A&K の NOTES

あちこちスケッチ行脚 。映画館で映画を見ることが楽しみ。いつか何処かでお会いしましょう。

ボクらのミライへ逆回転

2017-07-15 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ボクらのミライへ逆回転
監督:ミシェル・ゴンドリ

監督はミシェル・ゴンドリ。ピリッと知的な風刺が効いていて、ビビットに響いてくる。CMをたくさん手がけているということで、話の展開はテンポ良く小気味良い。大掛かりな装置はないが、超アナログ感覚で愉しく迫ってくる。今時、VHSだけのビデオショップってないだろう?

ジャック・ブラックの奇抜な行動が少しウザイ感覚だけど、相棒のモス・デフのシャイな演技がうまくコラボしてちょっとした漫才気分。

登場人物はみな笑顔が美しく可愛い。悪あがきする物はいない、皆心清らかな人たちばかり。魔法のようなお話を喜劇風に、そして最後は少しウルウル感を込めて締めくくってくれた。そしていつしかこの映画世界にすっかり入り込んでいる自分に気づく。ラストの曲も軽やかで旅立ち気分。

過去の名作をリメイクするということで、選ばれた作品は「ゴーストバスターズ」「ロボコック」「2001年宇宙の旅」など。幸いにも劇場で観た作品ばかりだけに、面白さが倍増する。しかも繋がりのないハチャメチャな感覚が自由で伸びやかで開放的気分にさせてくれた。

 

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言えない秘密

2017-07-14 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★言えない秘密
原題:不能説的・秘密
監督:ジェイ・チョウ
キャスト:ジェイ・チョウ、グイ・ルンメイ、アンソニー・ウォン
2007/台湾


原作題名は「不能説的・秘密」。これを、「言えない秘密」と邦名にした。しばらく考え「秘密って、言えないから秘密であって、、、、、、」と考え込んだ。原作題名の方が意味が解りやすく、漢字文化の世界に住む僕らにはちょうどいいイメージだと思うのだが。物語はほんとに説明できないくらい不思議で都合のいい物語なのである。でも、しんみり心に響き、自分の中のピュアーなものを見つめ直す。

台湾の人気アーチスト、ジェイ・チョウさんが一人で監督、主演、脚本、音楽とスーパー天才ぶりを見せてくれる。ピアノ音楽が透き通るような響きで切ないメロディ。過剰にならない適度な甘さが心地よい。そのピアノをジェイ、チョウさんが自分で弾いているところが、さすが本物!

前半のハイライトは楽譜をめぐるピアノ演奏バトル。手技と音楽の切れと映像のスピードの見せ場である。この感覚世界は音楽アーチストならではもの。息を飲む瞬間であり、映画にグイと引き込まれる瞬間。あとは天才ピアニストのイメージが物語を進行してくれる。

グイ・ルンメイさんの笑顔がこれまた可愛いとしかいいようがない。うっとりと青春ラブストーリーに酔いしれていると、後半からは突然、ホラーっぽくなり、机に文字が浮かぶところなど、「えっ」と思わせ、謎かけしながらラストに向けて無理やり時間を押し曲げた感じ。

時を駆け抜けることの面白さと切なさを感じてしまった。ボクらは時間を取り戻せない、もどれない。映画の物語のようにはいかない。どうしようもない無情。

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映画館の恋

2017-07-14 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★映画館の恋

「劇場前」というのが、本来のタイトル。
「映画館の恋」から想像すれば、コリアン映画の清楚なラブストーリィかなと思ってしまいがちです。観客の中にはそんな感覚で見に来たと思われる年配の女性の方々が多い。雰囲気はその線ですが、内容が違います。期待するエンターティメント性はなく、こういうのってアート系と言うそうですが、見終えた後、妙な砂を噛んだような感覚がしました。何故でしょうか。

登場人物たち皆々が、どこかに屈折感を持って生きている連中で、その負の部分が少し絡みすぎ、時にはリアルで、見ていてモヤモヤ感を感じるんです。でもこれが、この国の生感情をラブストーリィで表現したものかなと妙に理解する。

