〇わが天に蝶昇りつめ消え去りし
昇天した人への惜別だろうか。遠き天への憧れだろうか。天に蝶が舞い昇って消える心象いかに。
〇灯を消せば我が体のみ秋の闇
明かりを消して、一人で床に横たわるとき、感じるのは、孤独と人の世の無明だろうか。
〇クリスマス馬小屋ありて馬が住む
一見、当たり前のことを詠んでいるが、聖母子のことを語らずに語り、馬の眼で聖夜を見ている。
〇モナリザに仮死いつまでもこがね虫
モナリザの絵にこがね虫が止まって、安らいで我を忘れて眠っている。異性の懐に安らぐ至福。
〇吹雪を行くこのため生まれ来しごとく
なぜこんな吹雪の中、自分は歩いているのか。これは何かの巡り合わせだろう。この一歩が私だ。
〇握りめし食う枯枝に帽子掛け
何気ない昼食風景だが、寒い中、一人食事を楽しむ自分がいる。しばし仕事の手を休めて。
〇クローバに青年ならぬ寝型残す
クローバーの野原に、青年らしからぬ寝型を残す。否、異性が寝型を残したのか。
〇群衆のためよろよろと花火昇る
キリスト教に入信した三鬼にとって、群衆のために敢えて尽力するイエスの姿を花火に見た句。
〇わが天使なりやおののく寒雀
寺山の、わが天使なるやもしれぬ小雀を撃ちて硝煙嗅ぎつつ帰る、の元歌。無垢に対し、挑発。
昇天した人への惜別だろうか。遠き天への憧れだろうか。天に蝶が舞い昇って消える心象いかに。
〇灯を消せば我が体のみ秋の闇
明かりを消して、一人で床に横たわるとき、感じるのは、孤独と人の世の無明だろうか。
〇クリスマス馬小屋ありて馬が住む
一見、当たり前のことを詠んでいるが、聖母子のことを語らずに語り、馬の眼で聖夜を見ている。
〇モナリザに仮死いつまでもこがね虫
モナリザの絵にこがね虫が止まって、安らいで我を忘れて眠っている。異性の懐に安らぐ至福。
〇吹雪を行くこのため生まれ来しごとく
なぜこんな吹雪の中、自分は歩いているのか。これは何かの巡り合わせだろう。この一歩が私だ。
〇握りめし食う枯枝に帽子掛け
何気ない昼食風景だが、寒い中、一人食事を楽しむ自分がいる。しばし仕事の手を休めて。
〇クローバに青年ならぬ寝型残す
クローバーの野原に、青年らしからぬ寝型を残す。否、異性が寝型を残したのか。
〇群衆のためよろよろと花火昇る
キリスト教に入信した三鬼にとって、群衆のために敢えて尽力するイエスの姿を花火に見た句。
〇わが天使なりやおののく寒雀
寺山の、わが天使なるやもしれぬ小雀を撃ちて硝煙嗅ぎつつ帰る、の元歌。無垢に対し、挑発。