「中村苑子句集」より
(みなフロイト的にヤバい)
舌を灼く氷不運な出合いかな
口下手の真っ赤な舌や氷水
蛇過ぎて草起き上がるなまめかし
睡蓮や聞き覚えある水の私語
夏蝶はおほむね白し汚れやすし
身のなかの一隅昏らし曼珠沙華
火の色の石あれば来て男坐す
身を容れて夕ぐれながき合歓の歓
消えやすき少年少女影踏み合ふ
現つなの少女ただ居て怖ろしき
屋根裏に昨日のわれと密会す
あはれ幼き花の下なる物狂い
衣擦れのあと寂として春の雪
桃の宿ひとり遊びの影踊り
うしろ手に閉めし障子の内と外
星ばかり見ないで蓮が開くから
わが影に来て影添ふや岩清水
(みなフロイト的にヤバい)
舌を灼く氷不運な出合いかな
口下手の真っ赤な舌や氷水
蛇過ぎて草起き上がるなまめかし
睡蓮や聞き覚えある水の私語
夏蝶はおほむね白し汚れやすし
身のなかの一隅昏らし曼珠沙華
火の色の石あれば来て男坐す
身を容れて夕ぐれながき合歓の歓
消えやすき少年少女影踏み合ふ
現つなの少女ただ居て怖ろしき
屋根裏に昨日のわれと密会す
あはれ幼き花の下なる物狂い
衣擦れのあと寂として春の雪
桃の宿ひとり遊びの影踊り
うしろ手に閉めし障子の内と外
星ばかり見ないで蓮が開くから
わが影に来て影添ふや岩清水