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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

アガパンサス って何科?

2023-06-21 16:39:29 | みんなの花図鑑
何か?!って喧嘩売ってるのではありません。


このアガパンサスは2年前の今日撮ったものです。田んぼの真ん中の農具を納める倉庫の屋外にあり、撮りやすいので気が付くと毎年撮ってます。



これもそう。

アガパンサスは 属名で、和名は ムラサキクンシラン。でもクンシランとは色も科も違うのであまり使う人はいません。
学名は Agapanthus africanus
種小名の通り、南アフリカの原産です。
通販でもよくアガパンサス・アフリカヌスの名のほうで販売されています。
属名の Agapanthus の由来は よく解説にあるように、ギリシャ語の「アガペー(ἀγάπη)」と「アントス(ἄνθος)」が元になっています。アガペーが「愛」でアントスが「花」なので全体で「愛の花」の意味だと。



んで、ここからが今年撮ったもの。
どう?毎年同じころ撮ってますが、撮り方が変わってきてませんでしょうか?

属名の Agapanthus の由来についての解説は、語源のひとつ「アガペー」について「神の、人間に対する自発的、無条件的絶対愛。無償の愛」のように解説が付くことがありますが、これはキリスト教文化(唯一神、単一神)からの定義で、ギリシャ文化(複数神?多神教?)における「アガペー」とは大きく意味が異なることに注意したいものです。



ギリシャ神話では、全能の神ゼウスに言い寄られた虹の神イリス(英:アイリス)が、ゼウスの妻ヘラ(最高位の女神)に頼んで空を自由に翔けることができる虹に姿を変えてもらいました。そのとき地上にこぼれた酒の雫から咲いたのがアガパンサス(愛の花)だったと言われているのです。
キリスト教文化ではアガペーは「無償の愛」などと訳されていますが、ギリシャ文化的にはむしろ「神々の愛」とでも訳したほうがいいような気がします。
ゼウスはことあるごとに女神に色目を使ってるし、浮気されて復讐に走る女神もしょっちゅうです。「神々の愛」はもっとディオニソス的なものでした。




先ほど「クンシランとは色も科も違う」と言いましたが、ちょっと訂正です。アガパンサス・アフリカヌスは 新エングラー体系=ヒガンバナ科、クロンキスト体系=ユリ科、APG体系のⅡではアガパンサス科、Ⅲではヒガンバナ科といろいろに分類されてきているのです。




アガパンサス属(Agapanthus)は花が子房上位であることから長らくユリ科に分類されてきました。
多くの園芸書では今でもユリ科となっています。
しかし、従来のユリ科が巨大で雑多な系統を含むことは明らかであり、これを細分してもう少し扱いやすい形にしようというのが植物学者の共通した見解です。
「結論から言ってしまうと、アガパンサスはアガパンサス科として独立させるのが適当です。ネギ科とヒガンバナ科をすべて含めて広義のアガパンサス科(ヒガンバナ科と呼ぶ方が適当でしょうが)とすることもできますが、ネギ科、ヒガンバナ科ともにいろいろな形質でまとまりがよいので、アガパンサス科が単型科(一つの属からなる科)になってしまっても、3つに分けた方がよいように思われます。」

(説明、図ともに「系統分類学 アガパンサスはユリ科?ヒガンバナ科?ネギ科?」より)




最後に、またおととしの画像。やはり昔のほうが よく見える?
クンシランのほうもいちおうヒガンバナ科ですが、分類法によってはユリ科に分けられることもあり、また原産地もアガパンサスと同じく南アフリカで、アガパンサスを「紫のクンシラン」と呼ぶのもあながちお門違いではないのですね。




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