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●『銀の匙』・灘校の伝説授業から 講座レポート 【芦屋】

2011年12月03日 16時44分21秒 | 芦屋教室
こんにちは。芦屋のYです

11月12日(土)に芦屋教室で行われた、
橋本武先生の講演の様子をお伝えします。



『銀の匙』・灘校の伝説授業から ~ スロウリーディングに学ぶ“気づき”の心

灘校教師時代、中学3年間かけて中勘助の『銀の匙』を読み解くという
一風変わった授業を行われ、現役を離れられて30年以上たった今、
そのスロウリーディングの授業が注目されています。

まずは、『銀の匙』を国語の教科書として選んだいきさつからお話は始まりました。

苦学生時代、仲間と競って読んだ小説の中の1冊が『銀の匙』であったこと。
灘校に新米教師として赴任し、自由な授業を任せてもらったこと。
戦中・戦後、墨で塗りつぶした教科書に代わる国語の教科書を探したこと。
『銀の匙』が夏目漱石の推薦する“美しい日本語”が用いられた小説であったこと。
(生徒と同じ年頃の)主人公の成長記であったこと。



いろいろな要素が一致して、『銀の匙』の授業はスタートしたそうです。
そして、橋本先生が意識したのは、「記憶(心)に残る授業にする」ということ。
『銀の匙』の主人公とともに、凧揚げをし、百人一首をし、駄菓子を食べ…
そんな追体験をし、“季節”や“言葉”を感じるとともに、“気づき”の心を養います。

指導要綱などない、教科書『銀の匙』の資料づくりは、毎晩深夜まで及んだそうです。
※当時の研究ノートの復刻版を先生がお持ちくださり、皆さまに会場でご覧いただきました。
各章ごとに「語句の意味」「注意すべき語句」「短文練習」「鑑賞」などの設問があり、
「参考」としてその章に出てきた風物の丁寧な説明もあります。
(例:能楽「天鼓」、様々な「節句」、毬遊びなど「日本の遊戯」)

パソコンやコピー機などない時代、毎晩ガリ版用に手書きし、人数分刷る作業は
大変だったと思います。
先生の熱意が伺える貴重な資料を拝見できて、皆さんも喜ばれていました。

途中、授業さながらの「遊ぶ」「学ぶ」から発展した「ぶ動詞」探しなどもありました。

実は今回の講座が決まり、私がご自宅にご挨拶に伺った際も、当時の思い出話が
いつの間にか“国語の授業”になっていたということがありました。
今も当時と変わらない、熱い思いに感服しました。

時折ウィットにとんだ言い回しで笑いを誘いながら、最後は辞世の句で締めくくられました。
今年99歳の橋本先生。120歳の大還暦の事も視野に入れられていらっしゃいます。

その時に、またお目にかかれる事を楽しみにしています。


 質疑応答ではこんなやりとりがありました 

受講生  Q.今の子どもにとって大切なことは何だと思いますか?
橋本先生 A.「思いやり」です

受講生  Q.教師にとって大切なことは何だと思いますか?
橋本先生 A.(頭を抱えるオーバーアクションを取られたあと)
       「教師であるという自覚を持つこと」だと思います。

終了後の書籍サイン会では80名近い方にサインをしてくださいました。




以下は、皆さんからいただいたアンケートから(抜粋)。

 ・99歳にして1時間半をしっかり話し切る力はまさに国語力だと痛感しました。
  学ぶということが生きることだと改めて認識した時間でした。

 ・お年をとられても、とても前向きに「生」をとらえ、向き合っておられること、
  素晴らしく見習わせていただきたいなと思いました。私も先生のような恩師に
  めぐり会えていたら、そして、それをしっかり受け止める感性を持っていたら、
  もっと「学ぶ」ことに親しみを持てていたのかな、と口惜しい思いがします。
  今日のこの講座を機に、先生を心の恩師として勝手に思わせていただいて、
  大還暦までの生き方を一度考えてみたいと思います。

 ・「遊ぶ」と「学ぶ」が共通していること、そこから人間の大切な学びがあること
  がわかりました。ありがとうございました。

 ・私も国語の教師をしていますので、「国語力=生きる力」がよくわかりました。
  ありがとうございました。

 ・「学ぶ」とは興味を持ちながら……という言葉に魅かれました。大人になっても
  同じだと思います。面白いことは長続きします。40代の主婦で中1の息子の
  国語の勉強の仕方など頭の痛い問題を抱えていましたが、今日は私自身の勉強の
  仕方を学ばせていただいたように思います。是非また聴講したいです。
  ありがとうございました。

 ・私も教師です。これからは「自覚を持って」仕事をしてゆきたいと思います。
  非常に得るところの大きい講座でした。


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橋本先生、ご受講いただいた皆さまに、心よりお礼申し上げます。
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