最近よく聞かれるWin-Winの考え方ですが,私は「7つの習慣」で学びました。他ではキーワード以外は私は見かけませんが,この言葉を使う皆さんは「7つの習慣」を読んでおられるということでしょうか。
教員-学生の関係にも当てはまります。現在の私の状況にも自戒をこめて,また過去の学生時代の私の心情も思いだしながら,以下のことを書いておきます。
教員-学生の関係にも,Win-Winはあるし,Win-Loseが一般かもしれないし,Lose-Loseもよくあるかもしれません。
人間関係というものには,一方通行は一時の恋愛を除いてほとんどないと思っています。どちらかが好意を抱いていれば他方もそうなるし,逆もまたしかり。私も人生の半分程度まで来たかと思いますが,そう実感します。
大学の教員と学生という関係は簡単なようでなかなか難しいものです。私自身も学生時代に苦手な先生がいました(一人ではありません)。苦手な理由はいくつかあると思いますが,能力的にはすごい先生で,もちろん尊敬していました。で,私が苦手に思っている,ということは,先生も私に対して同様の印象を抱いておられた,ということなのかと思います。
かなり時間が経過した今は,当時の「苦手」という印象がほとんど無くなっています。それにもいろいろ理由はありますが,触れません。その結果,先生も私に対する印象が変わられたのか,関係は学生時代とは明らかに異なるように思います。
今の私と学生の関係も同じ。学部1年生くらいであれば私をただのおっさんと思って平気で近づいてくる学生もいないではありませんが,4年生や大学院生になると私に対しては相当な警戒心を皆持ってます。ですが,私の懐まで飛び込んでくる学生と,完全に距離を置いてしまう(昔の私もそういう面もありました)学生とに分かれてしまいます。
私との間に距離を置いてしまう学生は,Win-Loseの考え方をしているように見えます。専門分野において私と議論で勝ち負けを争っても仕方ないのですが,どうもそうなってしまう。Win-Winが築ける関係とは,お互いの役割を認識して,お互いが謙虚になり,お互いが学び合える関係です。
教員と学生の関係というのは,もちろん真摯で基本は誠実に厳しく,永続的な関係だと思っていますが,まあ実際は気楽で心地よいものです。長い関係だからこそ,人間関係のトレーニングだと思って,自分の人生に生かしてもらえればと思います。Win-Loseの見方をしてしまう人は,教員との関係のみならず,すべてそうでしょうから。