの樹に可哀想です。
夕暮れ近くになると、多少は涼しいと感じられるようになる富士川河畔です。
羽中橋という橋を渡って、松戸市から流山市へ。橋の上から上流方向を望みます。
左の流山市側(画像では左ですが、右岸です)の夏草はきれいに刈り取られているのに、右の松戸市側は草ぼうぼうのままです。
稲は随分丈を伸ばしてきました。近づいてみると、もう稲穂が出ています。
このブログのタイトルとした「蝉時雨」ではなく、「蝉しぐれ」と書けば、故・藤沢周平さんの代表作の一つです。
主人公は藩の政争に巻き込まれて切腹させられた父を持つ、「牧文四郎」と彼を慕いながら、藩主の側室となって、身分違いとなる幼馴染の「ふく」です。
2003年にはテレビドラマ化(NHK金曜時代劇)、2005年には東宝で映画化もされました。
牧文四郎を演じたのはテレビでは内野聖陽、ふくは水野真紀。映画では市川染五郎(現・松本幸四郎)と木村佳乃。
私見ながら、藤沢さんの小説の映画化で一番のお薦めは、「必死剣鳥刺し」(2010年)だと思います。
主演は豊川悦司と池脇千鶴。
腹黒い中老役を演じる岸部一徳も秀逸です。秀逸なだけに、最後、寄ってたかって斬り殺された、と思われた豊川悦司が、絶命してはおらず、「必死剣鳥刺し」で岸部を一刺しする段では、思わず血が高ぶって、「ざまァ見ねェ」と快哉を叫んでしまいます。
余談のまた余談の話。
この映画の冒頭、このところじわじわと人気が出始めている木下ほうかがチラとだけ登場します。この映画を観たときは顔は見たことがあっても、まだ名を知らなかったので、なんという名の俳優だろうかと気になりながらも、映画の最後に流れるクレジットを食い入るように見つめたことがありますが、名がありませんでした。ザァーッと流れて行くクレジットでは見落としたのかもしれないと思って、いろいろ手を尽くしてみましたが、彼が売れるようになって名前を知るまで、八年近くもかかりました。