ネット選挙解禁 「違法」の境目をわかりやすく(読売新聞) - goo ニュース
何ができ、何ができないのか。選挙の公正さを確保するため、線引きを明示し、制度の周知徹底を急ぐ必要がある。
あす4日公示の参院選からインターネットを利用した選挙運動が解禁される。有権者、特に若者の選挙に対する関心が高まることを期待したい。
政党や候補者は、選挙期間中、ネット上に自らの主張をはじめ、演説会の日程、街頭演説の動画、写真などを掲載できる。情報の発信力が大幅に強化されよう。
有権者側も、各党、各候補者のホームページ(HP)を通じて、政策を比較できる。
ツイッター、フェイスブック、LINE(ライン)などソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)も利用可能だ。双方向のやりとりが容易になるなど利点は大きい。
参院選に備え、与野党は4月末、ネット利用のガイドライン(指針)を策定し、違法に当たる行動や表現の具体例を示した。
例えば、選挙運動用のHPにある選挙ビラや政策集などを印刷するのは問題ないが、それを第三者に渡せば違法だ。公職選挙法は、配布できる選挙運動用の印刷物を厳しく制限しているからだ。
電子メールについては、政党・候補者と有権者が使える内容が異なる。一般有権者は、メールによる投票依頼や、選挙運動用のメールの転送はできない。公選法違反で禁錮や罰金が科され、公民権が停止される場合もある。
メールは候補者本人を装う「なりすまし」などに悪用されやすいため、慎重を期す必要があろう。その趣旨は理解できる。
だが、有権者にとってはわかりにくい点が少なくない。公選法の改正について、政府による情報提供は不十分ではないか。総務省や各地の選挙管理委員会は、混乱が生じないよう、制度の啓発活動に力を入れるべきである。
特定候補の落選を狙った誹謗(ひぼう)・中傷や「なりすまし」など悪質な行為の対策も大きな課題だ。
警察庁は取り締まり体制を強化した。プロバイダー(接続業者)各社、及び各政党も監視を強めねばなるまい。
(以下略)