青い空とわたし

青い空の日  白い雲の帆船をみていると

どこかへ どこまでも Harmonyと

走っていきたくなります

「空也上人がいた」のに

2011年07月15日 18時49分24秒 | 文芸・アート
まだ、夏季休暇中ですが、こう暑くてはおいそれと動けません。
じっとしているしかない、となると読書です。

京都旅行中に、読もうと思っていた本があります。しかし、他の旅行資料とともに持ってくるのを忘れて読めませんでした。
それは、山田太一著「空也上人がいた」。NHKのブックレビューで紹介されて興味を持った本でした。




宗教本ではなくて、現代小説です。27才のヘルパー青年、81才の男性介護老人、47才の独身女性ケアマネが主人公。(読書ブログでないので、あらすじ割愛)

10世紀の京都で、疫病の大流行で多数の人が死に、六波羅の辺りでは捨てられた死体が散乱していた。それをみて空也上人は貧しい衣で、すりきれた草履で、誰彼へだてなく葬ってまわったといわれています。
その姿が、歴史の教科書に出てきた、この木像ですね。上人が南無阿弥陀仏と念仏を唱えると、六つの仏になって口から出てきた様を表しているそうです。

山田太一は、空也上人に孤独な現代人の心の同行者として救いの可能性を見ようとしています。

ちょっと、重い小説ですが、読むと空也上人の木像を見てみたくなるはずです。しゃがんで像を見上げると、目が光るところが印象的に描かれています。

像のあるのは、六波羅蜜寺。調べてみると、八坂神社、清水寺のすぐ近くのお寺ですから、この小説を読んでいれば、見に行っていたのにと思うと残念です。

しかし、これで次に京都を再訪するさいの大きな楽しみができました。