研究者としてのあり方そのものにつながる話かもしれませんが,従来から思っていることでもあり,ふと思考がその点に及んだので,メモ書きとして。
論理を展開する上で,境界条件,前提条件は非常に大切です。また,その条件の中で論理を展開するわけですが,その展開が正しくないと受け入れられないのも当たり前。ですが,人間ですから,条件の設定もしくは論理の展開の双方で間違いをおかすわけです。
私は,間違いをおかさずに,論理を展開するというのが苦手です。間違いを犯してはならない,と思っているので,非常に複雑な論理を展開するという方向に進みません。設定された条件の中で,高度な理論を展開できる人をすごいと尊敬します。
一方で,土木工学だと,境界が非常に広い,複雑な問題を実際に相手に実践していきます。その場合,条件の中で高度な論理を展開する,というよりは,その条件の中での実態をどう改善するか,もしくは条件そのものを見直す,という行為が重要になります。高度な論理展開は,むしろ害悪になる場合すらある。私は,こちらでの行動が得意です。
世の中を見ていると,条件の設定の仕方で致命的な間違いをしている方もおられるし,設定した条件の中での論理展開が完全に間違っている方もおられる。難しいわけです。しかも,間違ったまま,学位論文が授与されているようなケースすらある。これはさすがにどうかと思います。
条件の設定にもフレキシブルに対応し,設定した条件の中でパーフェクトに論理展開できることが望ましいわけですが,これはとても難しい。特に条件設定が難しい。いろんな人間が関与する社会システムを相手にすると,なおさら難しい。
難しいことを自覚して,「無知の知」を常に意識して,条件設定・変更能力と,論理展開能力を磨くことが大事です。私も論理展開が苦手ですが,鍛えれば能力は向上します。また,一人でやる必要はない。いろんな人と連携しながら,チェックも受けながら,論理をブラッシュアップすればよいので,長く生きればどちらの能力も向上します。
まあ,ありとあらゆる現象があるといえども,貫く本質の共通性くらいは,生きている間に何となく分かってきそうですが,100%の真実や理論などないし,たどり着くことはそもそも人類には不可能でしょうし,気張りすぎずに,自己の研鑽を重ねようと思います。間違ってはいけない,というのも私の臆病なところなのですが,間違ってもいいじゃないか,学習すれば,というようないいかげんな方向に振れてきております。
最新の画像[もっと見る]
-
YNU dialogue 「福島の今を知り、100年後の豊穣な社会を考える」のご案内 11ヶ月前
-
元気なインフラ研究所 第2回セミナー(3月22日(金)15:30~、オンライン) 12ヶ月前
-
都市基盤学科の卒論生たち5名の発表会 1年前
-
元気なインフラ研究所 第1回セミナーと、能登被災地の調査 1年前
-
元気なインフラ研究所 第1回セミナーと、能登被災地の調査 1年前
-
元気なインフラ研究所 第1回セミナーと、能登被災地の調査 1年前
-
元気なインフラ研究所 第1回セミナーと、能登被災地の調査 1年前
-
元気なインフラ研究所 第1回セミナーと、能登被災地の調査 1年前
-
元気なインフラ研究所 第1回セミナーと、能登被災地の調査 1年前
-
元気なインフラ研究所 第1回セミナーと、能登被災地の調査 1年前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます