大きなトラックターミナルが在ります。界隈は海抜ゼロメートル地帯なので、埋め立てて造った施設だと思います。
その出入り口に草地が在ります。その向こうは運河でしたが、近年埋め立てられました。
草地だけが中途半端に残っています。そこに石碑が有ります。その存在は前々から知っていました。たぶんこの石碑が有る為に草地が残されているのだとだけ思っていました。
「皇太子殿下御誕生記念」と書かれています。それだけは知っていました。
今日は草地に入って見てみようと思いました。
まだ新しいように見えます。このような皇室の生誕とか結婚とか即位とかの石碑は東京でも時々遭遇するのですが、こんな運河跡のトラックターミナルに有るのが不思議でした。誰も見ないだろうに・・・?今上天皇の誕生を、ここを使っている運送会社有志が祝したものだろうか?
脇を覗き込みました。えっ⁈「昭和9年10月」とあります。これって、、現上皇の誕生記念ではありませんか!こんな草むらに・・・?その下に書かれた文字に2度めの驚きです。「南砂町海面町会」と書かれていました!!
今そんな町名はありません。今この界隈は「新砂」です。「新しい砂町」です。前述したように、ここは運河が流れていた海抜ゼロメートル地帯です。ここに町が在ったのです!「海面町」などと、いかにもそれらしい名前の町が・・・。
ここに人が住んで、町を造って、現上皇の誕生を祝ったのです。・・・たぶん町の中心地だったと思います。盆踊りが行われていた広場だったかも知れません。歴史からも埋もれようとする町の痕跡です。それを残そうとした人が居たのです。しみじみと見つめました。