これは何でしょう?
英語で 「Apple of Sodom(ソドムのリンゴ)」とも呼ばれる植物のシベの部分です。
「ソドム」というのは旧約聖書に登場する死海近くにあった街の名前です。
ノアの方舟から幾星霜(紀元前3,000年頃?)、ソドムとゴモラという隣り合った二つの町が大いに栄えていたが、いつしか悪徳と頽廃の巣になり果てていました。
神はこのありさまに怒り、硫黄と火の雨を降らせて町を消滅させることにしました。
ただしそれに先立って天使二体を遣わし、住人ロトの信仰心のあつさを確認しました。天使はロト夫婦とその娘たちに、急いで町を去るように、そして決して振り返らぬように、と命じたのです。
ロト一家は街から逃げ出すのですが、途中ロトの妻は、住み慣れたソドムの崩壊を見届けずにいられなかったのか、つい振り返ってしまい、そのまま塩の柱になってしまいました。
ソドムとゴモラの街はアフリカ・プレートとアラビア・プレートに挟まれた死海地溝帯(大断層帯)上にあり、滅びはプレート境界に頻発する地震とそれに伴って生じたアスファルト、塩、硫黄の爆発・燃焼によって引き起こされたのではないか、という考えがあります。
死海地溝帯(Google Earthより)
本題ですが、英語の別名で「ソドムのリンゴ」と呼ばれるこの植物は、日本では牧野富太郎博士が発見しました。そして「ワルナスビ」と命名しました。
ワルナスビのめしべは 上の画像の何枚かで確認できるように、雄しべより長いタイプと短いタイプがあります。
イヌビワとか、イヌシデとか、イヌホオズキなど役に立たないという意味で「イヌ」をつけることはよくありますが、「ワル」と断定するのはそれ以上です。
茎ばかりか葉にも鋭い棘があり、切り刻まれて土に埋め込まれてもその分だけ増える厄介な雑草です。
だからといってこういう名前を付けても良いのでしょうか?
秋にはこんな果実を実らせます。有毒です。
「ソドムのリンゴ」という名はこんな果実を見て付けたのかもしれません。
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ソドムのリンゴというより、ソドムのバナナと言いたいですね。
昔からこの蕊をみると、作り物のバナナみたいと思っていました。
それにしても、ワルナスビの命名者も牧野先生だったとは・・・
「らんまん」を楽しんでいますが、あの天然ぶりを見ると、「棘だらけで悪いなすびじゃ」とか軽いノリで名前を付けたのかも・・・
(あくまで想像です)
東山植物園の化石のトンネル見てから、
地質年代とかシリアも走ってる大地溝帯のこと、取り上げたくなっちゃって"(-""-)"
ドラマ、万太郎も面白いけど、ジョン万次郎もかっこよかったですね
ソドムの話は勉強になりました。
「天空の城ラピュタ」でムスカが話していた「天の火」とはこのことだったのですね!
そうですか、ムスカは「天の火」って言ってましたっけ?!
たしかに空から降ってきた巨大彗星がソドムの街の上で大爆発を起こしたのだという説もありますが・・・
私は 大陸プレートのせめぎあいで起きた大地震とそれに伴う大火災のことを伝説化しているのでは、と思っています。硫黄、瀝青(アスファルト)、塩の柱・・・みな地質学的領域ですし(^_-)-☆