単発的にしか見ていないので、
時々、こんな映画に出くわすと、
ちょっとオーバーですが、
アジアを考えてしまう。

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サイボーグでも大丈夫

2017-07-14 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★サイボーグでも大丈夫

精神病院の中、何かの原因でおかしくなった人たちの可笑しくて、不気味で、可愛い物語。はじめは普通でない感覚についていけなくて、脳がぎしぎしきしむ。患者たちの内面を幻想的にシュール的に表現。病院内の色彩もパステルカラーで統一され映像が美しく童話の世界のようでもある。あまりにも発想が奇想天外であり美しすぎる。これはやはり鬼才と言うべきか。

物語の進行につれ、自分自身もすこしづつ癒されていくことに気がつく。そしてラストシーンで何かが抜けていく。

でもやっぱり、見終えて、
妙なモノを見たなと微妙な思いが残る。
こりゃ、変だよ。
虚構の世界が創りだされて、
そこにマジで生きている。

 

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夜の上海

2017-07-13 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★夜の上海
監督:チャン・イーバイ
キャスト:本木雅弘、ヴィッキー・チャオ、他
2007/日本・中国合作映画

日中それぞれが《互恵関係の発展》とうたい、
良好な関係姓を探っていた頃の作品。

夜の上海が輝いている。
監督は「アバウトラブ」のチャン・イーバイさん。
ちょっとブスっぽく、ちょっとおてんばっぽく、でもものすごく素直でかわいっぽい女の子をヴィッキー・チャオさんが魅力たっぷりに表現している。
女の子のかわいさ、ドキドキ感たっぷり。
目が大きく口が大きく、表情豊かで、知性的。どんな役でもこなせそうだ。
この子は大成するね。「少林サッカー」見ておくんだった。DVD借りてこよう。
本木雅弘さんのシャイな演技とかわいいヴィッキー・チャオさんに夜のネオン輝く上海。
現実の上海の街とは違うけど映画がものすごく御洒落になった。
他の日本人俳優の存在が野暮ったく見えるのは残念。
中国人俳優はお見事に輝いている。
中国人スタッフの多い日中合作映画。

「私を愛していますか」と中国女優に言わせて終わるシーンがこの映画最大の魅せ場。
日中関係の友好的雰囲気を演出している。
「コミニュケーション」をテーマにしている。

国と国との関係は
時の権力者の考え方一つで色々変わる。



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扉をたたく人

2017-07-12 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★扉をたたく人
監督:トム・マッカーシー
出演者:リチャード・ジェンキンス、他
2008/アメリカ

ジャンベのリズムと主演リチャード・ジェンキンスの巧みな演技にざっくり魅せられてしまいました。さすがアメリカだなぁと思わず妙に感心するのは、異人種異民族の人間の偶然の出会いが簡単にセットできるということです。びっくりするような人間ドラマが起きるという多彩な日常性です。

問題提起は移民問題か難民問題かはよく解りませんが、本来的には人間の生きる空間にはボーダーはないはず。国家という権力の枠組みを作ったその時からボーダーは生まれ、人はその境界と共に生きる不自由さを背負うことになります。

映画はその不条理なボーダーに翻弄された若者を巡る話が、いつのまにか、若者の母親と老大学教授の男と女の物語へと変化してして行く、その物語展開の巧みさが凄いです。それはリチャード・ジェンキンスとヒアム・アッバスの見事な演技力のなせる技でしょう。

ヒアム・アッバスは、この映画と同じ境界という不条理なボーダーについて問題提起した映画「シリアの花嫁」でも、強靭で透徹したような美しい眼差しを持った女性を演じていました。とても魅力的でイメージが強烈にかぶります。

彼女が自分の息子のガールフレンドを初めて観た時に発した言葉が、確か「SO BLACK」だったと思います。ちょっとびっくりしたような渋い表情でしたが、すぐに彼女を受け入れる柔和な母親の顔になります。「オペラ座の怪人」を見に行った夜は、一人の魅力的な女性に変身していました。

クラッシックは4拍子が基本、アフリカ音楽は3拍子のリズム。ジャンベはROCK やJAZZなどの自由な演奏形態でも使われる事が多く、人の心を強烈にたたくリズムです。地下鉄ホームで一人激しくたたくラストシーンでは「孤独」、「叫び」、「抗議」とも感じましたが「未来」も感じました。その後の彼は如何に行動するのでしょうか。

 

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長刀鉾の鉾立ー祇園祭ー

2017-07-11 | 散策

今年も鉾立が始まった。

鉾立を見ると
祇園祭気分が一気に盛り上がる。

梅雨の合間の青い空。
気分は上々です。

 

釘を一本も使わず、縄だけで鉾を頑丈に組み立てます。
「縄がらみ」という技法
これなら大丈夫。
まるで《魔除け》の《厄祓》のようです。

12,13日は曳き初めです。

 

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夢遊ハワイ

2017-07-10 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★夢遊ハワイ
監督:シュー・フーチュン
出演:トニー・ヤン、ホァン・ホンセン、チャン・チュンニン、ホァン・タイアン
2004/台湾

ゆっくりと流れる時間の中で、どこか懐かしい気持ちにさせてくれる台湾映画である。この作品の全編に漂うのはゆるやかな心地よいリラックス感だ。私が持つ台湾へのイメージを心地よく表現してくれている。

徴兵制という厳しい現実社会にあって、若者が抱える混沌とした未来に対するほろ苦い不安を、さりげなく自然にありのままに、さわやかな海風とともに映し出されている。
現実を見つめる眼差しがやさしい。

若手俳優の生き生きした自然な表情を引き出すことに成功したのはシュー・フーチェン監督。
監督デビュー作品ということ。台湾映画の醸し出しているノスタルジーな部分と柔らかい眼差しをうまく引き継いでいるのかなと思った。

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シャーロック・ホームズ  シャドウゲーム

2017-07-09 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★シャーロック・ホームズ シャドウゲーム
原題:Sherlock Holmes: A Game of Shadows
キャラクター創造:アーサー・コナン・ドイル
監督:ガイ・リッチー
音楽:ハンス・ジマー
キャスト:ロバート・ダウニー・Jr.、ジュード・ロウ、ノオミ・ラパス、ジャレッド・ハリス、レイチェル・マクアダムス、スティーブン・フライ、他
2011/アメリカ・イギリス

映画の冒頭はフランスのストラスブールでの爆破事件。フランスとドイツが常に領有を争ってきた地域での事件ということで、これは国際問題に発展。

コナン・ドイルのキャラクターを使っているが、全くの別人格である。この作品のホームズは、《口と脳が同時進行》しているかのようにとにかくよく喋る。ワトソンとの掛け合いはほとんど漫才のようである。そのうえ、とにかく強い。前作(シャーロック・ホームズ )では、ヌンチャク使いのような振付アクションにびっくりしたが、今回もアクションスター顔負けの身のこなしである。そして今回は、イギリスばかりか、ドーバー越えて、フランス、スイスでも大活躍。ジェームス・ボンドのような国際的活躍である。それは、原作の世界を越えて、《007》と《ブルース・リー》と《アニメのコナン》を融合したような人物である。これは呆れるくらい凄い。ロバート・ダウニーが演じる。

ジュード・ロウ演じるワトソンも凄い。こちらは女性に大人気だから、劇場は《女性がいっぱい》。そのワトソンも相当のアクションタイプとして描かれており、キャラがホームズとかなりかぶっている。これではちょっと顔立ちの違う双子の兄弟みたいではないか。違いが際立ち互いに補う人間関係だからこそこの物語シリーズ世界の妙味があるというもの。映画のちょっと平板な世界観が物足りない所。まぁいいか、これは《アクションが売り物》の映画ですから。

そのアクションは愉しいですよ。
なんだかよくわからないが、列車の中での銃撃戦にまず堪能。そしてフランスに渡って、《森の中の銃撃戦》には、《おおっー、》と唸るくらいの興奮度。本来なら見えない《銃の玉筋》をスローモーションでたっぷり魅せてくれる。これは刺激的です。

