打越通信

日記ふういろいろ

長崎次郎喫茶室

2016-02-13 20:59:25 | 熊本の風景
生ぬるく暖かな雨の朝、ちょっとした用事で町中に出た。
用事も終わり、てくてく歩いて新町に来た。
創業明治7年、今年で144年にもなる熊本市内でもかなり古い建物だ。
一時期閉店していたような雰囲気だったが、近頃復活したようだ。
町中の本屋さんとしてオープンしていた。
この近くを通るたびに妻は2階の喫茶店が気になっていたようだ。
建物自体は国の有形登録文化財になっていて熊本では知らない人もいないだろう。
先ずは1階の本屋に入ってみた。
こじんまりとした店内だが、洗練された本が並んでいた。
一般の本屋のような週刊誌や漫画が並び、立ち読みの人が立っている雰囲気では無い。
目的はここではなく2階の喫茶店なので、そこで読むための月刊誌(文藝春秋)を買った。





本屋の横に階段があり、森鴎外の小倉日記の一節が飾ってあった。
明治32年に熊本に来た森鴎外が池田停留所で列車を降り、この本屋を訪れた時の事が書いてあった。
階段を登り店内に入ると、薄暗い店内に窓からの日差しが指している。



入り口には日本で一番古いオルガンが置いてあった。
とてもレトロで落ち着いた雰囲気だった。
細長い店内で窓側の席が良い雰囲気だったが空いてなかった。
軽食も出来るようだったのでナポリタンを頼んだ。



買ってきた雑誌を読んでいると、窓の外からゴロゴロと市電の音が聞こえる。
何とも落ち着いた雰囲気で居心地が良い。



ナポリタンの味もなかなか気が利いていて、普通の喫茶店とはひと味違う。
森鴎外もこの店に訪問しているが、熊本に赴任した夏目漱石も訪れている。
明治32年と言うと夏目漱石も熊本に赴任していた。
森鴎外は小倉に赴任し出張で熊本に来たと言う。
この二人、この地で合う事は無かったのだろうか?
などと遠い昔に思いを伏せる。



帰り際に、壁に掛かった色紙が目に入った。
ここ数年、ノーベル賞を期待されている村上春樹の色紙だった。


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