その水際園に
なぜわたくしは枝垂れの雪柳を植えるか
十三歳の聖女テレジアが
水いろの上着を着羊歯の花をたくさんもって
小さな円い唇でうたひながら
そこからこっちへでてくるために
わたくしはそこに雪柳を植える
Gaillardox! Gaillardox!
(宮沢賢治「装景手記」)
あまり知られていない作品かもしれませんが、宮沢賢治の「装景手記」という作品には、小さきテレーズが登場します。作品の成立時期から、花巻温泉遊園地の南斜花壇の造園に関わりが深いとされています。昨年カトリックの方から、テレーズをイメージしたロザリオ入れとフォトフレームの依頼があったのですが、その際、賢治がテレーズに関心を抱き、作品にも登場させていることを教えて頂きました。その時に書いたラフスケッチを再び構想し直して、テレーズとユキヤナギのパネルが出来上がりました。
賢治が熱烈に日蓮宗を信仰する傍らキリスト教にも深い関心を持ち、多くのキリスト者と親交を深めていたことは知っていましたが、先ほどのカトリックの方に教えて頂いた本『テレーズを愛した人びと』(伊従信子著)を読み、賢治がテレーズに心の深い所で共感を覚えていたことを初めて知りました。また、同著には、「彼が雪柳を植えるのは「テレーズが歌いながら、そこからこっちへ出てくるために」なのであり、ここに彼の熱い望み、「テレーズと実際に出会うこと」をうかがい知ることができるのです。」とありました。そのような賢治の願いに応えて、ユキヤナギの茂みから姿を現したテレーズをイメージしてみました。作品中では「十三歳の聖女テレジア」とあり、13歳だと修道院へ入る前だと思いますが、一目でテレーズだとわかるようにシスターの服装に薔薇の花のついた十字架を持ったテレーズを描きました。ユキヤナギの花は小さいので型紙を使わず、日頃コツコツと貯めた端ガラスと自宅で焼いた黄色いナギットをフィーリングで配置してハンダで繋げていきました。制作中、花巻ではあちこちでユキヤナギの花が咲いていました。賢治さんもきっと、テレーズへの想いを込めて、こんなふうにユキヤナギを植えたのかなと想像しました。
テレーズの制作期間は丁度受難週に重なり、受難日にはハンダ付けをしていました。ちなみに。今年の受難日礼拝は新たな試みとして、十字架上の七つの言葉を黙想しながら、7本の蝋燭を1本ずつ消していきました。昔台湾の教会から頂いた、最後の晩餐のレリーフと共に…。
そして、イースター当日。花屋でユキヤナギの出回る時期は既に過ぎてしまっていましたが、教会員さんがご自宅の庭のユキヤナギを持ってきて下さり、出来上がったばかりのテレーズと一緒に飾ることができました。奇しくも今年のイースターは、テレーズがカルメル会に入会した記念日と重なりました。
(ちなみに、今年は卵の価格が高騰しているのでイースターエッグは例年より個数を減らしました)
今年は花巻も桜の開花が早く、あっという間に散ってしまいました。長い冬がようやく終わってほっとしています。Atelier Grace♰も色々な事に向けて動き出しています。どうか皆様の新年度の歩みの上にも、祝福がありますように
なぜわたくしは枝垂れの雪柳を植えるか
十三歳の聖女テレジアが
水いろの上着を着羊歯の花をたくさんもって
小さな円い唇でうたひながら
そこからこっちへでてくるために
わたくしはそこに雪柳を植える
Gaillardox! Gaillardox!
(宮沢賢治「装景手記」)
あまり知られていない作品かもしれませんが、宮沢賢治の「装景手記」という作品には、小さきテレーズが登場します。作品の成立時期から、花巻温泉遊園地の南斜花壇の造園に関わりが深いとされています。昨年カトリックの方から、テレーズをイメージしたロザリオ入れとフォトフレームの依頼があったのですが、その際、賢治がテレーズに関心を抱き、作品にも登場させていることを教えて頂きました。その時に書いたラフスケッチを再び構想し直して、テレーズとユキヤナギのパネルが出来上がりました。
賢治が熱烈に日蓮宗を信仰する傍らキリスト教にも深い関心を持ち、多くのキリスト者と親交を深めていたことは知っていましたが、先ほどのカトリックの方に教えて頂いた本『テレーズを愛した人びと』(伊従信子著)を読み、賢治がテレーズに心の深い所で共感を覚えていたことを初めて知りました。また、同著には、「彼が雪柳を植えるのは「テレーズが歌いながら、そこからこっちへ出てくるために」なのであり、ここに彼の熱い望み、「テレーズと実際に出会うこと」をうかがい知ることができるのです。」とありました。そのような賢治の願いに応えて、ユキヤナギの茂みから姿を現したテレーズをイメージしてみました。作品中では「十三歳の聖女テレジア」とあり、13歳だと修道院へ入る前だと思いますが、一目でテレーズだとわかるようにシスターの服装に薔薇の花のついた十字架を持ったテレーズを描きました。ユキヤナギの花は小さいので型紙を使わず、日頃コツコツと貯めた端ガラスと自宅で焼いた黄色いナギットをフィーリングで配置してハンダで繋げていきました。制作中、花巻ではあちこちでユキヤナギの花が咲いていました。賢治さんもきっと、テレーズへの想いを込めて、こんなふうにユキヤナギを植えたのかなと想像しました。
テレーズの制作期間は丁度受難週に重なり、受難日にはハンダ付けをしていました。ちなみに。今年の受難日礼拝は新たな試みとして、十字架上の七つの言葉を黙想しながら、7本の蝋燭を1本ずつ消していきました。昔台湾の教会から頂いた、最後の晩餐のレリーフと共に…。
そして、イースター当日。花屋でユキヤナギの出回る時期は既に過ぎてしまっていましたが、教会員さんがご自宅の庭のユキヤナギを持ってきて下さり、出来上がったばかりのテレーズと一緒に飾ることができました。奇しくも今年のイースターは、テレーズがカルメル会に入会した記念日と重なりました。
(ちなみに、今年は卵の価格が高騰しているのでイースターエッグは例年より個数を減らしました)
今年は花巻も桜の開花が早く、あっという間に散ってしまいました。長い冬がようやく終わってほっとしています。Atelier Grace♰も色々な事に向けて動き出しています。どうか皆様の新年度の歩みの上にも、祝福がありますように