新キャラとして、《ドラゴン・タトゥーの女》のノオミ・ラパスが演じるジプシー女が登場。特に際立つオーラを発しているわけではないが、彼女の表情は面白い。表舞台に立てない人たちを登場させることにより、《影と影の戦い》を演出しながら、19世紀末の不安な時代を表現し、世界観を少し広げる。

ホームズの永遠のライバル、モリアーティ教授の登場は、原作ファンを大いに喜ばせてくれる。彼はなかなか表に出てこない《影のような難敵》である。知的なワルとしてこのシリーズでは重要なキャラなんです。

そしてラスト、壮絶な戦いの末、ホームズとモリアーティはダムに落ちることになるんですが、、、。お見事ホームズは無事生還します。謎解きは、次回作でということでしょうか。

 

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シャーロック・ホームズ

2017-07-09 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★シャーロック・ホームズ
英題:SHERLOCK HOLMES
監督:ガイ・リッチー
音楽:ハンス・ジマー
キャスト:ロバート・ダウニー・Jr、ジュード・ロウ
2009/イギリス

19世紀末感漂う猥雑なロンドンを舞台に、
ご存知ホームズとワトソンの探偵物語。
ホームズはボンドとブルース・リーをたして2で割ったようなアクションスターである。
ホームズらしくないホームズだけど
、結構スカッとするから、
映画はこれでよし。

興味を持ったのは、ロンドンの街の賑わい風景である。
時代考証はどれだけ練られたものかわからないが、
ロンドンの下町の活気は特異なものだった。
どうみても無国籍風である。
ホームズがヌンチャクを使うかよ。
エンディングの音楽はいい!
 これまた無国籍風。
(音楽はハンス・ジマー)

 

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インクレディブル・ハルク

2017-07-09 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★インクレディブル・ハルク
監督:ルイ・レテリエ
キャスト:エドワード・ノートン、リヴ・タイラー、ティム・ロス、ウィリアム・ハート、他
2008/アメリカ

エドワード・ノートンといえば、「幻影師アイゼンハイム」を思い出す。彼には、苦悩とそれを乗り越えようとする知性が交差した複雑な表情がよく似合う。彼の演技に好印象を持っていたのと、「ハルク」の物語ということで、多少の興味も沸き、劇場へ。

感情が激しく心拍数が200を越えるとハルクに変身してしまい、自分自身でその力をコントロールできなくなり、すべてを破壊し尽くしてしまう。ヒロインにベットで「これもできないのね」と嘆きの言葉を言われてしまう辛さ。きわどいところでいかに変身を防ぐか、その涙ぐましい苦悩の表情をノートンはさすがだなと思わせる演技で魅せてくれる。ラブストーリィとしてみれば、単純だけどその姿は美しくなかなか泣かせてくれる。好感度はさらにアップである。

前ぶれなく場面が変わる乱暴な物語の進行具合にはちょっとまいった。リオでの家々の屋根を走り抜く逃走シーンは見応えがあったが、どこかで観たことのあるシーン。変身したハルクの動きはどこかキングコングのようだったし、時にスパイダーマンのようでもあったし。となどなど不自然さを指摘したくなる映画だが、細かいことは気にせず抜群の破壊力を見せつけるのがアメリカ映画である。とにかくハルクのパワー爆発だった。

逃亡生活をするブラジルの街(リオでしょうか?)の猥雑な街並がとても美しく感じた。

 

 

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ペルシャ猫を誰も知らない

2017-07-07 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★ペルシャ猫を誰も知らない
監督:バフマン・ゴバディ
2009/イラン

問題ない、大丈夫だー。
全然大丈夫じゃなかったじゃないか。
こういう映画をみていると、ほんとに涙が出てくる。
がんばれよ、若者たち。

よくこの撮影ができたよね、大丈夫?
久しぶりに感激!
妙に元気が出た。

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迷子の警察音楽隊

2017-07-07 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★迷子の警察音楽隊
監督:エラン・コリリン
2007/イスラエル

