本日、YNU土木の学部3年生の学生実験のコンクリート実験が無事に終了しました。
たかが学部教育の必修の学生実験です。ですが、必修の学生実験(5分野)は受講生にとって負荷がとても重く、私が真面目とはとても言えない学部3年生であった1994年の春夏の、忌まわしいとも言える過酷な負荷は脳裏に焼き付いています。。。
さて、2020年度は、忌まわしいコロナ禍により、YNU大学教育はほぼすべてオンライン教育を余儀なくされました。その中で学んだことももちろんありました。表題の学生実験もオンラインで実施しましたが、最大限の工夫は凝らしたものの、対面での本来の教育効果は到底得られものでは無かったと思います。これは我々の努力不足ではなく、教育(もしくは社会活動そのもの)は、本来対面で実施すべきであることを我々現代人に突きつけたのであろうと認識しています。
そして、今年度のYNU土木のコンクリートの学生実験がスタートしました。
1年ブランクがあると、主戦力の学生のTA(ティーチング・アシスタント)のノウハウも途切れます。責任教員の私自身もやや不安を感じながらスタートしました。
しかし、いくつものミスを重ねながら、TAも成長しました。そして、YNU土木のコンクリート実験の最大の特徴であるコンテスト形式において、学生たちのそれぞれの班(合計6班)の、それぞれのオリジナルな設計に基づくRC梁(モルタル)を試行錯誤を重ねて設計・製造し、破壊荷重を計算し、実験で破壊形態・荷重を観察しました。コンテストは環境負荷の低減や、材料コスト、破壊荷重や梁重量の予測なども含めた総合評価方式を採用しており、学生たちも多角的な考察を楽しんでくれたように思います。
さて、本日が学生実験の最終日でした。梅雨入りがいつ宣言されたもおかしくない時期ですが、結果的に毎週火曜日の実験はほとんど雨が降りませんでした。。。(普段の行いが良いからかな。。。)
本日、6月15日は、最終日で、後半の3つの班のRC梁の載荷実験でした。
鉄筋コンクリートの梁という複合構造がどのように壊れるのか、じっくり観察して学んでほしい(私が先輩方から学んだ哲学)と、私からのメッセージを冒頭に伝えました。
ものが壊れるというのは不思議なもので、人間の何かの本能をくすぐります。壊れる過程や、壊れ方を、エンジニアとしてきちんと説明できることはとても大切なことです。エンジニアにとってとても大切なプロセスを学んでいるということを学生実験を通して強調しました。
本日はとても良い雰囲気だったと思います。受講生たちは自分たちの設計・作製したRC梁の破壊状況から多くを学んでくれたと思います。TAたちは相当なプレッシャーの中、準備、予備実験、3班×2サイクルの本実験の中でのフィードバック・改善、を通して、大きく成長してくれたと感じます。
このブログでは書ききれませんが、受講生、TA、そして教員の私も、大きく成長させてくれる場が、「教育」の場です。皆が相当な労力を割いて、事前予習、事前準備をし、教わる側も教える側も精一杯の努力をし、対面での実験の時間を通してそれぞれが学ぶのです。
ごくごく当たり前の日常ではありますが、昨年度のオンラインの学生実験とは大きく異なる教育効果を改めて現場で「体感」しました。
一言、付け加えますが、昨年度、オンラインでしか受講できなかった、当時の学部3年生たちの有志は、自発的に今年の学生実験を見学していました。それも素晴らしい光景と思いました。そのような心構えを持っている方々は、今後も大きく育っていくことでしょう。
ごくごく日常である教育・研究の現場が、どれだけかけがえのない貴重な場であるかを、本日の学生実験でも学ばせていただきました。日々が貴重ですね!