イヤッター!ヤッタ!ヤッタ!イアッター、イア・・・イア!シャブニグラトフ!
私はとうとう手に入れたのだ!あの忌まわしき禁断の音源を!
そう、あの戦慄のエーリッヒ・ツァンのCDを!!(ヤフオクで安価で!)
地図に載っていない街、オーゼイユの貧民窟の屋根裏部屋に棲まっていた唖のドイツ人ヴィオール弾き、その人物こそがエーリッヒ・ツァンである。
このオーゼイユ街で最も高所にあるといわれている屋根裏の切妻窓に向かって、ツァンは夜な夜なとうていこの世のものとは思われぬ、滅入りこむような暗鬱な旋律を奏でていた。その切妻窓から眺めた世界はとうてい人の棲むところではなく、真っ暗な空間が無限の彼方まで拡がり、音と動きだけしかない世界だった。
そこでは夜陰に吼えるヴィオールの狂乱を背後に、暗い淫らな半獣神の群れが、互いに笑い興じながら踊り狂っているのだった・・・
しかしこのジャケットのオッサンがエーリッヒ・ツァンみたいですが・・・なんかイメージと違うなぁ~。
『ラヴクラフト全集2』によると“禿げあがった頭と碧い眼のグロテスクな半獣神を想わせる顔つきの貧弱な老人”と形容されているが、このジャケットの肖像画はなんかラリったベートーベンみたいやない?
種を明かしますとこの作品、ドイツ人はドイツ人なのですが、MEKONG DELTAっていうジャーマン・テクニカルスラッシュメタル・バンドの2nd「THE MUSIC OF ERICH ZANN」というアルバム。
つまり「エーリッヒ・ツァンの音楽」ってそのままやんけ!
メコン・デルタはいち早くスラッシュメタルにクラシックの要素を大胆に取り入れたことで当時かなり注目を集めていたバンドで、私も昔友人に薦められて何かのCDをかりましたが、そこでELPの“TOCCATA”をメタルサウンドで完コピしていたのを聴いて「おもろいことしてんなー」という感想を持ったぐらいでしたね。まぁ昔からクラシカルな要素を露骨にひけらかすメタルバンドってあんまり好きやなかったもので・・・。
このCDでもムソルグスキーの「展覧会の絵」より“こびと”、“にわとりの足の上に建っている小屋”をカヴァーしておりますが、クラシック好きってゆーか、ELPが大好きな人達のようです。
大いなる旧支配者からの信託を歌った“PROPHECY”や『エーリッヒ・ツァンの音楽』の物語をまんま歌にした“THE FINAL DELUGE”と、リリック的にはクトゥルー神話を追求しているみたいですが、肝心の音楽が全く宇宙的恐怖の深淵を表現できていない!演奏はそこそこ複雑なことしてますが、サウンドがショボショボのショボメタル。ヴォーカルの細~いハイトーンは冗談にしか聞こえない。
ちなみにヴォーカルと作詞を担当してるのはあのジャーマンメタル界屈指のラヴクラフティアンといわれているRAGEのピーヴィだそうな。なるほどな・・・
しかしジャケット共々なんかラヴクラフトの世界観をはき違えてると思えてなりません。
もし、このアルバムが余裕で地図に載っている私の棲まうキヅ街を一望できる団地のベランダ下に拡がっている、底知れる深淵に吸い込まれてしまったとしても、いささかも残念とは思わないだろう。
それよかカップリングで収録されてた1stのドッカンドッカンスラッシュの方が圧倒的に私好みでしたわ~。
いいねぇ~このLIVING DEATHを彷彿とさせる直球型のB級テイストサウンド・・・
ってゆーかギターはLIVING DEATHの人らですやん!!
今日の1曲:『True Lies』/ MEKONG DELTA
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