Vers la lumière 光ある方へ・・・

AtelierGrace発、ステンドグラスと教会のブログ。

豊橋・幼稚園のステンドグラス

2021-04-04 18:58:49 | パネル
全て終わったら書こうと思ってずっとブログには書いていませんでしたが、昨年6月より豊橋市のキリスト教幼稚園からステンドグラスの依頼を受け、制作をしていました。60×60cmのパネルが4枚、モチーフは「鳩と虹」「ぶどう」「野の花」「迷子の羊」とのことで、12月上旬には4枚とも完成して1月中旬に取り付け予定だったのですが、愛知県にも緊急事態宣言が出たために3月に延期になっていました。

今回の記事では、それぞれのパネルにどんな思いを込めて制作したかを書きたいと思います。



「鳩は夕方になってノアのもとに帰って来た。見よ、鳩はくちばしにオリーブの葉をくわえていた。ノアは水が地上からひいたことを知った。」創世記8:11

「すなわち、わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。」9:13

旧約聖書の「創世記」に、有名なノアの洪水の話が出てきます。洪水が引いた時ノアが舟から鳩を放したら、オリーブの葉をくわえて戻ってきたのを見て、人々は洪水が終わったことを知りました。また、この後神様は、もう二度と洪水によって地を滅ぼすことはしないと言われ、契約のしるしとして、雲の中に虹を置かれました。そのため、鳩と虹はどちらも平和のシンボルとして、教会でよく用いられています。このパネルでは鳩の部分のみ絵付けをして、くちばしの部分に別に作ったオリーブの葉をハンダでくっつけています。また、鳩の足も捩じった銅線で作り、後付けしています

 

「わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。人がわたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ。」ヨハネによる福音書15:5

ぶどうはイスラエルの人々にとってとても身近な果実だったようで、聖書に沢山の記述が出てきます。教会においても非常によく用いられるモチーフで、私も何度も作っています。イエス様ご自身が仰った「わたしにつながっていなさい。わたしもあなたがたにつながっている。」というメッセージが子どもたちに伝わればと願って作りました。また、今回依頼されたモチーフに「十字架」はなかったのですが、背景の分割の仕方を工夫し、ガラスの種類を変えることによって、ぶどうの背後に十字架が浮かび上がるようにしてみました(実は使おうと思っていたガラスが若干足りなかったんですがそれを逆手に取り、十字架の部分を違うガラスにしたらそれが予想以上の効果を生んだという)。また、ぶどうの蔓は真鍮で後付けしてあります。ちなみに取り付け工事の際「真ん中の大きいぶどうがイエス様で、両隣の小さいのが二人の強盗?」と聞かれましたが、実はそこまでは考えていなかった…確かに、言われてみればそんな見方もできますね。

 

「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」マタイによる福音書6:28-30

「野の花」ことで依頼されたのですが、聖書で「野の花」というと「アネモネ」を指すという説があります。まだ行ったことはないのですが、イエス様が野の花の例え話をされたガリラヤの丘をイメージしました。アネモネは季節柄実物が手に入らず、写真を頼りに描きました。今回のステンドグラスは大きさもあり、高い場所に取り付けるものだということで、結構大胆に絵付けをしてみました。花の中央はサンドブラストでガラスの赤色を抜いてありますが、うちにはサンドブラストの機械がないので恩師に依頼しました。聖地のこんな春の風景をいつか見てみたいと思っています。



「あなたがたの中に、百匹の羊を持っている人がいて、その一匹を見失ったとすれば、九十九匹を野原に残して、見失った一匹を見つけ出すまで捜し回らないだろうか。そして、見つけたら、喜んでその羊を担いで、家に帰り、友達や近所の人々を呼び集めて、『見失った羊を見つけたので、一緒に喜んでください』と言うであろう。」ルカによる福音書15:4-6

私の所属教会で一昨年洗礼を受けられた若い方は、キリスト教学校の聖書の授業でこの箇所に出会って受洗を決意されたと言っていました。どのパネルも全力を注いで制作したつもりですが、実は私が一番強い思い入れを持って作ったのがこの「迷子の羊」でした。讃美歌21-200「小さい羊が」やコリン・ギブソンの「強いとき認められて」といった賛美歌を思い出しながら作っていました。羊のお尻と羊飼いの服にはわざと汚しを入れ、どこかで転んできた感、夕暮れになるまで泥だらけになって探した感を出しました。このパネルは一番下の窓で丁度人の目線の高さで見ることができるので、子どもたちの目に留まりやすいのではないかと思います。現代社会においては「1匹くらい仕方ない、99匹を守る方が大事」になりやすいものだと思いますが、その1匹の存在を決して切り捨てない神様が、いつも共にいてくださるというメッセージが子どもたちに伝われば良いなと願っています。

3月29日、この4枚のパネルを車に積んで、豊橋市まで搬入に出かけました。その模様はまた次回お伝えします


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