先月二十五日に行った小岩菖蒲園はよく調べもせずに行ったので、時期が早過ぎてほとんど花がありませんでした。そこでリベンジを果たすのであれば、堀切菖蒲園か水元公園、ということになるのですが、歳を重ねても、というか、重ねたからこそ、というのが実態なのか、臍曲りが昂じてきた私はちょっと違うところを捜すのです。
割りと近場で、菖蒲園があって、これまでに行ったことがないところ、とインターネットをサーフィンしていたら、足立区しょうぶ沼公園というのが見つかりました。最寄り駅は営団地下鉄北綾瀬。綾瀬からわずか一駅ですが、これまで降りたことのない駅です。
常磐緩行線で東京へ向かうとき、電車が綾瀬に近づくと、「北綾瀬へお越しの方はゼロ番線……」と車掌がアナウンスするのを聞いていたので、どんなところであろうかといつも思っていましたが、用もないのに駅だけ見に行くというオタクではない私には縁のない駅……と思っていたのですが、こんな形で行く機会が訪れようとは思ってもみませんでした。ハナショウブを見たあと、綾瀬駅まで歩いて帰ることにすると、途中に龍慶寺という、我が宗派で、薬師如来をお祀りするお寺があるので、参拝して帰ることにします。このお寺を訪ねるのは初めてではなく、2017年八月に薬師詣での参拝をしています。
今朝、ほんのちょっとしたことですが、嬉しいことがありました。薬師如来の縁日である十二日には一日遅れではあるけれども、近くへ行くからには、お参りしようと考えていたので、嬉しいことがあったのも、きっとお薬師さんのお恵みであろうと勝手に考えました。
東京メトロ千代田線の綾瀬で乗り換えて、北綾瀬へ。
目指す公園は駅のすぐとなりでした。開催期間を見てみると、今日はちょうど真っ盛りなのでしょうか、ということになりました。
公園の中を涼しげなせせらぎが流れています。目指す菖蒲田は公園の南側の一角にあって、八千百株のハナショウブが植えられています。二十日ほど前に観に行って空振り三振を喰らったテイの小岩菖蒲園が約五万株に比べると、規模は比較になりませんが、品種は百四十種(小岩は百種)とこちらのほうが勝っています。
品種を記した木札には、いずれもカッコの中に「江」と記されていますが、ほかに「伊」、あるいは「肥」と記されているものがあります。「江」とは江戸系のこと、「伊」「肥」はそれぞれ伊勢系と肥後系のことで、栽培されていた地域です。
木道は狭いので、一方通行になっていますが、見て回っている人たちは年配者が多かったからかどうか、守らない人がたくさんいました。かくいう私も、注意書きに気づいたのは一通り巡り終えて、そろそろ引き上げますか、と思い始めたときでした。
ハナショウブの鑑賞は適当なところで引き揚げて、龍慶寺を訪ねることにします。
しょうぶ沼公園からのんびりと歩くこと七分。かすかに見覚えのある水神宮の前を通り過ぎると……。
龍慶寺です。
創建は正保三年(1646年)、開山は春日部市にある浄春院の第七世・天室秀梵大和尚です。
本尊は釈迦三尊ですが、閻魔王、不動明王などとともに薬師如来が安置されています。 冒頭に、五年前の八月に薬師詣でで参拝していると記しましたが、初めてきたのはそのときではなく、十一年前、2011年八月のことでした。
門前右側、曹洞宗龍慶禅寺と彫られた石柱に相対して、左側には日限薬師如来と彫られた石柱がありました。
我が宗派のお寺に参拝するときは歴住の墓所に参拝するのを常としています。前回きたときは参拝したのか、薬師詣でが目的できていたので、忘れて帰ってしまったのか、前にきたのは五年も前のことなので、記憶はおぼろです。
帰りは綾瀬駅まで二十分かけて歩きました。
中休みとはいえ、梅雨のさなかだったのに、雨の降る気配はまったくありませんでした。これも薬師如来のお恵み?
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