あじさい物語

七色の紫陽花のような日々の心模様
       

「セカイの空がみえるまち」工藤純子作を読みました

2017-10-22 18:19:49 | Weblog
遅まきながら工藤純子さんの「セカイの空がみえるまち」を注文していて、それが今日届いて、一気に読みました。
ずっ~と読みたいと思っていました・・・。

この本です。



やっと手にしました・・・。
どんなことを書いているのだろうと楽しみに読み進めました。

7月に行った新大久保が出てきます。新宿、明大前も。

読み終えて、本を閉じて「工藤さん、いい作品を書きましたね」って呟きました。

すごいなあ。
入念な取材のもとに書いたんだろうなあ。
ヘイトスピーチ、吹奏楽部、野球部・・本当によく書いていると工藤さんの作家としての素晴らしさを感じて、尊敬の一念です。

内容はあまり書けませんが、すこし。

新大久保を舞台とした物語として空良(そら・中学2年生の女子)と同じクラスの翔(かける)を主人公に、それぞれの思いを交替に書いていく手法で広い意味で楽しめます。

父の失踪は自分が原因だと思っている空良(そら)は吹奏楽部でトランペットを吹いている。
同じクラスの翔(かける)は、野球部。母を知らない・・・。
ふたりは自分に向き合って、懸命に生きている。
その二人が出会って、成長していく・・・

読みながら、笑ったり、ひやひやしたり、一緒に憤慨したり・・・

キムさんが翔に話をする場面は涙が出そうでした。

キムさんという人も魅力的だけど、同じくひとみさんの言葉も私の胸を打ちました。
たとえば、人は外見でなくてここで見るんだって空良の胸をとんっとこぶしでつついたひとみさん。
そこにあかねや野上さんや中村さんや・・・これまた個性的な人が出てきて、物語をふくらませています。

空良の母や父、翔の父親にも生き方をみる。
おとなだって一生懸命に生きている。
でも、子どもを育てる義務・責任はあるよね。
大人より、子どもの方がしっかりしてるなあと思ったり・・・。

ヘイトスピーチ。
考えられないことが実際にあるということ。言葉の暴力の残酷さ。
他を認めないことが戦争になること。

また、空の情景がよく出てきますが、その表現がそれぞれにいいなあ。

新大久保は7月に行き、あの町を思いながら読みました。
これから、歩いている中学生を見る目が変わりそうです。
この子も何かを抱えているけど、一生懸命生きているんだとね。

読んだあとに元気をもらいました。本当にそうです。

作家として、いろいろな人の心情を書ける工藤さん、その中で自分の伝えたいことをさりげなく言わせてる・・・。
きれいなやさしい工藤さんを思い出しながら、いい本に出会えたことに感謝です。

今日はくしくも選挙の日。
一国だけを嫌うのでなく、どの国の人ともなかよく平和に暮らせればと思うのです。
メディアにふりまわされることなくね。

大人にも読んでほしい本です。

そうそう、なんかね、青春時代にも戻りますよ。
自分のね。
私も野球部のキャップテンでピッチャーだったHM君を思い出しました。
付き合っていたというか・・うわさがあって・・・おかげで勉強しなかったなあ・・(いいわけですねえ)あのとき、私も中学2年生でした。放課後に2階の教室から彼を見ていた自分の姿が懐かしく見えてきます

ちょっぴりドキドキワクワク場面を味わえます。

ぜひ、皆さま、お読みください。
何かを得ます。
世界観が変わるかも・・人を見る目が変わるかも・・自信が沸き起こるかも・・・。
お勧めです。

ちなみに工藤さんの「セカイの空がみえるまち」は今年の児童ペンクラブの「少年小説賞」を受賞されました。

あらためて、おめでとうございます

今週末の「季節風大会」工藤さんにお目にかかれますが、これから、再び、分科会の皆さまの作品を読みこんで、レポートを書いて、また読みこんで・・そうそう、短歌も10首「辛夷」に送らなきゃ。

空良や翔が人生を真摯に生きているのに比べたら、そういうことってたやすいことかしらん?そうかも・・・ね。

頑張ろうっと
コメント (2)
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