シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

夜空のトランペット

2013-08-04 12:28:51 | 音楽を聴く

ニニ・ロッソの名曲、『夜空のトランペット』を聴いた。

 

子供の頃、夏休みを山梨県甲府市の母の実家で過ごした。

その頃、市内放送のスピーカーからは、

午後6時になると、『夜空のトランペット』が流れた。

この曲が流れると、祖母は夕食の支度を始めた。

四方を山に囲まれた甲府市の、山の稜線と夏の夕方の風景、

そしてこのメロディが、 今も私の中で思い出に残る。

 

それから何年後か、 ある記事を目にする。

日航機が、成田に到着する際、

機内でこの『夜空のトランペット』を流しているという。

着陸前の慌ただしさと、緊張感をほぐすために、

小音のBGMとして流しているらしい。

しかし、これが米国人乗客からのクレームになった。

米国では、戦時中に、 亡くなった兵士を荼毘に伏す際、

星条旗の半旗と共に、この曲を流したという。

『タップ』という、弔意を表す厳粛な曲だったのだ。

乗客は、『一番危険な着陸の時に、縁起でもない』と抗議した。

日航は、「国際線として配慮が足りなかった」として、 この曲をやめている。

 

飛行機の到着時。 死者を弔う音楽。

考えてみれば、この曲はどちらにも合う。

ただ、それに伴う各国の歴史や背景などは、 ともに理解しなければいけない。

 

幼い頃の私の名曲。

今はもうさすがに、 甲府市でも流れていないだろう。

私にとっての、夏の遠い記憶である。

 


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