2022年の春
得三にて…友部正人さんのライブレポの続き…
換気タイムの休憩挟んで…第二部
前から得三では、マイクを使わないでやってみたいと思っていて、何曲かなしでやってみますと
第二部の始まりは、生音、生声で
「あの美しい町では」
比喩的に「戦争」を感じながらも
どこまでも抒情的で…
懐かしい感じ…
言葉が…心に滲みる…
歌が、まるで生きているかのように…蠢き…
…躍動感の感じられる…友部さんから表現される歌
列車のなか1組でもカップルがいれば
その列車は幸せを運んでいることになる…
…との歌詞が印象的な
温かなニューヨークの風景が描かれた
「フロム・ブルックリン」
行ったことのないニューヨークが
クレヨンで淡く描いたスケッチが
活動写真のように心に浮かび上がる歌…
淡くて…淡くて…
クレヨンで…描かれたような…淡い心象風景が
心に広がっていくのです…
その浮かび上がる心象風景は…
…ただの風景ならぬ…友部さん独特の世界観…
それが…ホント心に沁みるのよ…
歌い終えて
生音でも聴こえるでしょう…と客席に一言声を掛けて
「ブルース」
♪ブルースは元気がない時には歌えない~
♪ブルースは元気がない時には歌えない~
このサビのリフレインの心地よさ…
ホントそう思う…
でも私にとっては
元気がない時に聴いていたいのがブルース…
「遠来」
イントロのハーモニカの響きが郷愁感を漂わせ
切なくて…淋しくて…
…でも優しくて…
ニューヨーク
インド
フランス
台湾
どこにいても
僕は…
…どこにいても…人は人と繋がっている…
個から世界へ…
そんな
スケールの大きな…壮大な…
そして感動的な…一曲
生音はここまで…ここからはマイクを使って
「船長坂」
♪歩いている 歩いている~
このフレーズが優しく心に残る…坂は…もちろん、人生に喩えて
伝わってくる旅愁感…歳を重ねて歩いてきたけども、まだまだ人生の「船長坂」は、これからもずっと続いていくんだろうな…
♪わざわざ歩かなくてもいい道を わざわざ歩く人がいる
行きたくないところには行こうとしない人たち~
こんな感じで、人生の旅は続いていくんだろうな…と何度も聴いてみたくなる…心に沁みる歌…
「銀座線をさがして」
変わりゆく渋谷駅…渋谷の街を歌った歌
着眼点が素晴らしくて
街が変わっていく…それは便利になっていくことは間違いないんだろうけど街が変わるということは、その場所に刻まれた思い出も消え去るようで
どっぷり昭和に生きてきた私ですので…昭和のものがどんどん消えていく…そんな名古屋地区の街の光景を重ね合わせながら…そー言えば、今池の街もどんどの変わっていってるんだよな…
御贔屓にしていたお店がなくなったり…
そんなことを思いながら、聴いていれば…じわじわっと心に沁みてくる…
そーいえば、得三横の中古レコード屋さんも閉まっていました…
ブルースのCDも充実してたから割と得三に行くときには、寄っていたのに…
「組み立てる」
♪組み立てる 組み立てる 僕は事件を組み立てる~の歌い出しから始まる歌から
おじいさんがやってきているけど、そこには車を運転している運転手が眠っている…といった場面…そこを、僕が「透明人間」になって…といった
ファンタジーな世界観が綴られる…
初めてこの歌を聴いたので、この曲をしっかりとは味わえてはいないけど、おそらく友部さんなりの鋭い観点で、比喩表現が込めてあるような感じが、どこかに隠されているような気がして…
また、聴いてみたいと、できることなら歌詞をみながら詞を味わいながら聴いてみたいと思える1曲…
「月の光」
友部さんの直球の熱い思いがストレートに伝わってくる
激しめのギターのストローク
♪ぼくたちは土地を選ばない ぼくたちが今土地になる ぼくたちは土地にしばられない ぼくたちはどこでも土地になる
