秋学期の講義も終盤です。今年から都市科学部の講義として新たに開講した「メインテナンス工学」も先週の1月23日の第14回目が、外部講師を招いての最終回で、鉄道総研の上田洋さんにご講義いただき、広く、深くメインテナンスについて学んできた一連の講義の最終版にふさわしい、素晴らしい内容の講義でした。これを受けて、私の最終回が2月6日に行われます。どのような講義になるかドキドキでしたが、15回を通じて、私の目から見て素晴らしい内容になったかと思います。受講生の学部3年生たちが多くを感じ、学んでくれたことを期待します。
上田さんの講義の中で出てきた、人生を通じての、「微分」、「積分」の考え方はとても面白く、別のエッセーで紹介します。「積分」の考え方は、我々でも勇気づけられます。
今日は、「自己実現的予言」について。
「土木史と文明」の講義も、次回の1月28日で最終回を迎えます。1月14日の講義で、「経路依存性」という社会科学で使われるキーワードを使って、なぜこんなにもおかしな政策が続けられるのか、を説明し(中野剛志先生の著書を引用して)、学生たちも相当に合点が行ったようです。データで示すのも重要ですが、社会科学等の知見を活用して説明するのも有用ですね。
最終回は、学生たちがそれぞれの人生を有意義に過ごしていけるよう、私からのアドバイスを時間の範囲内で伝えます。これもここ数年の毎年のスタイルです。
最終回では、「自己実現的予言」というキーワードも登場します。これも、社会科学の分野の用語、とのことです。
「人口減少は仕方ない。人口減少社会では経済成長はできない。対応するためには、増税(消費増税)が必要だ。」
はい。消費税を増税すると、すでに壮大な社会実験で明らかになったように経済が疲弊し、人口減少がさらに進みます。
「人口減少が加速しているではないか!もっと増税しないと高齢化の進む社会のシステムの運営ができない!」
はい。そして、さらに経済が疲弊し、人口減少がさらに進みます。とめどない、負のスパイラル。
この手の「自己実現的予言」は、それこそ無数に見受けられます。
車に頼らざるを得ない地域社会であったり、移民の力を借りないと成り立たなないデフレ産業(ファストフードやコンビニなど)だったり。
社会の諸現象を理解するためには、社会科学は便利ですね。
さて、「土木史と文明」の講義では、日本社会の負の面はすでにさんざん見てきました。まだメカニズムを知りたい学生もいるようですが、切りがないので、後は本当に知りたければ、紹介した情報ソースで、自分で勉強してください。いつまでも甘えていても仕方ありません。
最終回は、「自己実現的予言」をプラスの面で活用することにします。
マイナスの「自己実現的予言」に絡めとられている個人の状況も無数にあろうかと思います。
このブログは、ある意味ではプラスの「自己実現的予言」のためのものです。長い時間をかければ、自己実現的予言の方向性に、自分自身も成っていきます。
学生の頃、もしくは社会人として駆け出しのころ、すごい研究者や、すごい技術者たちを目の当たりにして、憧れ、どうしたらあのようなレベルになれるのだろう、と年齢の近い同志たちと語り合ったり、努力をともにしてきました。
また、いろんな研究者や技術者がいてよいし、いるべきなのですが、私の場合は、土木技術者として、できれば実構造物が良くなるような研究に携わりたかったし、実構造物や実際の社会システムと密接に関連した研究をしてみたいとずっと思い、願っていました。一方で、研究者ですので、基礎研究も大事にしたい、とは思い続けてきました。これらのことは、何度もこのブログでも書いてきました。
これらは、すべて、「自己実現的予言」として作用し得ます。
どんなことだって、プラス、マイナスの面があります。「経路依存性」も「自己実現的予言」も、マイナスに作用すると恐ろしい状況をもたらしますが、プラスに活用することはできます。これも、土木史の講義の最終回で学生へのメッセージの一つに含めようと思います。
昨日の土曜日は、久しぶりに思い切り休養を取りました。16時間くらい寝たかと思います。それくらい、疲れが溜まっていました。
今日の日曜日は7時に起床し、その後、17時までほとんど、いわゆる「休憩」なしで、仕事(論文やレポートの添削、2件の研究打ち合わせ@スカイプなど)、様々な家事、食材の買い物、スポーツ(Run 5.7km、水泳1000m)で過ごしました。休憩しないのがよい、などと思ってはいませんが、昨日たっぷり休養したおかげで、今日は休憩が不要なほどアクティブ、ということです。この後も、眠くなるまで休憩なしで過ごして、その後は「コテン」かと思います。
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