予告編で見ていると、どこかコメディで軽いお笑い的ムービーかと思いきや、
かなりディープな、一夜の大人の物語である。

アレキサンドリアの音楽隊がイスラエルにやってくるという物語のはじまり。音楽が持つ不思議な魂の高揚感が、小さな街の荒んだ人の心に灯りを灯す。ちょっとほのぼの。風刺にもとれるような場面もあるけれど、これはりっぱな男と女の怪しくて美しくて哀しい物語。

アラブの唄は情熱的で哲学的である。ラストの唄が心に強く響く。隊長さんは何故あの女といかなかったのだろうか。若い男に間男みたいにされてどこか情けなさそう。うーむ。でもあれでいいのでしょうか。悩みどころ。 ダメ男ばかり登場ですが、物語としては妙に滲みます。

 

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ロスト・イン・トランスレーション

2017-07-06 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ロスト・イン・トランスレーション
原題:LOST IN TRANSLATION
監督:ソフィア・コッポラ
キャスト:ビル・マーレイ/スカーレット・ヨハンソン
2003/アメリカ

東京で撮影された作品である。ソフィア・コッポラの傑作プラトニックラブストーリィといっていい。人物の表情は繊細に描きながらも、物語の展開は何もないフラットなもの。面白くもなんともない異邦人の退屈な東京滞在物語だが、映画の魅力は、女性監督コッポラの東京を描く視点である。東京の雑踏を浮遊感漂う、空虚感溢れる街として描き、無国籍風アジアの街、未知の街「tokyo」として魅せてくれた。

夜の風景、ネオンの輝き、暗闇、無音の時間を巧みに取り入れ、不思議とどこか懐かしく、優しい空気が漂う。アジアの空気である。ボクらが慣れ親しんでいる日本文化スタイルも、彼ら異邦人からすれば、映画で描かれるようなある意味滑稽なものかもしれない。登場する日本人たちのふりまく「笑顔」は、不思議な動物の表情を見ているような気がしたくらいである。

ビル・マーレイのどこか飄々とした孤独な表情、スカーレット・ヨハンソンの憂いを持った瞳と何か言いたげな厚ぼったい唇。この二人の極めて微妙な関係に迫りながらも、フラットでプラトニックな物語にして、迷宮世界に迷い込んだような至福感を抱かせてくれる。

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幻影師アイゼンハイム

2017-07-04 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★幻影師アイゼンハイム

光と影を繊細に妖艶に操り、19世紀末の世界都市ウイーンの雰囲気を充分に出していた。「自由」への道を歩みつつある時代を背景にしたラブストリーサスペンス。濃い陰影と揺らめく炎の光が印象的映像だった。

「幻影師」なんて、何処か古めかしく謎めいているが、この「世紀末ウイーン」だからこそ、イメージできる言葉である。当時、このイルージョンは人気があったらしい。物語では、そのカラクリを説明している部分があるが、映画ではCGを多用し、我々観客を迷宮の世界に導いてくれる。音楽も非常に幻惑的で、僕には心地よかった。

イルージョンやマジックというのは大好きで、Mr.マリックさんのイルージョンショウは数回見に行った。そして一緒にスプーン曲げもやった。そのスプーンは今も大切な宝物。あの興奮はテレビでは味わえない、生の刺激である。たぶん、当時の「幻影師」のショウは、僕らが想像する以上に刺激的なものだったに違いない。

「陰陽師」みたいな占い師?と、半信半疑で見に行ったが、期待以上の面白さと美しさ!僕には最後の最後は予測不可能である。全て騙された。

はじめから、全ては罠だったのか?
アイゼンハイムのイルージョンなのか?
ラストの部分は、警部の想像にすぎないのか?
我々観客をも引き込む映画イルージョンなのか?
警部のとても晴れやかな表情と輝く瞳を見ていたら、
見ている僕も晴れやかで心が広がる感じ。
ラストがいいと、全てが良くなる!。

 

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