♪ぼくたちは闇をみる ぼくたちはその時闇になる~
この曲が作られたときの時代背景とは全く異なるけど、まさに今、この時ニュースで流れてたロシアの爆撃を受けても心が折れないウクライナの人々のことを歌っているようにも聞こえてきて、なんとも不思議な気分に
♪ぼくたちが信じたこと それがぼくたちの言葉になる~
だんだんと時間がなくなってきましたとの語りだしから…集まってくれたお客さんに感謝の言葉を添えて
「月がボタンをかけている」
ご機嫌な曲調、激しめのギターストロークにのせて
♪私は私を生きている 私は私を歌ってる 私はここにいなくても あなたはあなたを生きている~
もう歌い始めて2時間となるというのに、友部正人さん、振り返ってみれば…ずっと歌いっぱなし…
とてもじゃないが72歳だなんで…絶対に思えない…
♪月がボタンをかけた夜~
どんな夜なんだろう~と、想像を膨らませながら、漠然と今、生きていることに感謝の気持ちを抱きながら
「明日になれば」
その入院生活のことが…赤裸々に綴られる…
コロナの時期なので面会もままならず…ある面入院している一日が長くて退屈もあっただろうに…
でも入院は、いい機会だったと…そう前向きにとらえている…友部さんの想いが伝わってくる…
さらに、入院している人みんなが人生を諦めてはいなくて…
とことん前向きで
♪明日になれば君に会える~僕のいるところに君がいる~
歌詞のこの言葉に想いが凝縮されている気がしました…
これにて本編終了…もうすでに歌い出して…休憩除いても2時間歌いっぱなしですけど…
鳴りやまぬ拍手に応えて
UN
集まってくれたお客さんに感謝の言葉を添え
8月に「3KINGS」でここ得三にくること…さらには、たぶん、その後、もう1回くらいソロできたいと思っていると語って
「ぼくは君を探しに来たんだ」
間の取り方も絶妙で心に刺さる!
歌う言葉一つ一つが心に沁みる
ストレートに伝わる想いに
ぐぐっと惹きこまれる…
こんな素晴らしい歌を…私が10代後半の頃には…
もうすでに歌っていたのに…友部さんの唄と出会ったのは
私が40歳を過ぎてから…
友部さんの唄に出会わなかった
私の20代、30代を
「ああ、人生もったいないことしたな…」と…後悔しながら…
もう…心は感動で…痺れっぱなし…
歌い終えてのMCは「小原流挿花」というお花の月刊誌にエッセーをかいたので、是非読んでいただければといった紹介と
おととしに「ちくま文庫」から「歌を探して」という文庫本を出した紹介を挟んで
最後の曲は
「彼女はストーリーを育てる暖かい木」
この曲に耳を傾ければ、言葉の奥底に蠢いているものが見え隠れし、なんていうのかな、行間と言いましょうか…詩ですから…「連」と「連」の合間に、文字としては書かれていない思いが伝わってきて、それというのは、東日本大震災での出来事…
暖かさも感じるとともに、激しさも…歌う言葉から…その言葉の奥から伝わってきて、この友部正人さんの描く世界観に惹きこまれる…
平たい言葉で表現しちゃえば…これぞ、友部さんにハマっていく…惹きこまれる…1曲と言ってもいいほど…実に味わい深い歌でした…
とても72歳とは思えない友部正人さん!凄すぎる!
友部さんの歌を聴いていなかった空白の20代~30代を取り返すべく??せっせと友部さんのライブが名古屋は得三であれば、足を運んでいる私
ライブ後、少しお話させて「銀座線をさがして」という曲が素晴らしくて、着眼点が凄くて…と話したら、「そうでしょう…笑」と友部さん
奥さんに「自分で言うな」とツッコまれて、笑顔をみせる友部さんが素敵でめちゃ印象的だったのでした…
「銀座線をさがして」「銀座線をさがして」「銀座線をさがして」
私も、携帯はどこ??メガネはどこ???
「銀座線ならぬ、いつも何かを探している私」なのです…