「短歌」って素晴らしい。 芦屋教室から新企画です。
本日ブログに新しい企画が誕生しました!
芦屋教室から毎月発信いたします。
それは、ある短歌ビギナーのこんな思いがきっかけでした。
――「短歌」っていいな~。
それは分かっているけれど、何から(誰から?)読んでいいのか分からない。――
そこで歌人の松村正直先生にご協力いただき、
万葉集や和歌の時代から~平成の短歌まで
ありとあらゆる歌の中から、
毎月3首、紹介してもらおう。
というお願い企画です。
すでに短歌に造詣が深い方から
私のような短歌ビギナーさんまで
毎月、それぞれに楽しんでいただきたいと思います。
回を重ねるにつれて、
いつの間にか、
知っている歌が増え、知っている歌人が増えている。
お気に入りの歌が増え、お気に入りの歌人が増えている。
そんな風になったらいいな。と思います。
それでは、「ブログde秀歌鑑賞」第1回目のスタートです。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
たつぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江と言へり
河野裕子(かわの・ゆうこ) 『桜森』(さくらもり)
近江(滋賀県)を詠んだ歌で、「昏き」は「くらき」と読みます。
地図で滋賀県を見てみると、その中央に琵琶湖があります。
面積で言うと6分の1程度だそうですが、もっと大きく見えますね。
この歌は、近江という国は琵琶湖という真水を抱いた器のようだと言うのです。
古い歴史や人々の営みを丸ごと受け入れるような深くて大きな器。それは女性の身体とも重ね合わせてイメージされているのでしょう。
作者の河野裕子(1946~2010)は滋賀県で育ち、昨年惜しまれつつ亡くなった歌人です。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
べくべからべくべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊
永井陽子(ながい・ようこ) 『樟の木のうた』(くすのきのうた)
上句の言葉の連なりにどこか聞き覚えはないでしょうか?
これは高校生の頃、古文の授業で習う文語助動詞「べし」の活用です。
「べく、べから/べく、べかり/べし/べき/べけれ・・・」と、昔わたしも唱えるように覚えた記憶があります。
それを鼓笛隊の演奏のオノマトペ(擬音語)として用いているのです。何ともユニークですね。
すずかけ(プラタナス)の並木道を行進してくる鼓笛隊の賑やかな演奏が聞こえてくるようです。
音楽性の豊かな作品を数多く作った永井陽子(1951~2000)の作品です。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ
穂村 弘(ほむら・ひろし) 『シンジケート』
恋人と迎えた朝の場面でしょう。彼女は体温計を口にくわえながら窓の外を見ています。そして作者に向って、少し興奮したように「ゆひら」と言うのです。
「ゆひら」って何でしょう? 作者が窓のところに来てみると、外には雪が降っています。
「雪だ」と言おうとした口の動きが、体温計をくわえているために「ゆひら」と聞こえたのでした。
寒い朝の温かな部屋にいる二人の幸せな時間が伝わってきます。エッセイの名手としても知られる穂村弘(1962~)の初期作品です。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
松村正直先生の「短歌」講座はこちら!
■「短歌実作」講座(第3金曜、A午前/B午後)
奇数月のご担当は池本一郎先生、
偶数月のご担当は松村正直先生
■「はじめてよむ短歌」講座 (第1金曜、午前)
2011年4月開講。
随時、お入りいただけます。
本日ブログに新しい企画が誕生しました!
芦屋教室から毎月発信いたします。
それは、ある短歌ビギナーのこんな思いがきっかけでした。
――「短歌」っていいな~。
それは分かっているけれど、何から(誰から?)読んでいいのか分からない。――
そこで歌人の松村正直先生にご協力いただき、
万葉集や和歌の時代から~平成の短歌まで
ありとあらゆる歌の中から、
毎月3首、紹介してもらおう。
というお願い企画です。
すでに短歌に造詣が深い方から
私のような短歌ビギナーさんまで
毎月、それぞれに楽しんでいただきたいと思います。
回を重ねるにつれて、
いつの間にか、
知っている歌が増え、知っている歌人が増えている。
お気に入りの歌が増え、お気に入りの歌人が増えている。
そんな風になったらいいな。と思います。
それでは、「ブログde秀歌鑑賞」第1回目のスタートです。
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たつぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江と言へり
河野裕子(かわの・ゆうこ) 『桜森』(さくらもり)
近江(滋賀県)を詠んだ歌で、「昏き」は「くらき」と読みます。
地図で滋賀県を見てみると、その中央に琵琶湖があります。
面積で言うと6分の1程度だそうですが、もっと大きく見えますね。
この歌は、近江という国は琵琶湖という真水を抱いた器のようだと言うのです。
古い歴史や人々の営みを丸ごと受け入れるような深くて大きな器。それは女性の身体とも重ね合わせてイメージされているのでしょう。
作者の河野裕子(1946~2010)は滋賀県で育ち、昨年惜しまれつつ亡くなった歌人です。
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べくべからべくべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊
永井陽子(ながい・ようこ) 『樟の木のうた』(くすのきのうた)
上句の言葉の連なりにどこか聞き覚えはないでしょうか?
これは高校生の頃、古文の授業で習う文語助動詞「べし」の活用です。
「べく、べから/べく、べかり/べし/べき/べけれ・・・」と、昔わたしも唱えるように覚えた記憶があります。
それを鼓笛隊の演奏のオノマトペ(擬音語)として用いているのです。何ともユニークですね。
すずかけ(プラタナス)の並木道を行進してくる鼓笛隊の賑やかな演奏が聞こえてくるようです。
音楽性の豊かな作品を数多く作った永井陽子(1951~2000)の作品です。
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体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ
穂村 弘(ほむら・ひろし) 『シンジケート』
恋人と迎えた朝の場面でしょう。彼女は体温計を口にくわえながら窓の外を見ています。そして作者に向って、少し興奮したように「ゆひら」と言うのです。
「ゆひら」って何でしょう? 作者が窓のところに来てみると、外には雪が降っています。
「雪だ」と言おうとした口の動きが、体温計をくわえているために「ゆひら」と聞こえたのでした。
寒い朝の温かな部屋にいる二人の幸せな時間が伝わってきます。エッセイの名手としても知られる穂村弘(1962~)の初期作品です。
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松村正直先生の「短歌」講座はこちら!
■「短歌実作」講座(第3金曜、A午前/B午後)
奇数月のご担当は池本一郎先生、
偶数月のご担当は松村正直先生
■「はじめてよむ短歌」講座 (第1金曜、午前)
2011年4月開講。
随時、お入りいただけます。
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