ミスカトニック大学探検隊の再三に渡る警告にもかかわらず、南極大陸調査団による飽くなき探求心は、その手をいささかも緩めようとはしない。
今日も人跡未踏の地で新生物が発見される度、私はあのウミユリ状の頭部を持つ<古のもの>のこと、無定形のショゴスのことを思い出し、言いようのない不安と恐怖に苛まれて止まないのだ。
そこで、彼らの無謀とも言える南極侵略を思いとどまらせるためにも、来日公演中という事もあり、私はあるジャーマンメタルバンドの作品についてここに書き留めておく事にする。
いやいやメロスピ系のジャーマンメタルはあんま聴かないタチなんですが、このRAGEの「THE MISSING LINK」は昔かなーり聴きまくってましたね~。イントロの畳み掛けるようなザクザク感溢れるリフからもう興奮したのを覚えております。
サビとかはジャーマン特有のコテコテのクサメロ臭が漂ってはいるんですが、演奏の重圧感や、ングラネク山に彫られた大地の神の似姿バリの顔を持つピーヴィ氏のヴォーカリゼーションにはかなりの獰猛さがみなぎっております。
全体的にはアグレッシヴなスピードナンバーが多いのですが、私は#4“穴と振り子”や#6“CERTAIN DAYS”のようなドッシリとしたヘヴィネスさを持つミドルテンポナンバーが好きですね~。
そして今作品のハイライトともいうべき10分にも及ぶ長編曲#9“LOST IN THE ICE”こそまさしくあのミスカトニック大学探検隊が南極の人跡未踏の地で遭遇した氷壁の中で冬眠状態にあった20億年前の先行種族<古のもの>のこと、そしてその彼らが無機質から合成した、あの恐るべき不定形の生物ショゴスの恐怖について歌ったものなのだ!!(『ラヴクラフト全集4 「狂気の山脈にて」』参照)
「氷の下に失われた世界 なんと恐ろしくも不思議な光景だろう
骨の髄まで震えてしまう 彼らがまだ南極で生き残っていたら・・・」
・・・まぁ翻訳が悪いのか、いささか緊張感を欠いた、ひねりのないそのままなリリックではありますが~ドラマティックな曲展開や、中間に挿入される神秘的なオーケストレーション効果は、悠久の太古に死に絶えた、原初の建築物の洞窟にも似た蜂の巣状の内部、或いは、呪われた窮極の深淵を見晴るかす、狂気の山脈を連想させます。
この曲の中では、私たち人間が<古のもの>によって創り出された創造物、あるいは失敗作であったということもほのめかしています。そしてこの仮説が後の#11“THE MISSING LINK”で歌われるダーウィンの進化論に対しての疑念へと繋がっていきます。
そして私はエンディングの不穏な響きをまとうストリングスの音色を聴く度に、忌むべきレン高原の彼方にあるという、凍てつく荒野のカダスのことを想わずにはいられない・・・
ラストの#13“ANOTHER KIND OF MADNESS”も「なぜ日本盤のみのボーナス・トラックにしたん?」と言いたくなるほど、アルバムラストを飾るに相応しい、哀愁感溢れる美しきアコースティック・ナンバーです。
いや~でもRAGEってメロディアスなのもたまには悪くないと思い起こさせてくれるバンドですね~。
とまぁライヴに行きもせんくせに2日間もひとりで勝手にRAGEで盛り上がってしまった・・・
今日の1曲:『NEVERMORE』/ RAGE
感動過ぎて。。。
どうしようかと思うくらい!!!でした。
今年はいいライブに恵まれています。
ピーヴィがラブクラフトマニアって、、、
やっぱり同じニオイがあるんでしょうか?(笑)
メロディのあるメタルっていいですよ!!!
RAGEはなんかノリやすそうですね!
ピーヴィ氏もノセ方上手そうだし。
ドイツ人ってなんか親日的じゃないですか?
>ピーヴィがラブクラフトマニアって
朝松健先生の『崑央の女王』が最近英訳されたそうなんで、ピーヴィ氏にもぜひ読んでもらいたいものです。
>メロディのあるメタルっていいですよ!!!
そうですね。僕の好きな音楽はなにかしらメロディがあると思うんですけどね。
メロディアスなのが苦手なのかも・・・メロデスは全く受けつけませんから。